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歴史のIF:桶狭間の戦い

「信長様、義元の本陣の場所がわかりましたぞ。義元の軍は桶狭間にて休息中とのこと。義元は目印は金箔の籠です!」
 と使いから報告を聞いた信長は立ち上がり敦盛を舞った。そして鎧をつけて全軍に今すぐ出陣すると命令を下したのである。家臣はそんな信長を見て、昨夜のあの呆けていた信長とはまるで違う。何かクスリでもキメたみたいにイキイキしてる。これはワンチャンで勝てるかもと思い。意気揚々と義元の元へと向かった。

 今川義元は駿河と遠江を治める守護大名であり、言い伝えによるとその家は足利が絶えたら吉良が継ぎ、吉良が絶えたら今川が継ぐと言われてきたほどの名家であった。義元は大名となった後今は亡き太原雪斎の力を借りて領地を広げてきた。義元自身は公家趣味の典型的なお歯黒大名であったのだが、亡き太原雪斎の育てた軍勢の力は強力で、この尾張侵攻でも信長の支城を次から次へと落とし、あともう少しで信長にとどめを刺すところまで来ていた。

 桶狭間へと軍を走らせていた信長は先程の使いの報告を思い出し、義元油断したりとほくそ笑んだ。義元め、すでに勝ったつもりになって余裕をかましているとは戦国大名としては致命的な失態。今この気を逃さずしていつ打つのか。信長は義元の本陣を見つけると、全軍に号令をかけると自ら先頭にたって突撃した。そして義元の軍勢をあっという間に蹴散らして義元の乗った金箔の籠を取り囲んだ。信長は籠の戸を開けると短刀を突き出して籠の中で怯えて丸まっているデブ麿の義元に向かって言った。
「義元殿、もはや勝敗は決した。ここは武士らしく潔くご自害召されい」
 しかし義元はもはや武士であるのさえ忘れたのか、そのデブの白塗りの顔を汗でだらだらにしながら死にとうないと喚くばかりだった。ならば仕方あるまいと信長が短刀の鞘を抜き籠の義元を刺そうとした瞬間であった。突然ボールが飛んできて、そのまま信長の頭をかち割ってしまったのである。勝家や藤吉郎をはじめとした部下は混乱しまくっていたが、しかし対処する間もなく次から次へと飛んできたボールに頭をかち割られて即死してしまった。そして信長軍が退散していったが、しばらくすると何者かが義元の元へと駆け寄って来るではないか。
「父さん、間に合ってよかった」
 義元は息子の氏真を抱きしめておいおい泣いた。あの玉蹴りしか出来ないバカ息子がこんなに成長するとは。義元は彼のそばに控えている十一人の武者たちを見た。
「其方のそばに仕えるこの十一人の供はなんぞ」
 すると氏真は目をキラキラと輝かせて言った。
「この人たちは僕の玉蹴仲間だよ。いつも十一人で遊んでるんだ。時々間違えて股間の玉を蹴っちゃう事だってあるんだけど!」

 それから義元は瞬く間に天下を統一して、息子の氏真を次代の将軍に据えて速やかに引退した。足利氏に代わり晴れて将軍となった氏真は全国に氏真式の蹴鞠を普及させるために一生を費やした。これからは戦より蹴鞠だとグランドを作り、ルールを決め、さらには四年に一回の全国大会を開く事を決めた。その努力が身を結び、今日において蹴鞠は国際的な人気スポーツとなり、氏真は蹴鞠の神様として崇められるようになった。






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