妊娠…祈り

遺書に書けなかった事をここに書きます。 私はあなたのために生きている。 あなたのベイビーもうすぐ生まれるわ！ベイビーの事は心配しないでパパとママが育ててくれるから。あなたの事はパパも人間だって認めてくれた。だからあなたもパパを許してあげてね。パパはいい人だから……もう毛だらけで全身真っ黒だからってあなたを差別したりしないから……。だからお願い……パパを許してあげて下さい。ホントはあなたと結婚したかったけど私にはそんな時間はないのです。

ダーリン、私が生きているうちにあなたが記憶を取り戻してくれればと祈っていましたが、それはもう叶わぬ願いなのでしょう。もしかしたらあなたは一生私を思い出す事はないかもしれません。だけどあなたには知ってもらいたいのです。あなたをこんなにも愛した一人の人間が存在していたということを。

あなたと暮した日々は、私にとって人生最高の時でした。あなたのつぶらな瞳、忘れません。あなたの皺だらけの顔、忘れません。あなたの毛だらけの逞しい体、忘れません。あなたのサバンナを思わせる真っ黒な肌、忘れません。すべて私には貴重な宝物です。 私はベイビーを産むために死にます。あなたがいるうちでいつもバナナをくれていた元モデル顔でセクシーボディーでツルンツルンのお肌をした女性はあなたを一生、文字通り一生誰よりも愛していました。ここで最後のお別れの挨拶をしておきます。

人を愛することを教えてくれてほんとうにありがとう。あなたは私にとってすべてです。

さよならダーリン。