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ドローン

 最近LINEでとある女の子と仲良くなった。かなり美人な子でセクシー女優の某によく似ていた。最初に向こうからLINEが来た時どうせマッチングアプリの誘導かと疑ったけど、いざトークしてみたら全然そんなことはなかった。僕らは二人で凄く盛り上がって、ついにLINE電話で会話までした。そこでじゃあ会おうって話になって会う日時と待ち合わせ場所を決めた。全く奇跡だった。

 僕はこの通りヲタクでファッションに縁がないから、とにかく身だしなみをと考えて、ずっときていなかったスーツを着て、とにかく待ち合わせ場所に向かった。

 外は九月なのに妙に冷たくて風が四方から吹いていた。僕は何かの不幸な予兆かと思って不安になった。もしかしら彼女は美人局の一味か、もしかしたら犯罪への誘いか、それとも単に揶揄われただけか。彼女は時間を過ぎても現れず、LINEにも連絡がないので僕の不安は増大した。

 もしかしたらやっぱり来ないのかもしれない。来ても上に書いたような事をされかねない。僕はこの場から立ち去る決心をした。夢は夢のままが一番いいと思った時、ドローンとした音と共に彼女が現れたのだ。

「まったぁ、遅れちゃってごめんねぇ」

「いや、全然待たなかったから」

 僕は彼女の詫びにこう機械的に答えたが、だがその彼女の声に激しい違和感を感じた。おかしい。電話では全く普通だったのに。こうして実際にあって聞くとものすごい変だ。なんかエコーがかかったようなやたら耳鳴りがしそうなそんな声だ。いや、でも電話でも妙に雑音が入っていたような気がする。大体この今鳴ってるドローンって音はなんだ?もしや……

「ねぇ、どうしたのなんでずっと黙っているの?」

 やっぱりだ!彼女には足がない!これは……これはドローンだ!恐らくドローンの光が足まで届いていないのだ!そうか!どうりでさっきからドローンドローンってうるさかったわけだ。一体彼女を映しているドローンはどこを飛んでいるんだ!悪しき業者連中め!僕をハメようと手の込んだことしやがって!

「君、君が何者であるかわかったから。もういいよ。足がないんじゃ誰だって君が人間じゃないってわかっちゃうよ」

「わ、わかっちゃったの。ごめんね、ドロ~ンっていかにもな感じで登場して」

「うん、そうだ全部わかってしまったんだ。だから君を映しているドローンがどこに飛んでいるかおしえてくれ。僕は人の寂しさに漬け込んで金儲けするやつが大嫌いなんだ。今すぐ全部叩き壊してやる!」

「へっ?あ、あのよくわからないんだけど私幽霊よ」

「バカ!今更幽霊なんて下手な嘘はやめろ!大体幽霊なんてこの世に存在しないんだよ!そんなものいい大人だったらわかるだろ!さあ仲間がお前を映すために動かしているドローンがどこ飛んでるか今すぐに教えろよ!」

「そんなもん知らねえよ、このバカ!朝まで勝手にドローン探してろよ!」


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