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ジョージ・キューザック氏

「人と人とが理解し合えるなんて幻想さ」とはキューザック氏がいつも言ってる事だ。彼はこういう考えは文学的修辞ではなく、辛い実体験から得たものだ。キューザック氏は常に人に理解されない事に苦しんでいた。その苦しみの果てに彼は悟ったのだ。もう人に理解されようとするのはやめよう。私は我が道を行こう。

 確かに世間から後ろ指差されようと我が道を行くのは立派だ。しかしキューザックよ。あなたはそうする事で周りの人間に迷惑んかけている事をどう思っているのか。今キューザック氏の前に彼の母親が慌てた表情で駆けつけて怒鳴りつけた。

「ジョージ、あなたなんでいつもいつも私のお古の下着つけて外歩いているのよ。いい加減になさい」

「僕のことなんかほっといてくれ。あなた方と僕は生きている世界が違うんだ。あなたには僕は理解できないし、僕もあなたを理解できない。だからさよならだ。あなたと、いやこの世界と」

「やかましい!訳のわからないこと言ってないで早く私の下着脱ぎなさい!」

「ダメだ。そんなことしたら裸になってしまうじゃないか。あなたは大事な一人息子が公然猥褻罪で逮捕されてもいいのか?」

 私たちはこう捲し立てるキューザック氏に向かって思いっきりツッコんでやった。

「アホ、どっちにしろ捕まるわ!」

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