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文章でわかる人の健康状態

 ある程度文章を読み続けるとと書き手の癖っていうものが大体わかってきます。書き手が心のままに綴った記事は勿論、テンプレートに沿っているような文章でさえ書き手の自我というものが透けて見えてきてしまいます。例えば読点の使い方です。読み手に気を使ってか、やたらに読点を入れたがる人は神経質とか、逆に読点を入れない人は大雑把とか、私の主観的な決めつけの部分がないわけではありませんが、そういう書き手の性格などが見えてきます。さらに文章に読み慣れると、書き手の健康状態さえ見えてくる事があります。

 先日知り合いの文章を読んで私は彼がもしかしたら胃炎でないかと疑い、彼に病院に行く事を勧めました。私の予感は当たりやはり彼は胃炎であったようです。私が彼が胃炎だと察したのは彼が文章に柑橘類のメタファーをやたらに使っていたからです。恋は酸っぱいレモンのような味がする。周りにはオレンジの爽やかな匂いがした。私はこの彼の文章を読んでこのまま放っておいたら胃潰瘍になると心配して彼に電話をして病院に行くように勧めました。彼はそのあと治療して完治しましたが、私に凄く感謝してくれました。その時にお前は超能力者だと言われましたが、私は彼に向かってそれは君が文章を書く人間だったからさ。君が無学の人間だったら何もわからなかっただろうと答えてあげました。

 また別の日に私は同僚の女子の文章を読んで彼女が心配になりました。人はどんなに自分の状態を気取られないようにしても隠せないものです。どうしても本心が出てしまう。ましてなにかとやぶっちゃけやすい性格の彼女なら尚更です。彼女は普段は明るい人ですが、文章でもそれは変わらず普段の彼女そのままに明るい文章を書いていました。しかし私は次のような文章を読んで彼女が心配になりました。なぜなら彼女はその文章でこんな事を書いていたからです。

『今、無性に飛び出したい気持ちになってる。心が鍋みたいに沸騰してるの。ああ!たまらない!』

 私はこの文章を読んで彼女が心配になり、翌日の朝出勤してきた彼女を見つけると駆け寄って声をかけました。
「大丈夫かい?」
「えっ、何が?」
「昨日君の文章読んだんだけどね……」
 彼女は僕を見ました。僕は彼女の眼差しに思わず唾を飲み込みました。いささか言いにくい事だけどやはり言わなくてはいけません。それが彼女を危機から救う事になるからです。だから僕は勇気を出して言いました。

「昨日君の文章を読んで気づいたんだけどさ。君……便秘だよ」

 私の言葉を聞いた彼女は急に顔を真っ赤にして僕を思いっきり睨みつけるとその場を去っていきました。それからすぐに僕は人事に呼ばれて思いっきり絞られた後、すぐに処分が決まるから今日は家に帰っていいよと言われて帰りました。僕は何故彼女が起こったのかわかりません。便秘でなかったから怒ったのでしょうか。しかしあの文章はどう読んでも便秘の人が書く文章です。こんなに文章であからさまに便秘である事を主張しているのに、私がそれを指摘してあげたら、彼女は本当なら私に感謝するべきなのに逆ギレですからね。文章をいくら読めても女性の性格だけはわかりませんね。






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