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愛が終わる時

 大切なものが一瞬にして壊れてしまう過程をこの目で見た。結婚から数年たったあの日に起きた大惨事。あれでもう彼女とはやっていけないって思った。あんな酷い事を彼女がするなんて思わなかった。彼女があんな人の権利を踏み躙るような人間だと知っていれば結婚なんてしなかったのに。彼女をあれほど愛したのがバカみたいだ。彼女は僕の大事なものを全て奪った。僕が何よりも大事にしていたものを全て。しかも彼女はあの時笑ったんだ。泣き喚いて抗議する僕を大口開けて笑ったんだ。僕はその彼女を見てもうやっていけないと思った。人の尊厳を踏み躙り、しかもその事になんの罪の意識も持たない女。もう君とはもうやっていけないよ。僕以外の人と幸せになればいいさ。フッ、ご覧、この緑枠の紙がなんだかわかるよね?上に書かれた三文字が読めるよね?その通りさ。さぁ、さっさとサインと印鑑押せよ。これで全てさようならさ。

「はん?あなたまさかあのプラモ捨てられたのそんなに怒ってるの?」

「当たり前だ!あのプラモたちには幼稚園から今まで僕が生きてきた証でもあるんだぞ!それを君は!」

「だってあんなのただのゴミでしょうに!はいはいもうすぐ子供が生まれるんだから部屋のスペース必要でしょ!こんなガキみたいな事やってないでちゃんと子供の将来考えなさいよ!ビリビリビリビリビリビリ!」

「ああ〜なんてことすんだぁ〜!」

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