スーちゃんのプール・2回戦目!
【スーちゃん年長の頃】
散々だったプールデビューから一週間。
さぁどうなる、二回戦目…
プールの前室、ロッカーに入ろうとする時点で足がすくんでしまっているスーちゃん。
仕方がないので手をつないで一緒に入って行く。
なるほど、スーちゃんより遥かにガタイのいい小学生たちがひしめき合い、ふざけながら着替えている。
これは幼稚園生からすれば、なかなかの迫力かもしれない…。
さながらパンツ一丁のプロレスラー達が、こちらにぶつかるのもお構いなしに闘いを繰り広げ、ろくにロッカーの場所取りさえできない状況か…プルプル…
けれど、海は広いんだ、少年よ、と母は心の中で背中を押し、何とかプールに送り出す。
直ぐに2階の見学席に上り、ガラスの外から覗いてみると、既に涙目で後ろの方に立っているスーちゃんの姿。
ジーザス。
本日は、刈り上げコーチのサポートを務める若い男のコーチが一生懸命なだめてくれているが、体を固くして全く動かないスーちゃん。
両手でガッと顔を覆って肩を小さく揺らし、どんな問いかけにも答えようとしない。
もはや、スーちゃんの心の扉は、南京錠と鉄の鎖をぐるぐるにした状態で固く閉じられている。
やがて、若いコーチが私に気づいて一礼し、両腕でバッテンマークを出した。
リングサイドにタオルが投げられたのだ…
スーちゃん無念のギブアップ!!
プールサイドへ引き取りに行き、なだめながら一緒に2階からチャンさんのクラスを見学する。
年長からなら小学生クラスに入れて、チャンさんと一緒に送迎もできるから大丈夫かなと思ったんだけどな。
まだ早かったかな…
母の少々打算的な考えがスーちゃんを苦しめてしまったかもしれないと反省。
数日後、潔く退会の手続きをした。
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