予定外のバックパッカー #飛行機
里山の暮らし。
本当にすごく気に入っているんだけど、たった一つだけ問題がある。
それは、
「呑んだら帰れない」
ということ。
まあ、タクシーを使えば帰れるのだけど、お金持ちじゃないので。3500円のタクシー代はかなり痛い。もう一軒いけるなあ…。なんて思っちゃう。
飲み会でお酒を飲まないなんて私にはできないし。
まあでもしょうがないよな〜〜。
ここでUberタクシーでもやったら稼げるかな〜…
そんなことを考えている時、ふとタイに行った夏のことを思い出した。 私たちはタイでUberタクシーも飛行機も電車もバスも、普通のタクシーもトゥクトゥクも水上ボートも、存在するほぼ全ての交通手段を利用した。この3泊4日には、ありとあらゆる乗り物と、みっちり詰め込まれたリュックサックと共に、いくつもの物語がみちみちに詰め込まれている。
大学2年の夏、友達と女ふたり、リュックサックをひとつずつ背負って飛び立った先は、タイランド!
と言うといかにもバックパッカー旅のように聞こえるが、そもそも私たちはリュックサック一つで行くつもりじゃなかった。
服は現地で買おうと思っていたから最小限だったが、大量に買い物をするつもりで、うちにある中で一番大きな海外旅行サイズのスーツケースを連れてきていた。
それなのになぜ、リュック一つで飛び立ったのか。
事件の始まりは、成田空港離陸前日。
一緒に行く友達から突然連絡が。
私たちが取った飛行機は、タイライオンエアというタイの格安航空会社。往復でも3万円くらいだった気がする。
海外旅行初心者、飛行機のチケットを取るのも初めての私たちは知らなかった。
搭載する荷物の重量を事前に購入しておかなければならないということを。ネットでいろいろ調べてみると、罰金で20万円取られたという情報も。(本当かはわかりません。)
私は恐ろしくなって、東京までの夜行バスに乗り込んでも変な汗が止まらなかった。
友達とは空港で待ち合わせだった。
飛び立つ前から不安がいっぱい。昨日からいろいろ調べたり、考えたり、話し合ったりで正直疲れてきていた。この旅は大丈夫なんだろうか。少し沈んだ気持ちで待ち合わせ場所に行くと、バンダナ柄のワンピースに、目が見えないほど黒いサングラスをかけた彼女がベンチに座っていた。
あぁ。楽しみだ。
彼女の姿を見た途端、なんとかなる気がしてきた。
どう見てもバカンスに行くマダムの彼女と私は、リュックサック一つに必要最低限の荷物を移し替え、わざわざ東京まで持ってきたスーツケースを空港にあるロッカーに押し込んだ。黒いリュックを一つだけ背負ったバカンスに行くマダムと一緒に、飛行機に乗り込んだ。さっきまでの不安は100%楽しみな気持ちの変換された。なんだか清々としていた。パンツだって置いてきたんだから。
P.s.
これを描き終わった後、日程を確認するために当時のノートを引っ張り出してみた。どうやら私は夜行バスに乗る直前まで、盛岡の「いしがきミュージックフェス」に行っていたらしい。時間ギリギリのToshi-lowまでしっかり楽しんで、家に帰らずタイに直行。イカれてる。荷物のことをいろいろ調べて疲れたとか言ってるが…。きっと友達がたくさん調べてくれていたのだろう。私はただのフェス疲れ…。ほんと、ごめんね。
最後までお読みいただきありがとうございます。