見出し画像

自己紹介って難しい

 はじめて哺乳類の動物を飼育することになった。
 
 いままで、爬虫類(カメ)の飼育経験はあったが、毛が生えていてやわらかで自由に動き回って主張をしっかりするものたちとの暮らしとは一体どんなものなのか見当がつかなかった。ということで、飼いはじめるにあたり何か記録を残したいと思い、備忘録的なものを兼ねてこちらに記していきたい。

 出版社に勤めている。

 もともとは販売部で本を売るための業務をこなしていた。注文書やチラシ、ポスター、店頭用のPOPなどの販促物を自社制作する日々。なんやかんやもういろいろとあり、月刊誌の編集部に異動。スケジュール管理やはじめましての方とのコミュニケーションなど、社会人として必要な「社交的さ」がものくそ必要な部署に異動。至らない…至らない…と思いながらやってきたが、周りが対人スキルの高い猛者たちの集まりのため、自分が至らなくてもなんとかなるものだ、と、おんぶに抱っこ状態である。

 1年半ほど前、中古の家を買った。

 家付きの土地的なニュアンスで売られていた。本来ならば、家を取り壊して新しい家を建てるのだろうが、この古さを活かしてDIYでなんとかしようということになった。
 ここを決めるまで、賃貸、分譲、戸建て問わず、長く家を探していて内見を数多くこなしていた。そのため、入った瞬間に良し悪しがわかるようになった。とにかく、「新しくおしゃれ風にしました」的な面構えがとにかく苦手だった。いまのところは、売りに出されてすぐに内見の予約をした。まだ持ち主が住んでいて、荷物がぎっちりだったが、ここだなと思った。小さな庭を三方囲むような、コの字型の間取りが気に入ったのである。
 夫と私とでは難しい屋根や水回り、窓の入れ替えなどは業者に頼んで、あとは住みながら直していこうという目論見。これが甘かった。最低限住める環境だと、人は慣れるもので、1年近く脱衣所に洗面台がついていなかったが、台所で洗顔、歯磨きで難なく過ごせたし、壁紙がビリビリでも何も気にならなくなった。

 いつか猫を飼いたいと思っていた。
 
 家も買ったし、迎え入れられる状況にはなった。しかし、慣れ故の途上状態の生活では、いつかはいつまで経っても来ない。強行突破だ。カーテン代わりの養生ポリシートを見つめながら決意する。保護猫のお見合いを決め、2匹、お迎えすることになった。トライアル開始の日までの約1カ月間、とにかく猫たちが過ごすLDK部分だけはどうにかしようと、迎え入れの準備とともに家の整えを進めた。

・・・

 猫ってカーテンに登るものなんですねと思った。挙げ句の果てに、引っ張りながら飛びつき、ターザンのようにぶらぶら揺れている。まだ子どもなので遊び方が激しい。養生ポリシートのままでは、音速で裂けていたな……。
 
 これが自己紹介になるのか疑問だが、ともあれ、新米飼い主の猫への迎合をお伝えしたい。

 

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?