📑コピー要求　そして電球💡へ　9/2(金)

ところでここは実家で一人暮らしをしている認知症の老母(87)の観察日記である。
私は毎日おおむね夕方に様子を見に行くようにしているが、この日は、今まさに実家に行こうかとしている時間に母から着信があった👾
ドラクエ3のモンスタエンカウントの音楽が鳴り響く。

どうせ今から行くのに何事だと思いながらも電話を取ると、母が言った。
「あんた、コピーを取ろうとしたら分からんとよ。
あんた来てやってよ、全然分からんとよ。」
こっちが全然分からんのだが。
なんの話だ。

よくよく聞いてみると、障がい者福祉手当の申請用紙が役所から来て、所定事項を記入したが、出す前に申請用紙のコピーをとっておきたいという話だった。
簡単にまとめてはいるが認知症の老人からこれを正確に聞き出すのは、テクニックと根気がいる。
そして、あと20分もすれば直接言えるのに、待てずに電話してくるのも高齢者の特徴である。

高齢者の面倒を見ている多くの人に伝えたいのが、老人が何かを頼んできたら、内容を確認してから、自分のペースで動いたほうがいい。
老人が口走る「急ぐんよ」と「今来てほしい」は、ほぼ九割の確率で緊急ではない。

コピーの件を補足しておくと、実家には会社で使うような立派なプリンター兼コピー機がある。
母はペースメーカーを入れているので、身体障害者一級に相当する。
それで、去年まではコピー機を使いこなしていたのだが、最近は操作がわからなくなってきているのだ。

書類

行ってみると、プリンターの置いてある書斎に、これ見よがしに書類が置いてあった。
これをコピーしてほしいのだということは明らかに分かったので、コピーしておく。

コピーしていたら、母が来て言った。
「あっ！あんた、来たとね！
それ出しとってくれんね！」

…まあいい。

封筒に書類を入れて封をしていると、また母が来た。
なんか今日はよく来るな。

「あんた、電球が切れたとよ、小さいの！
電球ば変えてくれんね！」

点灯管が切れたらしい

とりあえず，目の前に人がいればいるだけ、用事を思い出すのが高齢者。
散発的な爆撃が襲いくる！

種類の多い豆球に関しては、外して現物を持って、電気屋に行って買った方が良かろうと脚立を持ってきて、点灯管となつめ球を外していると、母親がなぜ買ったのか分からない中途半端に小さい電球を何個も持ってきた。
しかしいずれも明らかになつめ球よりだいぶ大きい。

「これ使えんかねえ。
いっぱいあるとやけど。」

「いや駄目やろ。
明らかにサイズ違うやん。
今日はもう電気屋閉まっとるから、明日買ってくるから。
今日は豆球つかんけど一日くらい我慢し。」

このやり取りは、まるで当然の伏線のように翌日に続くのであった。