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🫖介護面談と、行方不明の徘徊老人とお茶会 4/25(火)

さて、3月に老母の担当者会議(介護)があったわけだが、かと言って4月の面談がなくなるわけでもない。
月の後半にはなったが、本日午前11時、ケアマネとの介護面談である。

面談は和やかに進み、今回は特に大きく確認することもない。
「お母様はもうよろけたりはしていないですか?」
「いやしょっちゅうコケてますが、怪我さえしなければいいかと思って放置してます。」
というやりとりはともかく、面談の最後に、ケアマネが妙なことを確認して来た。

「ところで、先週の金曜日は、渡鳥さん(仮)はこちらに来てありましたか?」
忘れている或いは初見だろうが、渡鳥さんは近所(隣町くらい)に住むうちの母の友人の高齢女性である。
最近は会ったという話も聞かなかったが、何故今名前が?

母はあっけらかんと答えた。
「ああ、渡鳥(仮)さん!
来てましたよ!
娘さんが家に鍵をかけてしまって、夕方まで家に入られんからおらして(居させて)って言って、夕方までおりましたけど。」

鍵?
微妙なキーワードが出た。
ケアマネが泣き笑い直前に近い顔になっている。
「いえ、私は渡鳥(仮)さんの担当じゃないんですけど。
渡鳥(仮)さんはその日、午前中半日のデイサービスだったんですけど、どうもデイサービスに行っておられなくて。
それで昼になって不在が発覚して、みんなして大騒ぎで探してたらしいんですよ。」

はい!?
非常に驚いたが、推測混じりで起こったことを話すと多分こうだ。
渡鳥(仮)さんは、仕事に出掛ける娘さん夫婦と一緒に、金曜日の朝、家の玄関を出た。
本来なら、渡鳥(仮)さんはデイサービスが午前中だけなので、鍵を持っていたはずだが、おそらくこの日は持って出るのを忘れた。
そしてすぐにデイサービスの迎えが来ると思った娘さん夫婦は、鍵を施錠して仕事に出掛けた。
鍵を持って出るのを忘れた渡鳥(仮)さんは、鍵だけではなくおそらくデイサービスという用件も忘れていた。
そして近所の旧友(うちの母)の存在を思い出して、1キロ以上ある道のりを歩いてやって来た。
「お昼はどうしたん?」
「うちで食べて行ったよ!」
母はこともなげに言う。
徘徊老人を探す周囲の努力もなかったことのように、渡鳥(仮)さんは、夕方になったら自力で歩いて帰って行ったそうだ。

いや困惑するよな!

驚きすぎた私と、どこか困ったような表情のケアマネをよそに、母は爽やかな笑顔で
「あらそうね?
大鶴さんはお昼食べてから夕方までおってから帰ったよ!」
と言って事態の大きさをあまり把握していない様子だった。

介護面談は午前中で終わり、午後は楽器の練習で友人たちが来た。

その時に、突然母が声を掛けてきた。
「あんたパン屋に行ってアップルパイを買ってこようと思うんやけど、あんたたちは何人おるとね!」
特にアップルパイを必要としていたわけではなかったが、まあいらんと言っても無駄なので、二人来ているから自分を入れて三人だと答える。

母は
「それやったら、私を入れて4個やね!」
と言って、パン屋に向かって行った。

アップルパイ

数十分後、意気揚々と帰って来た母がアップルパイ渡して来た。
5個
なぜ5個?

母の気持ちを推察してみる。
「4個…,4個。」
と思いながら、パン屋に行ったら、
「何個だっけ?あっ4個って言ってた!私を足して5個ね!」
となったのでは…?

時そばか!
母はそろそろテキトーに生きている。


投げ銭歓迎。頂けたら、心と胃袋の肥やしにします。 具体的には酒肴、本と音楽🎷。 でもおそらく、まずは、心意気をほかの書き手さんにも分けるでしょう。 しかし、投げ銭もいいけれど、読んで気が向いたらスキを押しておいてほしい。