働きたくない

働きたくない。来月から新社会人として就職する。働きたくない。就活は三年の二月。三月の解禁前に終わった。就活生として、優秀だった。どうせ社会に出るならまともな会社に就職したいから、真面目に就活した。社会に出ることは避けがたく、必然だと思ってきた。

今だってそう。今さら、やっぱ働かないとかあり得ないし、四月から働くもんだと思ってる。大学も卒業したし、バイトも辞めたし、この中途半端な無職期間のせいで何事も憂鬱になる。一日何もやることがないと嫌でも考えごとをしてしまうし、元々鬱っぽい性格が余計鬱っぽくなる。時間があるから出かけたり家で映画見たりと、社会に出るまでの最後の猶予期間をそれなりに楽しんではいる。

最後だと分かっているから、楽しむのも必死になるというか、いつになく能動的だ。見たいものは見て、やりたいことはやって、食べたいものは食べて、行きたい所に行って、会いたい人には会う。最後だと分かっているから、何かで後悔を残したくない。

ただ、毎日を能動的に生きようとすると普通に疲れてくる。何もしたくない日だってある。そういう日は絶対に物事を後ろ向きに考えてしまう。どれだけポジティブになろうと心がけて生きていても、そういう日が不意にやってきたら太刀打ちできない。

そういう日に胸糞悪い映画を見ていた。胸糞悪いけど大好きな『青い春』。高校という「狭い箱」がこの世の全てで箱の中で退屈しのぎに勤しむ高校生たちのキラキラした青春映画。松田龍平が主演で心底退屈そうなのがいい。劇中歌、主題歌がThee Michelle Gun Elephantなのもいい。というか、そうじゃなかったらこの映画を何度も見てない。ミッシェルのおかげで最高の雰囲気映画が完成してる。

『青い春』はいつでも、ただでさえ退廃的な気持ちに加速をかけてれる。全てに嫌気が差してくる。退屈な毎日を過度に退屈なものだと考えるようになる。これほど精神衛生に良くない映画はないけど、好きなのだからしょうがない。

さすがにこのまま、一日家にいたら気持ちが沈んだまま夜になって、朝になっての繰り返しな気がしてきたからもう夕方だけど電車に乗って気晴らしすることにした。音楽聞きながら電車の中で今これを打っている。鬱々として悶々とした感情は文字にして自分の中から手離してあげないと、思考の束にがんじがらめになる。こうやって文字にするだけでも少しは気が晴れる。

働きたくない気持ちも薄れてきた気がする。いや、流石にそれはないや。働きたくないと思いながら、働くものだから。労働ってそういうものだと思っている。それだけは変わらない。

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