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信じてみたい

 日々の暮らしの中で培った知識は、誰も教えてはくれないし、誰にも教える気にもならない。

 それは、私だけが知っていることかもしれない。
 けれど、誰もが知っていることなのかもしれない。

 このワンルームは私の城であって、何者も不可侵な領域であり、侵入してはならない場所である。

 私のこの部屋は私だけのもの。ここで行っていることは、私だけの、もの。

 友だちを呼んだこともないし、家族も来たことがない。

 唯一、絶対の安心ができる。
 そんな、ところ。

 もちろん、友だちと遊んでいるのも楽しいし、実家に帰れば普通に親と話しもする。

 けれど、それとこれとは別なのだ。

 これまで、恋人になりそうな人から、家行ってもいい? と言われたこともあるけれど、すべて断った。

「やましいことはしないよ?」

 なんて、そんな言葉が欲しいわけではない。
 まして、そんな言葉も信じられるわけではない。

 ただ、それを、認めてほしい、だけ。

 そうして、たいていの人はそこから疎遠になる。

 それでも、いい。

 不安になるくらいなら、それでも。

 だから、私はーーとても、とても、驚いてもいる。

 私のこうした感覚が、わがままだって、ちゃんとわかっている。

 けれど、それをわかってくれて、ほどよい距離感で付き合ってくれるあなたが、何とも言えず、混乱する。

 これまで、そんなこと、なかったから。

 彼の家には遊びに行くのに、私の家には呼んだことはない。

 それをちゃんと、認めてくれる、あなた。

 そんなあなただからこそ、もっと、知ってもらいたい、とも思える。

 から……。

 ゆらいでいる、ゆらいで、いる。

 あぁ、本当に、自分もよくわからなくなっている。

 それでも、まだ、まだ、認めてくれる?

 もう少し、もう少し。

 私をもっと、信じさせて。

 ちゃんと、一緒にいられる、って。

 もっと、信じさせて、ほしい、な。

いつも、ありがとうございます。 何か少しでも、感じるものがありましたら幸いです。