複雑性トラウマ 終わらない闇の先を目指す方法を考えてみた(前置き編)
読んでくださってありがとうございます。
簡単に自己紹介させて下さい。
自分は機能不全家族のもとで育ち
精神疾患(うつ病など)で苦しみ
そこから回復した経験があります。
自分が精神疾患に苦しんでいた頃は
まだ複雑性トラウマの治療法は確立されておらず
日本でもカウンセリングといえば
共感と傾聴を重視するばかりで
認知行動療法すらも知られていない時でした。
複雑性PTSDもまだ病名ではありませんでした。
当時トラウマ治療に理解がなかった
精神科医やカウンセラーに嫌気がさし
精神科等には途中から一切通わなくなりました。優しさだけで人は救えない。
自分を助けてくれる援助者は誰もおらず
引きこもり生活で社会から孤立し
精神科医、カウンセラー、家族、恋人、友達
といった周囲のサポートはありませんでした。
しかし、そんな中でも心理系の本を沢山読む中で
この本を書いた著者は
自分のことをわかってくれている
という実感がありました。
周囲に理解してくれる人はいないけど
わかってくれる人がこの世の中にはいるという
微かな希望を持ちました。
自分はそこから自分のことを良くすると決意し
臨床心理学や心理療法を
文字通り命がけで勉強し、自力で回復しました。
今回の記事は
そんな自分の経験や得た知識をもとに
複雑性トラウマの終わりが見えない闇の先を目指す方法について自分なりに考えてみたことを書きたいと思います。
自分は自力で回復しましたが
セルフケアを推奨しているわけではないです。
トラウマ治療を一人で進めていくのは
非常に辛く険しい道のりになります。
(経験者は語る)
周囲にサポートしてくれる治療者や
援助者がいるのであれば
その人を頼ることがいいと思います。
自分はセルフケアが行き過ぎた先に
「症状が良くならないのは
セルフケアが出来ていないから」
というような自己責任論になってはいけないと思っています。
また、回復しようと思っていない人を
責めようとも思っていません。
「自分のことを何とかしたい」という思いと
「もうどうでもいいや自殺しよう」という思いの狭間で生きてきた人間なので
回復に前向きになれない気持ちもわかります。
話がそれてすみません。自己紹介でした。
今回のテーマの見取り図
簡単に記事を書こうと思っていたのですが
想像以上に長編になりそうなので
何回かに分けて記事を書きたいと思います。
先にどんなことを書こうとしているか
ざっと目次を並べます。
沢山書きましましたが、
それぞれの項目が完全に独立しているわけではないです。
なので、ある項目に取り組んでいたら
他の項目も自然と身についていた
ということもあるかと思いますし
その時取り組めなかった項目も
別の項目に取り組むことで
できるようになることもあるかと思います。
全部を完璧にこなす必要もないかと思います。
上から順番に取り組みやすいように
並べたつもりですが(多少例外あり)、
このあたりは自分がやりやすいことから
取り組んでいくのがよいかと思います。
テーマの理論的背景
各目次は自分が回復した経験から
大事だなあと思ったことを羅列していますが
経験則だけではなく、一応理論的な背景もあり
様々な心理療法や理論をブレンドしています。
主なものに関しては以下の通りです。
マインドフルネス
セルフコンパッション
アサーション
認知行動療法
認知処理療法
弁証法的行動療法
スキーマ療法
STAIR Narrative Therapy
アクセプタンス&コミットメントセラピー
メタ認知療法
対人関係療法
メンタライゼーション
ソマティックエクスペリエンス
センサリーモーターサイコセラピー
ポリヴェーガル理論
内的家族システム療法
感情焦点化療法
AEDP
この中でも以下の2つの
『マインドフルネス』と
『セルフコンパッション』は
複雑性トラウマを良くするにあたって
中心的なコアスキルだと思ってます。
過去を思い出すだけがトラウマ治療なのか
トラウマ治療のメインストリームを占めていたのは安全な環境下でトラウマへの記憶を思い出すことで乗り越えられるといったものでした。
この考えの代表的な治療法の一つである『持続エクスポージャー法』と呼ばれる行動療法に基づいた技法を紹介します。
なるべく簡単に説明します。
PTSDの症状が慢性化するのは、
トラウマを思い出させるような
出来事や場所また記憶等の刺激を
極度に回避したために
トラウマ記憶が適切な処理を受けなかったから
という理論に基づいたものになります。
もっと簡単に説明します。
不安や恐怖という感情は本来感じ尽くせば、
時間経過とともに消えていくものです。
しかしその不安や恐怖があまりにも強すぎると
日常生活の中で
特定の記憶を思い出すような
場面に行かないようにしたり
特定の人を避ける
過去を思い出さないようにする
など回避行動をするようになります。
回避する行動をとると
不安や恐怖を感じることは少なくなります。
ですが、恐怖や不安を感じなくなる
というメリットがある為
回避する行動はどんどん増えます。
そうすると
不安や恐怖に向き合わなくなります。
その消化されなかった不安や恐怖は
いつまでも脳で処理されず残ってしまいます。
持続エクスポージャー療法は
その悪循環を断ち切ろうという治療法です。
避けていることをやめ
立ち向かうことを目指しています。
「これなら立ち向かえそう!」と思えるものを
下から順番にリスト化し階層表にして
スモールステップで取り組む準備をします。
そして不安や恐怖を生み出す刺激
(実際現実で回避している事や
過去のことを想像で思い出す事)に
立ち向かうという治療法です。
上だけ見ると治療者が患者に対して
避けていることを無理やり向き合わせる
といった乱暴な治療法に見えますが
そうではありません。
「持続エクスポージャー療法」の
フォローをいれました(笑)
ただ、読んでいてお気づきの通り
この治療法はとても難易度が高いです。
そもそも向き合うのが怖くて
嫌だから避けていたのです。
また、過去を思い出すだけでも
それだけで圧倒されてしまい
トラウマの再体験になることもあります。
どのようなPTSD治療であっても
トラウマのことを思い出すことが
必要になる時がくるタイミングはあるのですが
トラウマに向き合うにあたって
このようにトラウマと
直接的に向き合う治療法以外でも
より安全にトラウマに取り組めるような方法はあります。(そのメインがマインドフルネスとセルフコンパッションです。)
それをこれから記事にしていくつもりです。
複雑性トラウマはなぜ治すのが難しいのか
上で書いたことは
PTSDの症状を治すための治療法の一つです。
しかし、複雑性トラウマの場合は
PTSD症状に加え、症状は多岐に渡ります。
下記はその一例です。
つまり、フラッシュバック、回避、解離
といったトラウマ症状に取り組むだけだと
治療としては足りないということです。
なので、上に書いたみたいに
多面的に取り組む必要があります。
PTSD症状にだけ取り組んでも
感情調整の問題
対人関係の問題
認知(考え方)やスキーマ(価値観)の問題
などは自然には解決しません。
マルトリートメントによって育まれなかった
感情調整不全や対人関係の問題
の対処スキルを獲得していく必要があったり
その環境で生きていく為に歪まざるを得なかった認知(考え方)やスキーマ(根付いた価値観)を
変容していくことも必要になります。
複雑性トラウマに取り組むのは
まさに総力戦で人生を変えていくことです。
ここまでで前書きは以上となります。
長い文章を読んでいただき誠にありがとうございました。
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