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タマレスを包む

タマル(tamal; 複数形: タマレス, tamales)は中米発祥のちまきのような食べ物で、コロンビアでもよく食べられています。もち米ではなくトウモロコシをすりつぶしたものを練って具といっしょにプラタノ(英・プランテン; バナナのようなもの)の葉に包んで蒸したものです。具はひよこ豆や鶏肉、ベジタリアンのものも。ちまきなど飲茶が伝統的に朝に食べられているように、コロンビアのタマルも朝食として愛されています(ところで、コロンビアではタマルやスクランブル・エッグにスープなど朝からがっつり食べる習慣があり日本人にもなじみやすいですが、アルゼンチンなどでは朝にしょっぱいものを食べないことで有名なイタリア系移民が多く、朝はペイストリー(甘いパン)とコーヒーなどで軽くすませてしまうことが多いようです)。

コロンビアでは路上で売られていたり(特定の曜日の朝になると路上販売の人が「タマーレース」と声を上げて通りがかる)、スーパーでもみかけるタマレスですが、私は家の向かいにあるカフェテリア(いわゆる大衆食堂)によくいって朝食メニューのタマルを注文します。

包まれた状態のタマル

オレンジ・ジュースと一緒に頼んで10,500ペソ(およそ300円)。スーパーなどでは半額程度でも買えます。サイズ感が分かりづらいですが、入っている器はスープ用のものなので中身だけでどんぶり一杯分くらいあり、私は8~9割くらいまで食べていつもお腹いっぱいになります。

開いたタマル、卵にフォークが刺さっている

こちらの店の具はゆで卵、豚バラ、鶏肉のドラム、にんじん一切れとひよこ豆。ちまき同様、プラタノの葉が香りづけになっており包んである葉を開くと蒸気とともに香りが漂います。食感はもち米とは違いもっちりとはしていませんが、ほどよい弾力があり肉の出汁もしみ込んでおりスパイスと相まって飽きの来ない味です。

ビーガン仕様のタマルはにんじんが見える

こちらは別の店で食べたものでビーガン仕様で、具は野菜とひよこ豆のみ。


さて、コロンビア料理の中でもタマレスは好物の一つですが、私の交換留学先の大学のシアターの修士課程のメンバーでハロウィン・パーティとしてタマレスをつくることに。

緑色のプラタノの葉

タマレスに欠かせないのはプラタノの葉です。国民食とはいえスーパーでは手に入らないので、以前紹介したハーブ専門の夜市に友達と行って購入。今回はメキシコ風タマレスをつくるということでトウモロコシの葉を探しましたがプラタノの葉しか売っていませんでした。

立てかけてあるプラタノの実

売られていたのは市場でも奥にあるひっそりとしたエリアで、呼ぶと店員の小さなおばちゃんが寝ていたのかプラタノの立てかけてある棚の陰から出てきました。葉の束といっても大きくまだ青いので重さは数キロはあります。市場ではほかに見たいものもあったので、買ったものを一度おばちゃんに預かってもらって葉は後でまた取りに来ることにしました。


それではタマルを作っていきますが、私は基本的に玉ねぎなり唐辛子なりパクチーなり野菜を切っていただけなので細かい工程は紹介できません。ごめんなさい。

切った小ぶりの玉ねぎ

この日は珍しくアイライナーをしたのに玉ねぎを切りながら泣いていました。

葉をコンロであぶっている

プラタノの葉は使う前に一枚一枚丁寧にあぶっていきます。

具の入ったボウルがテーブルに置いてある

今回用意したのはビーガン仕様と牛のタマルの二種類。ボウルに入った白い生地を葉の上に乗せ、その上にしいたけあるいは牛肉、そして玉ねぎ、パクチー、最後にソースをかけて準備完了。

具をのせて葉を包む前の状態

葉は切れ目が入っていることもあるので二枚重ねて使いました。これを丁寧に折ってからひもで縛ります。コロンビア式は最初の写真のように上で束ねていますが、メキシコ式は封筒のように折って平たく作ります。

出来上がったタマレスがテーブルに置いてある

そしてまとめて一時間ほど蒸せば完成。今回は皿の代わりに余っていたプラタノの葉をテーブルに敷きました。

開いたタマル、ソースがまだらになっている

中身はこんな感じでソースと具が生地によく絡んでいます。チリ・ソースは今回辛さを三段階用意して、食べるときにもソースをつけ足して食べました。コロンビア風よりも小さいので生地よりも具の主張が強く(手作りだからかもしれませんが)贅沢な味わいでした。おにぎりの感覚でさっと食べられるのもいいですね。


おまけ1。スペイン語には「サ行」の発音がないのと基本的に最後から二番目の音節にアクセントがつくので、「しいたけ」と発音しようとすると「ちけ」になってしまってかわいい。

おまけ2。夜市で友達が買ったアルバカというバジルに似た葉をわけてもらいました。

アルバカの葉を洗っている

何に使うかというと、バジルと同じような風味なのでペストというパスタ・ソースにします。作り方は簡単で、アルバカ(あるいはバジル)とオリーブ・オイル、塩、にんにく、ヒマワリの種をミキサーにかけるだけです。欧米のスーパーではよく出来合いのものが瓶詰で売られていて、トマト系のソースに次いで親しまれています。

容器に入ったペスト、緑ががかっている

紫のペストになると聞いていたけど時間が経っていたからか混ぜすぎたからかバジルと同じ緑色になってしまいました。バジルと違い青っぽい葉の味もしましたが美味で、リングイーネに絡めたりアレパに乗せておいしくいただきました。

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