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そのたった一言がぼくの心には必要だったよ|手と仕事#4

カメラマンとして嬉しい仕事を手にした。
 
とにかくうれしかった。
ずっと関わりたかった団体でずっとやりたかった仕事、憧れなのかなんなのかぼくにカメラを教えた師匠がいる世界に片足を突っ込んだ気がして、とにかく嬉しかった。
 
その世界には、ぼくの人生の価値観をぶっ壊した人も、カメラの魅力を教えた人もいて、常識っていう概念から逸脱した人たちもいる世界。
 
その仕事が決まった朝、昔お世話になった人たちに嬉しくて連絡してしまった。

あなたたちのいる世界に足を突っ込むことになったと、10年もかかった、10年もかかってようやく言えた。ずっと目標でしたって、やっとぼくは師匠に向かって言えた。
 
師匠からもらった言葉は少なかったけれど、聞きたかった言葉が聞けて、今までの全部がこの言葉を聞くためにあったんじゃんないかってぐらい嬉しくて『全部報われた!』って思ったら朝からぼくは嬉しくて泣いていたんだ。
 


ぼくが現代アートというモノに触れたのは2013年。ぼくはまだお酒が飲めるようになった頃で、今思えば結構やんちゃで、周りからどう思われてたのだろうかって考えると不安になる。 
そんなまだまだ若い時にぼくはアーティストたちと一つの作品を作ったのだ。たくさんの市民ボランティアの中の1人として、"アート"と呼ばれる世界を初めて経験した。
 
周りには良くも悪くも普通じゃない大人たちが集まってきて、ぼくの築き上げた価値観ってやつを一気に崩しやがったんだよ。笑
でもそれが心地よかった、それが清々しいほどに、意図のない壊し方にある種の快感ってのをぼくは覚えた。

多分この時から思っていた。
アートの世界に関わりたいと。

何度も挫折を繰り返しながらも、ぼくが求めたのはたった一言

ぼくはどんな言葉よりも、誰の言葉よりも、あの人の言葉を欲していて、どんな写真をとれば認めてくれるだろうかってそんなことばかり考えていました。

まるでRPGで村から進まないままレベルが上がっていくみたいに、次のステージには行けるレベルなのに、必要な鍵を持ってないみたいな。

けど、他の誰よりも欲したたった一言は、ぼくからアクションを起こすことで驚くほど簡単に聞けた。

聞いてしまえばそんなに大したことはなくて
それでも、ぼくの中にしっかり落ちてきて、聞けてよかったと思える。
 
 
まだまだこれから。
まだフィールドに立ったばかりだ。
これよりも先に、もっと遠くに憧れの人がいる。
もう背中は見えた。あとは捉えるだけだ。

美味しいご飯に使わせていただきます