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勤め先の書類に、僕のパートナーの名前を記入した話。

僕が勤めてる企業は、LGBTQフレンドリー企業ではありません。そんな企業で、誰にも知られず、ある書類で僕の名前にパートナーの名前が並びました。
今日はこのことをお話ししたいと思います。

 

僕が勤める都内のある中小企業はLGBTQフレンドリーを掲げていません。
映像教材を各社員が必ず1度は観ること、という最低限のLGBT研修は行われましたがそれ以外の取り組みは特にありませんでした。
珍しいことではなく、日本の大多数の企業の大半はLGBTQフレンドリーは掲げていません。
映像教材を観る研修をしているだけでも、取り組んでいる方の部類だと個人的に思います。

実は4年前、2016年9月25日に僕は愛するパートナーとフォトウェディングを挙げました。(大好きな東京ディズニーシー15周年の年でした!)
このことについてもいつかnoteに書いていきたいと思います。彼女があまりにも可愛くて。今でもよく思い出すんです。えへへ。

勤め先では、異性愛者であれば、社員の結婚時に特別休暇とお祝い金が支給されます。
僕は公式にカムアウトをしていないので、当然ですが会社からは特に何もありませんでした。
カムアウトしたらそれらを受けることが出来たのかも謎です。
当時は土日の休みで撮影をし、翌営業日にはいつも通り出社して平常通りの業務を行いました。

だからと言って悲しい!とかなんでよ!とはあまり思っておらず。
「自分がカムアウトして、立ち向かおうと思ってないのだから仕方がない」と考えていました。
会社だって、そういう要望を正式に声に出したら「そういう社内需要があるのだ」と認識できますが、声を上げないと自分の会社のこととして何かLGBTQに対応していこう!とはならないんだと思います。
社内に当事者がいてそれが明確である事柄(例えば介護に困っている社員が実際にいるとか、子育ての為の時短勤務希望があるとか)を優先して対応していくものです。

僕は社内で一部の仲の良い同僚と、ひとりの直属の上司だけにはカムアウトしています。
幸いにも相手がみんなアウティングせずにいてくれるので、公にはカムアウトしていない状態でした。
なので、上記の「まぁ仕方ないか」という考えに至ります。

 

上司にカムアウトした際の記事も以前書いたので貼っておきますね。

上司へのカムアウトは、「部下が今後どういうキャリア形成をしていくか、女性なら結婚したらその先働くか否かなど、きっと気になるところだろう」と思って伝えることにしました。
よかったらこちらも読んでみてください。

 

長々と前置きを書きましたが、こんな感じでカムアウトしたりしなかったりで特に大きな問題もなく社会人として勤めています。

大好きな浅野いにお先生の「ソラニン」の作中曲の歌詞にある、「ユルい幸せがだらっと」続いているような。仕事は辞めないけど。

 

そんな時に「困ったな」と思うことが起きました。

新型感染症の流行です。

「自分がもし罹患したら?周囲が罹患したら?」これも心配ではありますが、「自分に何かあった時の対応」を考えてみると、会社に届け出ている「緊急連絡先」ではパートナーである彼女に連絡がいかないことに気が付きました。

勤め先では会社や仕事先で自分の身に何かあった時に、社員から預かった「緊急連絡先」に連絡をします。
この書類の提出は入社時と、結婚した際で実家や伴侶の連絡先を登録・更新を行うのですが、フォトウェディングを挙げたことを会社に伝えていない僕は、入社時に登録した実家と父の連絡先しか登録がありません。
僕に何かあっても、パートナーには連絡がいかないのです。

感染症の流行がきっかけで、「もし自分に何かあっても彼女に連絡がいかないのか」と改めて考えるととても不安。
出来ればこの「緊急連絡先」にパートナーの連絡先を加えたい……

 

そこで総務部長(とてもフレンドリーなタイプの柔和な男性です)にメールを打ちました。
僕は昨年秋から心の調子を少し崩していて、総務部長を通して産業医のお世話になっていたのでそのメールのついでに“お願い”をしました。

緊急連絡先の件で質問です。
現在緊急連絡先の登録を実家の電話番号にしているかと思うのですが、それに一緒に生活しているパートナーの連絡先を追加したいです。
●●さん(直属の上司)にはお話ししているのですが、ここ4年程同性のパートナーと生活を共にしています。
ご存じの通り、私は現在体調不良もあり定時に退社させていただいております。この先体調の悪化など、自分の身に何かあった際に、実家と同様に彼女にも連絡をしてもらいたいので連絡先に加えていただきたいのです。
通常、連絡先の登録は婚姻の関係のある場合の追加でイレギュラーの対応になるのかなと思うのですが、お願いできないでしょうか。
アウティングは望みませんので、出来れば大げさにはしたくありません。
宜しくお願い致します。

なんとなく、それまでの産業医の先生との中継ぎなどで信頼できる方かな、と感じていたのでこのようにお送りしました。

とはいえ送信ボタンを押すのに緊張しなかったと言えばうそになります。帰り際にメールを送り、逃げるように退社しました。どう思われるだろう。さすがの僕も鼓動が早くなりました。

 

翌日出社すると、昨晩、こちらがメールを送ってすぐの時間に返信が届いていました。

「報告の際は、誰には伝えてもいいかなと思いますか?もちろん必要最低限にしか他言はしません」

なんだかほっとしました。この人に連絡してよかった。

誰に伝えるか。報告に必要そうな経営陣を思い浮かべます。最低限必要そうなのは二人。社長と所属部部長。社長は性格上、アウティングはしなさそう。でも部長は大雑把で天然なところがあるから伝えるのは心配(悪気がない、が一番こわい)……ということを厚めのオブラートに包んで返信。

 

了解しました。とメールが帰ってきてから数日後。

「ご依頼の内容、思ったより早く案内が出来そうです」

と連絡が入りました。

あ、案内……?

「案内」とはどういうことだろう。社内へ「案内」するということだろうか。
てっきり自分だけイレギュラーで連絡先を加えてもらうものと思っていたけれど、もしかして名前は出さずとも公に「LGBTに配慮しました!」とかするのかな……?
ちょっと想像すると、カムアウトしていない人に「誰か当事者がいるの?」なんて嫌な勘繰りが起きそう。
もし自分以外にも当事者がいたら「余計なことを」なんて思われないだろうか。
僕は穏便に働いていたいのに。

考えれば考えるほどなんだか深堀りするのがこわくなり(触らぬなんとか)、それでも総務部長の人柄を信じて、「かしこまりました。よろしくお願いいたします。」とだけ返しました。

 

更に数日後。社内SNSに総務から連絡が流れました。

「新型感染症流行に伴い緊急連絡先を整理・再登録を行います」
所定の用紙に連絡先を記入、既に記名された社用封筒に糊付け、割り印をして提出してください。

とのこと。配布された用紙を見ると、実家・自宅・親・配偶者に並んで「パートナー」の5文字があった。

連絡にも書面にも「LGBTQ」の文字はどこにもありませんでした。

 

現在、封筒は総務部で保管されています。

彼女の名前と連絡先が僕のパートナーとしてその書類に書かれていることは、直接的に知る人はほとんどいません。

静かに、僕のパートナーとしてそこに名前が書かれています。それだけ。

もしかしたら、誰かのパートナーの名前もいるのかもしれない。

 

僕の勤め先は、表立ったLGBTフレンドリーな企業ではありません。
しかしこの夏、なんのアピールもなく勤め先の緊急連絡先に、愛するパートナーを選ぶことが出来るようになりました。

 

 

今日も僕は仕事にぶつくさ文句を言ったりしながらも、異性愛者と変わらずこの会社で普通の毎日を送っている。

 

こうして僕のユルい幸せがだらっと、途切れることなくまた続いていくのです。

 

 

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コメント (5)
ゆびきゅうさん>
コメントありがとうございます🙏🌈✨
彼女さん、同じ会社なんですね!素敵✨
日本のほとんどがLGBTQフレンドリーではないですもんね。同じ会社だからこそ言いやすいのか、言い難いのか…どちらの側面もあるので慎重になりますよね💦
「自分になにかあったら彼女に連絡がいく」ことに安心感があったので、いつかお二人がカムアウトされた際にお勤め先にぜひ希望してください!保険みたいなものなので。
僕の勤め先もこれから色々対応が増えたらいいな〜とは思うものの、完全なオープンにする覚悟がまだないので難しいなと思います。でも当事者が入社した際の力になれたらとも思ってます!
コメントだけでなくフォローもありがとうございました!これからよろしくお願いします✨
仲間がいると思えるだけで頑張れますね( ˘ω˘ )
これからもよろしくお願いします‼️
「俺(私)の周りにLGBTなんていない!」について/職場でのカムアウトの話 と合わせて読ませていただきました。上司の配慮ある対応にとても感動しました。
LGBTQの方々が自然と、不必要な意識をめぐらす必要のないように日本社会に「パートナー」という言葉がもっと普及するといいなと思いました。
自分はまだ大学生という身分で19年間でLGBTQの方にはお会いしたことがないです。しかし、裏を返せば打ち明けられるようになれていないのかもしれません。もし、その時が来たら当たり前のように自然と受け入れたいと思います。
てんきあめさん>
コメントありがとうございます!
まだ当事者の方とお会いしたことがないけれど、カムアウトされたら自然と受け入れたいという気持ちがとても嬉しいです。この2本の記事を書いてよかったなぁと思いました。
こちらこそ、読んでくださりありがとうございます。
今の十代の方々に流れる空気感は、残念ながら僕の実生活では肌で感じることが出来ていないのですが、てんきあめさんのように考えてくれる方が自然と居てくれると、同世代の当事者にとって生きやすくなると思います。そうすれば、ジェンダー問題ではなくてもてんきあめさんが困った時に、周りに相談したりしやすくなるかな、と。
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