畑でハーブ園をつくっています。有志数人と手入れをして、ハーブの活用の仕方をゆっくり試しながら、無理なく暮らしに役立てています。ハーブは1株からでもたくさん採れるので、何人かでやると、余すところなく楽しめます。 春のハーブは、5月から6月にかけて最盛期をむかえます。涼やかな紫色のラベンダーはこぼれんばかりに咲き誇り、セージやマロウ、カモミールなど、どの花もきそうように花を咲かせます。ハーブの花の紫やピンクは神秘的で奥深く、鑑賞用の花のそれとは、何かがちがう。華やかだけど、
旅でなくてもいいのだけれど、ちょっとした目的地をもって、見知らぬまちを歩くのが好きだ。すこしの緊張感と、新しいなにかに出会えるワクワク感。なにより、そのまちでしか感じられない"空気"を、こころに持ち帰ることが好きなのかもしれない。 まだ寒さののこる、三月のこと。山あいの村落の、瀟洒(しょうしゃ)なカフェをめざしていた。今はつかわれなくなった、村の幼稚園を利用したカフェだ。駅からすこし歩き、幼稚園とふるびた小学校。ただそこに行くためだけに架けられた、ノスタルジックな橋をわ
先日、小学三年生の男の子が、スケッチ教室に参加してくれました。 スケッチ教室は、貸農園の畑のなかに机をならべ、あおぞら教室で開催しています。ここは、おとなもこどもも、自分の感性をつかって楽しいことだけをして、みんなで共有する。そんな時間と場所です。 はじめての参加かとおもったら、2回目だそう。記憶をたどるけれども、なかなか思いあたらない。お母さんのお顔にも見おぼえがない。 よく聞いたら、参加したのはもう3年以上前のちいさな頃で、その時はおじいちゃんおばあちゃんと一緒
先日、漫画家の鳥山明さんがお亡くなりになった(2024年3月1日没)。 よく知っているのに、なぜかずっと生きていらっしゃると思い込んでいるのがマンガの作者ではないだろうか。マンガの主人公が年をとらないように、作者も年をとらないような錯覚。 長谷川町子さんでも、さくらももこさんでも、お亡くなりになったときはとても悲しかったけれど、鳥山明さんに関しては、自分でもびっくりするほどショックを受けた。 みんなも同じかもしれないけれど、子どものころの生活の、楽しみの大部分をしめてい
いろんな山に、次々と山登りができる友人たちが不思議だった。 山には、都会とちがう、さまざまな危険がある。山には、きちんとした道がないし、地図とコンパスがなければ、あっという間に、道にまよう危険性がある。命をおびやかす危険ないきものや、ケガの可能性もある。 まず、どの山に登るのか、無数にある山の中から選んだとする。 次は、どのルートを選択するのか、何時間のコースにするのか、下山はどの方向に、と、山に登るまでに、たくさんの決断をせまられる。 見たこともない場所のことを、自分
前回の記事で ”おさんぽスケッチの魅力” について書きました。 「やってやって~!」という、地元のパン屋のお姉さんからの一声で、以前から自分もやってみたかった”おさんぽスケッチ会”が実現することになりました。楽しみと緊張がいりまじる、自分発信のイベント。 場所は、本当にいつもの、何でもないお散歩コースにすることに。本当にこんな場所でいいのかなぁと不安な気持ちもありましたが、誰の家のそばにもあるような普通の場所で、素敵なお散歩コースを見つけること。 そこで好きな植物や
絵を描き始める前から、自分を支えるためにやっていたことが散歩。 家のまわりの好きな場所を歩いて、植物たちを見つけて、季節を感じて、ほっとしてすっきりして家に帰る。 散歩の途中で見つけた植物の、葉っぱや木の実を拾って帰って、家でスケッチし始めたのが2017年頃。見つけたものを、ただ紙の中に写しとっていく、ただそれが楽しいということを知りました。 以来、絵を描く楽しさと自然の中で過ごすことで自分が癒されていくので、外でのスケッチをずっと続けています。 スケッチをすると、自分
前回の記事では、日々の中でちょっとした新しいものに出会うことの楽しさを書きました。今度は逆に、”習慣の楽しみ”というのもあるなと、クリエイター仲間の友達と話していて気付きました。 日常の中で習慣の楽しみを感じるもののひとつが、カレンダーかなと。2021年、2022年と、季節の植物を描いたオリジナルカレンダーを販売しました。 2017年、それまでの人生でほとんど絵を描いたことがなかったのに、植物をスケッチする楽しさをしり、絵を描き始めました。その当初から、自分の絵でカレンダ
先日、農園の管理人さんが育てられた綿花の枝をいただきました。今年、管理人さんは2つの珍しい植物を育てていて、そのひとつが綿花。私たちの衣服のもとになっている綿のお花。オクラの花みたいな、綺麗なお花が咲きます。もうひとつは、全く見たことのないようなロケット型の実がたくさんつく植物でした。これは何ですかと尋ねると「ゴマ」だそう。綿もゴマも、私たちの暮らしに密着したものなのに、どんな植物か想像したことさえなく、驚きました。 家庭菜園の小さな畑でも、5年も続けていると、たいていの野
村上春樹さんの「職業としての小説家」という本を読みました。 村上春樹さんが、どのようにして小説を書いているかを記された本です。おそらく、小説家を目指す人、物語を作ろうとする人に向けて書かれた内容なのですが、絵を描くことを主としている私の心に響く、大切なことが書かれていました。 この本を読んだのはちょうど、絵を描くのが少し楽しくないような気がして、絵から少し離れようと思った時に手に取った本。その本が逆に、絵を描くことの基本を思い出させてくれました。これからも、絵に関して何か
昨年、お仕事で畑の春夏秋冬の絵を描かせてもらう機会をいただけました。(株)マイファームさんの「つくる通信」という季刊情報誌に2ページのコーナーを持たせていただき、春夏秋冬の畑の絵や、楽しみ方について書きました。 編集長さんのアドバイスで、“色”をテーマにした『いろどりポタジェ』というタイトルの連載になったのですが、始めは絵と記事を書くのに必死で、テーマの色については深く考える余裕がありませんでした。 でも、初回の春のイラストを描きあげたときに、自然と黄色い背景の絵になって
絵を描くとき、屋外に出てスケッチすることを基本にしています。冬は寒いのでなかなか屋外スケッチに踏み切れないのですが、立春も近づき、久しぶりに京都北山の府立植物園に出かけました。 植物がたくさんあるところに行くと、ホッとし、無意識の緊張がゆるみます。ふだん都会では眠らせてしまっているいろんな感覚が開いて、美しい植物たちがどんどん目にとびこんできます。冬の植物園は花が少なく、人もまばら。でも、絵を描く気持ちの私にとっては見どころ満載です。 午前中の植物園はまだ雪が残っていて、
窓に差し込む強い西日が、一般的にあまり好まれないと知ったのは、かなり大人になってからのこと。実家は、家の大きな窓が西側にむいており、その窓から毎日、天王山を含む京都西山の山並みをながめていました。沈む夕日、美しい夕焼け、西山のふもとならではの暮れていく町の風景をあきることなくながめてきました。 西山は毎日確実に、おおきく色や形を変えました。春夏秋冬の色だけではなく、雨の山、雪の山、くもりの山。雲にかくれたり、霧がのぼったり、深い陰影をおとしたり。 朝起きて、今日の西山を見
昨年、個展を開催するにあたり、はがきに地図が必要になりました。会場は、みんなにぜひ来てほしいような、ステキな場所にあるので、周辺の神社や公園、池なども載せたマップが欲しいと考えました。 既存の地図を探しましたが、きちんとした地図はどこにも見当たらず、自分で描くことに。毎日のように散歩している場所。周辺で見つけられる鳥や植物、春夏秋冬の魅力など、載せたいことが多すぎて、はがきサイズのDMに載せるには明らかに多すぎます。 情報量を減らして、本当に最小限にそぎ落として、とてもシ
昨年の9月、個展期間に、4回ほどスケッチのワークショップをしました。 個展は、長岡天満宮という神社の中にあるカフェで開催しました。鎮守の森や公園が隣接する絶好のロケーションを生かして、散歩しながら描きたい題材を拾ってきます。 ”描きたいと思うものを、自分で見つける” そこからもうスケッチは始まっています。 何を見つける?何にときめいた? 自分の心の小さな声に気付いて行動にうつす、その体験をしてほしくて、このワークショップを行いました。 いつもの神社、いつもの公園。絵を描く
あけましておめでとうございます。 昨年はnoteの定期更新を目指したにもかかわらず、気づいたら2022年になっていました。 久しぶりにnoteを開いたら、9月の個展のお知らせで終わっており… 2022は、何か頑張って実のあるようなことを書こうとせず、たんたんと活動を報告する、日々の記録にしていこうと思います。それなら今年はできる気がする。今日noteを開いたら、なぜかそう思えました。 頑張って一生懸命考えたことを、なんとか書こうとすればするほど、見る人もなんかしんどかっ