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理想の美容室

美容室に限らず個人店はそれぞれの個性がでて面白い。口を揃えてお店のオーナーはこう言うだろう。


「世界の中でどこよりも好きな場所は、自分の店です」


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「店」は「見世」とも言う。


「店棚(みせだな)」の下略で、店は「見世」とも書く。

見世棚は商品を並べて客に見せる棚の意味に由来するため動詞「見す(見せる)」の名詞形「見せ」と言える。

見世棚の上略語「棚(たな)」も「店」と同じで意味で用いられ、「店」を「たな」と読ませることもある。

 引用 : 語源由来辞典


美容室は「サロン」だから「店」とは違う。って声も聞こえてきそうだけど、美容師はデザイナー・職人・接客業・アーティストと、人によって様々な解釈があり、限定するのも難しいのでその辺はまた別の機会に。ちなみにサロンの意味は「社交場」だ。


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視覚からの情報が大切なんてことは、僕がわざわざ文字に起こすまでもなく、みんな自覚しているだろうけど、だとしても残そうと思う。自分自身のためにも。もちろん見た目が整っていれば大丈夫だなんても1ミリも思っていないのは確かだ。嫌と言うほど聞いてきたよね。目に見えないものが大切だと。


冒頭にも書いた通り、個人店は、オーナーの個性が出る。しかも誰にもとがめられることもないから、好きな絵も、オブジェも、照明も、際限なく飾ることができる。よく吟味し、たくさん考えたりしながら、自分そのものを映していくことが許されるような場所は、他のどのお店でもなく自分の店でしかない。

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ただ、とがめる人がいない故に「やりすぎ感」が出てしまわないように均衡を保つのが大事だったりする。


業種にもよるが美容室の場合は一人で過ごす時間だからこそ意識したいところ。深呼吸してリラックスしてもらえるような余白は残しておきたい。


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生けどりにした景色を、窓という軸に装飾。


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切った髪がはらはらと舞い、ほどけていく五感。


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かつて意味のあったものは、意味のない美しさを纏っていく。


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僕は、昔から髪型を変えるのは好きだったけど、美容室の華美すぎる装飾が苦手だった。



かといってシンプルな空間にデザイナーズで固められた内装は、隙が無さ過ぎて緊張してしまう。

アンティークな雰囲気も好きだけど、どうしても必要な、シャンプー台やドライヤー等の美容機器が妙に浮いてしまうのが気になる。


さすがにここまで古いもので統一することはできない。機能的にも、衛生的にも。

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できたらシャンプーからカットまで同じ人に担当してもらえたらなー…とずっと思っていた。美容室のシステムをよく把握する前の学生ながらも、指名して行った美容室で、過ごす時間の半分以上をアシスタントの人に担当してもらった時に「指名」って何?って疑問になった。


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お店視点であれば、通りから目立たせ、表から室内が見えるようにするのが一般的だが、思い返してみると、僕がお客として利用する店で心地よく感じるのは、控えめな店内だけど季節のうつろいを感じられる静かなお店だった。


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1年の流れを七十二候、二十四節気という暦がある土地で暮らしていりのだから大切にしたい。自然との共生が潜在的に残っているのだろうか。


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地球を汚しているのは結局は人になる。罪の意識を持ちながら行動や選択を少しずつ変えていけば美しい関係性が描けるのではないか。スマホとパソコンを捨てて電磁波から逃れて無人島で生活するなんて不可能だから。


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お店という「場」を持つ者の役割はその場で完結するわけじゃなく、何かを感じて、お店を出た後にも響いてくると思う。僕も過去にそのような体験をしているからそれは確信している。



今の自分の店にどこまで力があるか分からないし、おこがましいかもしれないけど、何か考えるきっかけを与えられるような店を目指していきたい。これが今の考え。思考は生き物のように日々変化していくけど記しておく。自分へのこの思いが色褪せないように。


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