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私の母は父より11歳年上でした。

小学4年生だったある夜のこと。
「晩ごはんのあと、ちょっと大事な話があるの」と母親に言われました。そんなこと言われたのは人生初。意味もわからず、茶碗を片付け終わったテーブルに向かい座って待っていました。すると・・・

母:「あのね、今まで黙ってたんだけどお母さんね、実は11才サバよんでました。つまり、なおっちちゃんに言ってた年齢より本当はあと11才年上ってことになるわね。」
私:「・・・・・・」

全く意味がわからない。小学4年生の脳内は大混乱。
1.なんでそんなことしてんの?!
2.こんなこと学校の友達たちには何て言えばいいの。
3.だからこれまでも何かおかしいと思って「どうして叔父さんの方が弟なのに、お母さんの方が数字が少ないの(年齢的に年下なの)」って、何度か聞いたじゃん?!
4.今まで親の年齢聞かれても「なんか私そういうの知らないんだよねー」って、頑張ってうやむやにしてきたのに。。

まあ主にそんなモヤモヤがいっぺんに頭に浮かびましたよね。

と同時に、テーブルをひっくり返して外に飛び出して行きたかった。とにかくその場を離れたかった。だけど…うつむいて座ったままうなずくことしかできなかった。頭のキャパシティを超えるびっくり度合いだったのでしょう、小学4年生(の私)には。動けませんでした。

周りの同級生たちの親よりひとまわり歳をとっている母。
それは当時、珍しいことだったと思います。

そのことが何かの負担になってはいけないと、母は私のことを想ってこの日まで本来の年齢を隠してくれていたのでした。

母:「だからね、お父さんはお母さんより11才年下ってことになるのよ。」
私:「・・・・・・・・・・・・」

喜怒哀楽のどれでもない、経験したことのない感情。今考えても悲しいとも違うし、怒りでもありませんでした。「どうしよう」っていう動揺です。だからと言ってどうすることもないのですけれど、子どもの私には荷が重すぎました。手がガタガタふるえるやつです。

だけどこれでようやく納得がいくことが出てきました。一つは叔父との年齢差おかしい問題。そしてもう一つは、父と私がまるで兄弟のように、ひとまとめにして母からよく怒られていること。

後々母はこう言っていました。「(父は)子どもみたいなものだから、躾(しつけ)してるのと同じなのよ。それにしてもあなたと違って大人だから言うこときかないし、タチが悪いったらないわよー(笑)」


私のキャパシティはここから急激に広がりました。
広がったのだから、まあ良しとしときましょう。



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