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67:活動報告④「無謀すぎる挑戦とベナンの教育の闇」

 Bonjour!

 まずはこちらをお読みください。

○活動4クラス目
・2024年4月12日〜30日
・3年生:在籍137名+先生1人

 なぜこのクラスで活動をしたかというと、人数的に子どもたちの学力が低いだろうなと考えたからです。

 「無謀な挑戦だな」と思いましたが、「人数が多いと結果は出ない」という証明になると思い、活動することに決めました。

活動結果①
活動結果②


 在籍者が137人もいるのに関わらず、最初のテストがなぜ83人しか受けなかったかというと…午後にこのテストを行ったのですが、先生が毎日午後出勤しないので(違法)、午後は登校しない子どもたちが多いためです。

 そんなことより最初のテストのできなさは異常でした。今まで悪くても正解率0%はなかったので…。

EFF=在籍数
Pré=出席者数(毎日数えてない…)
Abd=見習い=児童労働=不登校
ABS=欠席者数(0ではないです…)


 毎回力を入れて取り組んでいる宿題ですが、今回は断念するつもりでした。コピー代が結構かかるし、丸付け大変だし、何より個別直しができない=やりっぱなし=無意味になると思ったからです。

 しかし、どのくらいの子が2の段を暗記できたか確認するために1度配布してみたところ、107人中85人が全問正解💮(なのにテストではほとんど書けていなかった…なぜ…。)

 間違えていた22人の子達には個別指導をして一緒に直しをしましたが、2の段の答えを音で覚えていても全く数字が書けませんでした。今まで11以上の数を書けない子はたくさん見てきましたが、1.2.3さえも書けない子が多すぎます…。

 一方で、宿題をコピーして何枚も提出してくれた子がいて嬉しかったです。「そういう熱心な保護者もいるんだ!」と感動しました。

お母さん?お父さん?
コピーしてくださりありがとうございます!


 ある日は全く数字が書けない子に1日だけ授業を付き添いました。1さえも書けません。お手本を書いてあげても書けないし、上からなぞることもできません。かなり深刻なLD+左利きで全ての数字を鏡文字として覚えてしまっています。

 その子に数字を書かせてあげることより、ちょっとでもできたことを褒めるようにしました。表情も暗いし周りの子どもからも「出来ない子」と思われています。学校に行かない方が幸せなのでは…と思ったりもしました。

1や2のお手本を書いても書けないし
上からなぞることもできなかったので
その子の手を掴んで一緒に書いた「2」


 題に「ベナンの教育の闇」と書きましたが、在籍137人は違法です。

 法律では「1クラスは50人まで」と定められていますが、教師不足や校舎を建てるための費用不足等で1クラス50人以下のクラスは私の活動校(12校)にはほとんど存在していません。

 ベナンの小学校は日本と同じ6学年ありますが、1校=1学年1クラスまでという謎の決まりがあります。

 そのため、〇〇小学校A・〇〇小学校B・〇〇小学校Cというように、同じ敷地内に複数学校があり、それぞれの学校に校長がいます。

各校の在籍人数一覧


 上記の画像を見て分かるように、明らかに学校Aの人数が多いです。

 なぜなら新学期の9月に校長が全保護者から2000FCFA=500円を徴収しているためです。そのお金は校長のポケットマネーとなっています。

 保護者からお金を巻き上げることは違法ですが、配属先の事務のマダムによると「すべての学校がやっている」とのこと。

 3つの学校が同じ敷地内にあるため、Aに在籍している子どもたちをB ・Cの学校に移籍させることは容易ですが、校長はお金のために人数を減らそうとしません。

 活動クラスの先生だけでなく、いろんな先生が校長に人数を減らすよう訴えたそうですが、校長は耳を傾けなかったようです。

 他のクラスの先生に「なおが教育委員会(私の配属先)に改善するよう話してほしい」と言われたので教育委員会の長(配属長)に話しました。しかし、彼は笑って「仕方ないよ」と言うだけでした。

 いつもまともに話を聞いてくれないので、JICAが配属先にくる中間報告会で訴えてやろうと思います(JICAの前ではいい顔をする彼ら)。

校長室の黒板には「142人」と書かれているが
実際は137人(全てが無茶苦茶)


 人数が多いと一人一人に指導ができないのはもちろん(人数が少なくても個別指導をする先生なんていませんが…)、とにかく暑いです。

 3人で座る椅子に4〜5人座っており、窓を開けていても教室の気温は異常で、子どもたちも私も汗だく。

 任地の教育関係者は言葉を選ばず書くと、どいつもこいつもクソばっかり!!!しかし、ベナン人に期待してないので活動でメンタルやられることは今はありません。嫌なことがあっても、「ベナン人とは価値観が違うから仕方ない」と切り替えられるから楽です。

 一方で、ベナン人が困ってることに対しては「絶対何とかしてやる」という気持ちでいます。校長のポケットマネー問題のせいで先生と子どもが犠牲になりすぎてるので、見て見ぬふりをしている配属先を絶対動かします。

私の活動の様子
毎日30分ほど授業をさせてもらいました


 「期待をしてはいけない」と今までのクラスで学んだので、今回は何も期待をしていなかったのですが、先生が私の授業を真似してくれたり、私に授業のアドバイスを求めたりと日に日に先生の授業の質が上がっていくのが分かりました。

 子どもたちのために作った教材も、他のクラスでは意図的に剥がされたり、剥がれたのに放置され、ビリビリに破れたりしていたのですが、この先生は「前の黒板の横に貼ろう!」と言ってくれました!

 個人的には、黒板付近はADHDの子たちも集中できるように掲示物を貼らない主義ですが、この際どうでもいい!(というのも他に集中できない要因がありすぎるので) 

毎日歌って覚えるんだよ


 そして今回びっくりしたのは、先生が自分の赤ちゃんのお尻をフランス語のワークで拭いてたこと。だからビリビリだったのか…と納得(?)しました。

 フランス語や算数のワークは首都から近い街は教育省から児童全員に配られますが、首都から離れている任地の学校は各クラスに1冊だけ。先生たちは全く使っていないから…とはいえモラルなどありません。

 授業以外の話でびっくりしたことは、先生の妹さんはフランスで医者をしてるということ。旦那さんもベナン人だし、地方出身なのにフランスへ移住するという価値観がある事が驚きです。

 やっぱり優秀な人ほどどんどんフランスに流れていくんですね。この国、西アフリカの中でもいろんな意味でかなりレベルが低いので…。

先生が私の作った教材を真似して板書してくれた
文字の大きさ等、突っ込みたい部分はあるが
彼女の向上心はとても嬉しい


 子どもたちは私が教室に入るなり九九の歌を歌ってくれるし、私とハイタッチをしてから帰宅するし、嬉しいこと・楽しいこともたくさんあるクラスでした。次の学校もほどほどに頑張ります。

 まとまりのない長文の記録を最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

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