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2019年7月の記事一覧
【小説】鳴らない着信音
♩〜
バッグの中に突っ込んだままのスマホから、何やらメロディが流れている。私は少しだけ躊躇って、それからスマホを取り出し画面を見た。
予想通り、そこに表示されていたのは見知った名前。つい数週間前まで「恋人」だった男の名前だ。
――今さら何の用よ。
知らず知らずのうちに眉間に皺が寄るのを感じながら、画面に表示された緑と赤のアイコンのうち、赤い方をタップする。途端、「着信中…」の表示は消えて、
♩〜
バッグの中に突っ込んだままのスマホから、何やらメロディが流れている。私は少しだけ躊躇って、それからスマホを取り出し画面を見た。
予想通り、そこに表示されていたのは見知った名前。つい数週間前まで「恋人」だった男の名前だ。
――今さら何の用よ。
知らず知らずのうちに眉間に皺が寄るのを感じながら、画面に表示された緑と赤のアイコンのうち、赤い方をタップする。途端、「着信中…」の表示は消えて、