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内部監査というキャリア~経営者への登竜門~

(1)内部監査人とは
「内部監査」というと、皆さまはどのようなイメージをお持ちでしょうか。おそらく、「不正・不祥事を摘発する警察官」のようなイメージを持つ方が大半ではないでしょうか。実は、それは内部監査の役割のひとつに過ぎません。
組織は、それぞれミッションや目標を持ち、その構成員は、達成に向けて日々努力しています。しかし、何事もなく目標を達成するということは、世の中そうはありません。「天災」、「職員の不正の発覚」、「競合他社の出現」など、理想の実現までの道のりには、不確定要素(リスク)がたくさんあります。そのため、組織に降りかかるリスクを見極め、適切に対処することは、組織の舵を取る経営者にとって非常に重要なことです。
ここで、内部監査が役立ちます。内部監査人は、社内にいながら、業務を遂行する職員(監査の世界では、「執行側」といいます。)から独立した立場で、組織に降りかかるリスクを詳らかにして、経営者が適切に対処できるように報告、助言などを行います。
経営者に助言する仕事として、「コンサルタント」という職業があります。コンサルタントは、その組織がやろうとしていることを、外部の目線で評価し、必要な助言をします。
内部監査もコンサルタントと同じように、まず組織の目標を確認し、目標に至るまでに起こりうるリスクを明らかにし、経営者等が実行しているリスクへの対応策を評価し、必要な助言をします。いわば「社内コンサルタント」のような役割が期待されているのです。
内部監査が外部コンサルタントと違う点は、内部にいるため、その組織の実態に即したアドバイスができることでしょう。
コンサルティングするわけですから、経営上の課題などをよく理解しないことには、監査できません。したがって、監査業務に携わるということは、必然的に経営を知ることにつながります。実際、欧米では、内部監査を「経営者の登竜門」と位置付けているそうです(かの有名な、ジャックウェルチも内部監査部門出身だそうです)。
以上の話をまとめます。

①内部監査の仕事は、「リスクを識別し、評価し、対応策を助言すること」
②内部監査人は、「社内コンサルタント」として活躍できる。
③内部監査の仕事を通じて、経営を学べる。欧米で、内部監査は「経営者の登竜門」

(2)公認内部監査人(CIA)という国際資格
公認内部監査人(CIA)は、米国IIA(内部監査人協会)が認定する、唯一の内部監査人の知識・技能を証明する国際的な資格です。
得られる知識は、内部監査の体系的な知識(ガバナンス、リスク・マネジメントなど)と幅広いビジネス知識(ビジネス戦略、リーダーシップ、IT、会計など)です。少し話はそれますが、これらの知識は、一流のビジネスマンとして必要な知識なので、内部監査に携わらない方も、CIAの勉強をされる方がいるそうです。
有資格者は、日本では、8,801名(2018年末時点)。世界では、約160,000名(2019年6月時点)おり、その数は年々増加しています。また、近年、不祥事が世間を騒がせ、企業の「ガバナンス」や「内部監査の強化」に注目が集まっており、ニーズは今後も増えることが予想されます。


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