なんぴろ〜(医)輝優会かがやきクリニック 院長 南條浩輝〜【在宅医療・小児在宅医療】

元新生児科医の在宅医。0歳の赤ちゃんから100歳超の高齢者に訪問診療。「ちょっとだけが…

なんぴろ〜(医)輝優会かがやきクリニック 院長 南條浩輝〜【在宅医療・小児在宅医療】

元新生児科医の在宅医。0歳の赤ちゃんから100歳超の高齢者に訪問診療。「ちょっとだけがんばればできる小児在宅医療」が合い言葉。 ※コメントにご質問いただければ、可能な範囲でお答えします。 ※個別の医療相談にはお答えできません。 ※Youtube「かがやきカンファレンス」も!

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記事一覧

コスパ・タイパを追い求める副作用

気がつけば1年以上投稿してませんでしたね。 この間も、過去の記事を読んでくださった方が結構おられ、うれしく思っています。 時期が来たら有料にしようかと思っていた記…

医師と父親、2つの立場で語ってみる全く科学的ではないコロナの話

もうすぐ5類に移行する新型コロナウイルス。 志村けんさんが亡くなった衝撃からも、早くも3年が経過しました。 私は2児の父であり、在宅医療を行うクリニックを運営してい…

移行期医療の理想と現実〜小児在宅医療の現場から見えること〜(3)

2回目を作成してから4ヶ月、かなり時間が経ってしまいました・・。 1回目の記事では、 子どもから大人になる患者さんの移行の形には 1.完全に成人診療科に移行する 2.…

移行期医療の理想と現実〜小児在宅医療の現場から見えること〜(2)

前回の記事では、 子どもから大人になる患者さんの移行の形には 1.完全に成人診療科に移行する 2.小児科と成人診療科の両方にかかる 3.小児科に継続して受診する こ…

移行期医療の理想と現実〜小児在宅医療の現場から見えること〜(1)

2022年11月29日、NHKのウェブニュースにこのような記事が掲載されました。 (下の写真をクリックで本文が読めます) この記事の中にもある通り、小児期に発症した疾患をもつ…

10周年

2022年8月1日、かがやきクリニックはおかげさまで10周年を迎えることができました。 これまでお世話になってきた連携先の皆さま、困った時に相談させていただいたり、応援…

軽症患者を救急車が断れば第七波の救急医療崩壊は回避されるのか?

最近TVで、 「軽症で救急車を呼ぶ人が多いから救急医療が崩壊している」 という論調のコメンテーターの発言を聞くことが増えてきた気がします。 これって果たして本当なの…

気管腕頭動脈瘻への「誤解」〜今さら聞けない在宅医療の基礎知識 Vol.3〜

先日までは3回に分けて、気管切開の基礎について説明してきました。 気管切開は、普段から小児在宅医療に携わる医療職にとっては接することの多い医療的ケアですが、そうで…

支援制度の改革を目指す方へ〜感情は「抑え」て、2つのポイントを「押さえ」よう!

かがやきクリニックはもうすぐ開業から10年が経ちます。 この間に、小児在宅医療の関連で様々な支援制度の変遷を目の当たりにしてきました。 また、自分自身も過去に、ある…

気管切開の基礎(3)〜今さら聞けない在宅医療の基礎知識 Vol.2〜

「気管切開の基礎(2)」では、気管内吸引について、気管カニューレより下側からの「痰」と、上側からの「唾液」や「鼻汁」に分類して説明をしましたが、後半は薬の説明だ…

気管切開の基礎(2)〜今さら聞けない在宅医療の基礎知識 Vol.2〜

「気管切開の基礎 (1) 」も多くの方にお読みいただき、ありがとうございます。 今回からは、気管切開で配慮が必要なことについて、個別にもう少し詳しく説明していきたい…

気管切開の基礎(1)〜今さら聞けない在宅医療の基礎知識 Vol.2〜

「栄養剤の比較」三部作を完成させたと思ったらオミクロン株の大流行にみまわれ、何だか本業で毎日燃え尽きたようになってしまった2月でした。 今も決してヒマになったわけ…

栄養剤の比較(3)〜今さら聞けない在宅医療の基礎知識 Vol.1〜

栄養剤の比較(1)、栄養剤の比較(2)とも、多くの方に読んでいただきありがとうございます。 もっとコンパクトにまとめるつもりが、勉強しながら書いているとついつい内…

栄養剤の比較 (2)〜今さら聞けない在宅医療の基礎知識 Vol.1〜

前回の「栄養剤の比較(1)」は公開直後から予想以上に多くの方に読んでいただきました(^^) やはりこの分野、色々悩んでおられる方がいるのだなあと実感しています。 がん…

栄養剤の比較 (1)〜今さら聞けない在宅医療の基礎知識 Vol.1〜

あけましておめでとうございます。 さて、今年は各論に入っていきたいと思います。 題して、「今さら聞けない在宅医療の基礎知識」シリーズ! このシリーズでは、主に在…

地域を変えたいなら「突き抜けるな!」

【はじめに】私はもともと新生児科医です。 NICUで働いているうちに、障害を持った子どもや医療的ケアを要する子どもが退院した後、自宅で大変な生活を送っていることを知…

コスパ・タイパを追い求める副作用

気がつけば1年以上投稿してませんでしたね。 この間も、過去の記事を読んでくださった方が結構おられ、うれしく思っています。 時期が来たら有料にしようかと思っていた記事もありましたが、ボチボチとニーズがあるようですので、このまま無料にしておこうと思っています。 ・・なんて導入からですが、こういう挙動をすると 「先生、コスパの悪い仕事をしてますね」 とか言われたりします。 あるいは、直接言われることはあまりないですが、タイパを気にする方もいますよね。 そういう方からすると、時間

医師と父親、2つの立場で語ってみる全く科学的ではないコロナの話

もうすぐ5類に移行する新型コロナウイルス。 志村けんさんが亡くなった衝撃からも、早くも3年が経過しました。 私は2児の父であり、在宅医療を行うクリニックを運営しています。 そんな立場から見たコロナの狂乱について、ちょっと思うことを書かせていただきます。 【繰り返す一人暮らし生活】コロナが日本に上陸した当初1年間ほどは、多くの医療職が自宅に戻れず泊まり込みで生活を送っている、というような報道がなされていました。 私も様々な状況で一人暮らしをしたり、自宅に戻ったりを繰り返して

移行期医療の理想と現実〜小児在宅医療の現場から見えること〜(3)

2回目を作成してから4ヶ月、かなり時間が経ってしまいました・・。 1回目の記事では、 子どもから大人になる患者さんの移行の形には 1.完全に成人診療科に移行する 2.小児科と成人診療科の両方にかかる 3.小児科に継続して受診する この3パターンがあることを前提に、発達などに問題が少なく、主に外来での治療を継続される方の一般的な課題について説明させていただきました。 そして2回目の記事では、 小児と成人の医療体制の根本的な違いを比較して説明させていただくとともに、今の移行期

移行期医療の理想と現実〜小児在宅医療の現場から見えること〜(2)

前回の記事では、 子どもから大人になる患者さんの移行の形には 1.完全に成人診療科に移行する 2.小児科と成人診療科の両方にかかる 3.小児科に継続して受診する この3パターンがあることを前提に、発達などに問題が少なく、主に外来での治療を継続される方の一般的な課題について説明させていただきました。 一方で、重症心身障害児者の方など、入院を要する可能性の高い方の移行期医療については、なかなかうまくいかないケースも多い印象です。 今回は、この背景となっている課題について、小児在

移行期医療の理想と現実〜小児在宅医療の現場から見えること〜(1)

2022年11月29日、NHKのウェブニュースにこのような記事が掲載されました。 (下の写真をクリックで本文が読めます) この記事の中にもある通り、小児期に発症した疾患をもつ大人の患者さんが、何歳になっても小児科に通い続けなければならない状況について、長らく小児科医の間では議論が続けられています。 日本小児科学会は、 「小児期発症疾患を有する患者の移行期医療に関する提言」 という文書を作成し、HPに公開しています。 これは皆さんにぜひ一度、全体に目を通していただきたい文書

10周年

2022年8月1日、かがやきクリニックはおかげさまで10周年を迎えることができました。 これまでお世話になってきた連携先の皆さま、困った時に相談させていただいたり、応援をいただいてきた大勢の先輩の皆さまや友人たち、当クリニックの活動にご理解とご協力をいただいてきた訪問先の皆さま、その他多くの方々の支えによって、この日を迎えられました。 心より感謝申し上げます。 10年前の開業当初を振り返り、今のクリニックの状況や、在宅医療を取り巻く当地の環境と比べると、本当に隔世の感がわい

軽症患者を救急車が断れば第七波の救急医療崩壊は回避されるのか?

最近TVで、 「軽症で救急車を呼ぶ人が多いから救急医療が崩壊している」 という論調のコメンテーターの発言を聞くことが増えてきた気がします。 これって果たして本当なのでしょうか?? (ここで言う救急医療とは、コロナ以外の通常の救急医療のことも含めています) 「軽症で救急車をタクシーがわりにするな」 これはその通りだと思います。 コロナで言えば、 「微熱が出たから検査してほしいけど、受け入れてくれる医療機関が見つからないから救急車を呼んだ」 みたいな話を聞くことも多いですが、こ

気管腕頭動脈瘻への「誤解」〜今さら聞けない在宅医療の基礎知識 Vol.3〜

先日までは3回に分けて、気管切開の基礎について説明してきました。 気管切開は、普段から小児在宅医療に携わる医療職にとっては接することの多い医療的ケアですが、そうでない方からは「呼吸はいのちに直結する」というプレッシャーで、どうしても怖がられてしまいがちです。 確かに、きちんと対応しなければいけないポイントはあるのですが、逆に、「何でこんな誤解が広がっちゃったのかなあ」と思うようなこともあったりして、必要以上に怖がられていることも否めないと感じます。 今回は、在宅医療の現場で

支援制度の改革を目指す方へ〜感情は「抑え」て、2つのポイントを「押さえ」よう!

かがやきクリニックはもうすぐ開業から10年が経ちます。 この間に、小児在宅医療の関連で様々な支援制度の変遷を目の当たりにしてきました。 また、自分自身も過去に、ある支援制度改革のために署名を集めたり、議会へ請願をしたこともあります。 そういう経験から言えるのは、善し悪しは別にして、 「支援制度改革は感情論では難しく、理論的な作戦を練る方が実現しやすい」 ということです。 そして、作戦を練る際に絶対押さえておいた方が良いと言えるくらい大切なのは、以下の2つの視点のどちらかがプ

気管切開の基礎(3)〜今さら聞けない在宅医療の基礎知識 Vol.2〜

「気管切開の基礎(2)」では、気管内吸引について、気管カニューレより下側からの「痰」と、上側からの「唾液」や「鼻汁」に分類して説明をしましたが、後半は薬の説明だけで長くなってしまい、他の対策に触れるに至りませんでした。 今回は、唾液と鼻汁への対策方法について、もう少し詳しく述べていきたいと思います。 なお、当面は無料記事として公開しますが、一定期間が経過したら有料記事に変更するかもしれませんので、ご了承ください。 【「唾液」や「鼻汁」を減らす薬】薬による対応としては、主に

気管切開の基礎(2)〜今さら聞けない在宅医療の基礎知識 Vol.2〜

「気管切開の基礎 (1) 」も多くの方にお読みいただき、ありがとうございます。 今回からは、気管切開で配慮が必要なことについて、個別にもう少し詳しく説明していきたいと思います。 なお、当面は無料記事として公開しますが、一定期間が経過したら有料記事に変更するかもしれませんので、ご了承ください。 気管切開をした方を生活の中で診療していて、日常的な気管内吸引の負担が患者さん本人と家族の生活の質を大幅に左右することは、間違いないと感じています。 もちろん、吸引回数を全くゼロにする

気管切開の基礎(1)〜今さら聞けない在宅医療の基礎知識 Vol.2〜

「栄養剤の比較」三部作を完成させたと思ったらオミクロン株の大流行にみまわれ、何だか本業で毎日燃え尽きたようになってしまった2月でした。 今も決してヒマになったわけではないですが、またちょこちょこと書いていきますのでよろしくお願いいたします。 なお、当面は無料記事として公開しますが、一定期間が経過したら有料記事に変更するかもしれませんので、ご了承ください。 さて、「今さら聞けない在宅医療の基礎知識」シリーズ、Vol.2のテーマは、どこに行っても質問をいただくことの多い気管切

栄養剤の比較(3)〜今さら聞けない在宅医療の基礎知識 Vol.1〜

栄養剤の比較(1)、栄養剤の比較(2)とも、多くの方に読んでいただきありがとうございます。 もっとコンパクトにまとめるつもりが、勉強しながら書いているとついつい内容が膨らんでしまいました。 さらに、今回は完結編として、微量元素を中心に栄養剤ごとの違いを見ていきますが、かなりマニアックな内容になってしまいました(^^;) 先にポイントをざっくりと言っておきますと、 ■エネーボとイノラス以外の栄養剤だけだと微量元素が全般に不足しがち  (エネーボとイノラスも万能ではない)

栄養剤の比較 (2)〜今さら聞けない在宅医療の基礎知識 Vol.1〜

前回の「栄養剤の比較(1)」は公開直後から予想以上に多くの方に読んでいただきました(^^) やはりこの分野、色々悩んでおられる方がいるのだなあと実感しています。 がんばって記事作成していくモチベーションが続くように、ぜひ「スキ」や、周りで関心を持っておられそうな方への記事のご紹介などをお願いいたしますm(_ _)m なお、一連の記事は当面は無料公開しますが、一定期間が経過したら有料に変更するかもしれませんので、ご了承ください。 前回、栄養剤の基本スペックについてと、ラコール

栄養剤の比較 (1)〜今さら聞けない在宅医療の基礎知識 Vol.1〜

あけましておめでとうございます。 さて、今年は各論に入っていきたいと思います。 題して、「今さら聞けない在宅医療の基礎知識」シリーズ! このシリーズでは、主に在宅医療に関わりはじめの方や、介護・福祉・保育・教育・行政など医療機関以外で在宅医療を要する方の支援をされている方に読んでいただくことを想定して、よくいただく質問を中心にまとめていきたいと思っています。 モチベーション維持のために、「スキ」や、SNSでの記事のご紹介などをしていただけると嬉しいです(^^) なお、当面

地域を変えたいなら「突き抜けるな!」

【はじめに】私はもともと新生児科医です。 NICUで働いているうちに、障害を持った子どもや医療的ケアを要する子どもが退院した後、自宅で大変な生活を送っていることを知り、在宅医療の世界に飛び込もうと決意しました。 そして勉強をしているうちに、 「子どもはいずれ成人するのに、在宅医療に小児も成人もない。 どうせやるなら両方できるような医師になろう」 と考え、0歳から100歳超の方までを対象に、年齢や疾患に関わらず質の高い在宅医療を提供できるクリニックを開業しようと決めたのです。