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ある使節の記録

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とある銀河団に所属する使節が人類と同盟を結ぶため単身地球へ。悪戦苦闘する不器用な使節の奮闘記。「長い、長い、休日」のアナザーストーリーになってます。ゆるBL、SF風(少し不思議)…
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#少し不思議

ある使節の記録 第1話

 ———これで死んだのは何回目だろう。  私は川からなんとか這い上がった。それにしても今…

しきのん
5か月前
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ある使節の記録 第20話【完】

「何を言うんです?」  私の声はうわずっていた。突然の非難にショックを受けていた。 「自…

しきのん
4か月前
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ある使節の記録 第19話

 女子達の厳しい視線を避けながら、私はカネチカを連れて帰宅していた。とりあえず、私の家に…

しきのん
4か月前
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ある使節の記録 第18話

 私と正宗は連れだって歩いている。何故か二人とも無言だった。………友だちとは沈黙すら気に…

しきのん
5か月前
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ある使節の記録 第17話

「良かったねー!友だちができて」  カネチカは自分の事のように喜んだ。 「ただ、僕の家で遊…

しきのん
5か月前
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ある使節の記録 第16話

 カネチカに、ああは言われたけれどいざとなると勇気が出ない。そんな事を思っている内に授業…

しきのん
5か月前
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ある使節の記録 第14話

「えー?カネチカくんがそんな事を?」  ソファに寝っ転がっていた先輩は、眠そうにそう言った。顔の腫れは引いたようだが痕が酷い。 「はい、それで、どこにいるのか心当たりは?」 「………放っておけよ。君には関係ないだろ」 「でも、巻きこんでしまいましたし」 「今回は、俺たちの話だから」 「………はあ」  私が困っていると、タナカがお茶を運んできた。 「主様の大事な殿方の行方ですよ」  お茶を口に運んでいた先輩が吹き出した。 「ぶほっ!………何言ってるんだタナカくん。殿方じゃないし

ある使節の記録 第11話

 あのあと、兄は姿を消した。  私はあえて捜さなかった。何があったか説明はしなかったが、…

しきのん
5か月前
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ある使節の記録 第10話

 気付くと、私はあてがわれていた部屋にいた。まだ雨は降っている。  あのあとどうやって先…

しきのん
5か月前
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ある使節の記録 第9話

 ———雨音がする。いつの間に雨が降ったのだろう。窓を見ると土砂降りだった。 「何を言っ…

しきのん
5か月前
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ある使節の記録 第8話

 なんでこんなことになったんだろう。よく分からない。 「あー、先輩それじゃないですよー。…

しきのん
5か月前
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ある使節の記録 第7話

 学校の屋上。この時間は人気がないので、私は正宗をそこへ連れ出した。 「———ごめん。力…

しきのん
5か月前
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ある使節の記録 第6話

 まあ、中に入ってくださいよ。と言われ私は家に入った。完全に個人宅である。どうみても拠点…

しきのん
5か月前
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ある使節の記録 第5話

 まるで迷路のようだった。  どこをどう歩いたのか分からなくなってきた頃、やっと目的の場所に着いたようだった。 「客はこの部屋に案内される」  そこは落ち着いた和室で、占いとは無縁な雰囲気だった。 「どうやって未来を占うの?」  私が聞くと、彼は黙ってふすまを開けた。そこは寝室になっていた。 「これで分かるだろ。未来を視るのはVIPの客だけ。口の硬い奴な」 「———………ううん…」  何となくしか察せられないが、深い接触で相手を占うという事なんだろう。 「あんな事、まだガキの