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高校生と入管問題!? 都立国際ver.

2022年9月、都立国際高校の文化祭で入管問題についての展示と出張授業を行いました。BOND内の高校生メンバーと都立国際高校で募集したボランティアの生徒がイベントを行い、無事成功に収めることができました。今回はイベントの様子を紹介します。

1.目的

(1)文化祭 
日本にいる非正規滞在者に取材をし、彼らの来日経緯や置かれている状況、入館施設内や仮放免下での生活をまとめて展示することで、日本の入管問題を喚起すること。結果的にはアクションを起こすきっかけになることを目的としています。 



(2)授業 
昨年度に続き、人権を学ぶ授業の一部をいただき入管問題について知ることで、日本国内で起こっている人権侵害、非人道的な行いに対して問題意識を持てるようにすることが目的です。また、同じ高校生が社会問題について取り組んでいる様子を共有することで、入管問題に限らず社会で起きていることに対してどのようなアクションができるか考えてもらうことも目的の一つです。 
 

2.内容 

(1)文化祭 

 文化祭では有志団体として入管問題に関する展示を行いました。中央に入管問題について解説するボード。前の黒板に入管、後ろの黒板に市民社会の展示をすることで、対立した日本社会を表現しました。また、廊下側の壁には市民社会の100人の声、窓には今回インタビューさせて頂いた4人の方の人型パネルを作成し、リアルな声を届けられるようにしました。 

〈インタビュー内容〉
今回は4人の方にインタビューをしました。簡単なバックグラウンドの説明と、高校生に向けたメッセージの一部を紹介します。 (一部仮名)

・バビーさん
イランから来日30年のバビーさんは収容を経験し、今もなお仮放免状態です。「10年以上前から当事者として日本の社会の無関心さを一番感じています。それはメディアの責務が大きいと私は思います。メディアは「外国人、不法だ、不法○○」と外国人のイメージを悪くするような報道ばかりします。どうして難民や技能実習生がそういう境遇にあるのか、どういう扱いをされてるのかを国民は知らないといけません。」

・エリザベスさん
ナイジェリアから日本に非難してきて31年、現在も仮放免中の方です。主に刑務所や警察などの機関を中心に、日本に在住しながら難民問題を抱える外国人のサポートを行っています。「ビザのない外国人は日本人と結婚して子供がいても夫婦だと認められず、家族離れ離れになります。 これは大きな差別です。これは外国人だけでなく、日本人の問題でもあります。」

・はるかさん
仮放免の旦那さんを持つ日本人配偶者の方です。結婚し、発達障害やダウン症を抱えているお子さんがいます。奥さんだけで経済面や生活面をまかなうのはとても大変なのに、いまだに配偶者ビザが出ません。「今は差別を改善しよう、相手の立場に立ってみよう、という努力が見えません。結婚する前と後で社会を見ると、あまりにも外国人やマイノリティへのネガティブキャンペーンが多く感じます。これからの時代を作る人たちに、今一度自分が生きる社会が今のままで良いのか、そもそも何が行われているのかを俯瞰して欲しいです。」
(注)はるかさんの旦那さんは2022年12月にようやく在留特別許可が出ました。

・なおみさん
仮放免の旦那さんを持つ日本人配偶者の方です。出会って17年。結婚して5年半。婚姻届けは受理されるものの、配偶者ビザ、在留特別許可は出ていないため、安定した生活が難しい状態です。「コンビニエンスストアや介護職など、身近な生活は多くの外国人によって支えてもらっていることを私たちは理解しなくてはなりません。働き手が不足している現代では、協力することが大切です。この外国人を排除するような姿勢を続ければ、いつか誰も助けてくれなくなるでしょう。」

〈参加された方のコメント〉
会場の出口付近に感想ボードを設置しました。その中からいくつかを抜粋して紹介します。「当事者の生の声には、大変説得力がありました。」「日本はいい国だと思っていた、という言葉がとても印象に残りました。もっと自分事だと考えて行動していきたいです。」「テレビやメディアでも紹介されていますが、偏りや制限で全てを見ることはできていません。多くの人が関心を寄せることに期待しています。」「社会の中の不条理を自分事としてとらえる視点に感銘を受けました。」「入管庁側の言い分も知りたいです。」「非常に大事な事実をシェアしてくれてありがとう。知らないで済まされないことがたくさんありました。」「私は在日外国人です。空港ではよく不法入国を疑われ別室に連れていかれます。ドアが二つあり、在留カードを出すと入ったドアから出られますが、もう一つのドアの向こうの世界を知って衝撃を受けました。」

(2)授業 

人権について学ぶ授業の中で、BONDの高校生メンバーが入管問題について解説をしたりディスカッションをしたりして、今の高校生に何ができるのかや社会問題に対してのアプローチ方法を考えました。
〈参加された方のコメント〉
「入館問題は非人道的という言葉が悪い意味で似合いすぎていて、聞いていて本当に悲しくなった。そしてこの入館を統括しているお偉いさんたち、また彼らを日本のリーダーとしてよく考えずに選んでいる大人たちにも怒りを感じた。」「仮放免の子どもたちはただ生まれてきただけで罪はない。それなのに普通には生きていけないのは想像するだけで悲しいです。」「先日ラインニュースで牛久入管でなくなった方のニュースが流れてきました。いつも使っているスマホで流れているにも関わらず私は最近までこの問題について知らなかったということは、他にも同じような人がたくさんいるのではないかと思いました。この問題について知り何も起こさないのは、認めてしまっているのとおなじになってしまうと思います。まずは、少しでも多くの人に問題意識を持ってもらうことが大切なのかなと思いました。」

 
 

3.イベントを終えて 

文化祭では合計2日間展示を行いました。当日は20人以上の方に足を運んでいただきました。最後にそれぞれが意見を書いたり感想を共有できたりするボードを設置したりしたのですが、来てくださった方が正直な思いをぶつけてくださったのでとてもうれしかったです。また、中には入管問題に詳しい方だったり、新たな問題点や視点を書いてくださったりする方もいました。それにより、この問題についての関心度が意外にも高かったことや、同じ疑問を抱いている人が同じ学校にいると知り仲間意識が芽生え、よりこの問題の解決に向けて頑張っていこうという気持ちにさせてくれました。 さらに知らなかった人にも、印象に残るような展示をすることができ、少しでも多くの人に自分事意識を持ってもらうことができ、目的を達成することができました。
出張授業では、入管問題に関するクイズを行ったり、数人の事例を出してその人に難民申請は出たのかや私たちにできることなどディスカッションを行ったりしました。感想共有の時間に難民認定率が低いことや医療放置に対して憤りを感じたというコメントを多くもらいました。一方で、どうしてもこうせざるを得ない理由があるのではないかと調べて意見を下さる方や、現代の難民や外国人労働者の話以外で在日と関連付けさせて意見を下さる方もいました。短い時間でしたが、有意義な話し合いができました。 
 

4.最後に 

 文化祭での展示と出張授業の延長線で、部活動の一つである国際ボランティア同好会でも「マイスモールランド」の上映と講演会をすることに決まりました。支部の発足と、入管問題がどんどん世に知れ渡り始めていることに伴い、高校でのイベントをこの先も定期的に開催し、多くの人に声を届けていきます。また、2023年2月23日に上野公園で「入管法改悪案阻止」デモを行うことになりました。力になりたい方や、実際に行動を起こしてみたい方大歓迎です。一緒に声をあげてみませんか?BONDとして当事者の立場に徹底して立つことを軸にこれからも活動していきます。今後ともよろしくお願いします。


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