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竜血の契り シリーズ

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創作大賞2023参加作品【竜血の契り ー翼よ、光を解き放て】のエピソードを収納したマガジンです。
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竜血の契り ー翼よ、光を解き放て#1

【あらすじ】 放浪騎士の息子ユルクは、ある田舎の農村で平穏な生活を送っていた。 ある日、…

ふぁにゅ
1年前
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竜血の契り ー翼よ、光を解き放て#13

 食堂で昼食を取った二人は、まっすぐに宿へと帰った。そして、自分たちの部屋に戻ろうとした…

ふぁにゅ
9か月前

竜血の契り ー翼よ、光を解き放て #12

「はじまりは……この国の興りにまで遡る。この都より北の山に鋼の鱗持つ竜の一族が、東の山に…

ふぁにゅ
11か月前
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竜血の契り ー翼よ、光を解き放て #11

「――結局さー、どういう話してたんだ?」  ヘーガーの邸宅を出て馬車に乗り込み、しばらく…

ふぁにゅ
11か月前

竜血の契り ー翼よ、光を解き放て #10

「王剣バルドゥルスの図案……!? な、何故このようなものが!?」  口から泡を吹いて倒れ…

ふぁにゅ
1年前
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竜血の契り ー翼よ、光を解き放て #9

 ヘーガー将軍の邸宅は、貴族街の中でも奥の方にあった。歓楽街に飲まれるように変革を遂げた…

ふぁにゅ
1年前
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竜血の契り ー翼よ、光を解き放て#9

 地の果てまで続くかのような王都外壁。その玄関口である門も、外壁に見合う堅牢さを誇る外見をしていた。開け放たれたアーチ門は厚く、木の表面には鉄が打ち付けられている。  ――しかし、そこに立つ兵の警備は、お世辞にも強固とは言い難いものだった。 「あー、王都へ? いやあ、最近ちょっと不届きな人も多いもんでね。その書類も本物だかどうだか……」  外壁の門は検問所も兼ねている。城壁の片側は小屋のように張り出しており、そこに兵士が座っていた。兵士は検問所の出窓にだらしなく腕をかけ、

竜血の契り ー翼よ、光を解き放て#8

「えっ……兄ちゃんこの図面の剣、毎日見てたの? この剣カッケーよな! おれにも見せてよ!…

ふぁにゅ
1年前
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竜血の契り ー翼よ、光を解き放て#7

 マーケットで剣と衣服を調達すると、ユルクとミックは馬車に乗った。バルボ商会が用意した馬…

ふぁにゅ
1年前

竜血の契り ー翼よ、光を解き放て#6

「……絶対、おかしいだろ」  バルボの部屋を後にし、ホテル・グラントバージヴィンからも出…

ふぁにゅ
1年前

竜血の契り ー翼よ、光を解き放て#5

 商人バルボがいる宿は、町の中心部にある時計台広場に面したところにあった。ユルクが寝かさ…

ふぁにゅ
1年前

竜血の契り ー翼よ、光を解き放て#4

 ユルクの眠りは深く、そして短かった。  夢も見ないうちに起きたユルクは、シーツをめくっ…

ふぁにゅ
1年前

竜血の契り ー翼よ、光を解き放て#3

 ――さーて、…………は、あらかた……したか?  ――……よしよし、じゃあ……  遠くか…

ふぁにゅ
1年前
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竜血の契り ー翼よ、光を解き放て#2

 翌朝。いつも通りの時間にユルクは起きた。  教会の一番奥の部屋、元々は納戸として使われていた小部屋がユルクに与えられた自室だった。  三年前、ユルクの父は死んだ。ユルクの父グスタフは流れ者の騎士で、剣の一本と僅かな金貨ばかり、鎧は粗末な鎖帷子で村に来た。自警団はいるがそれでも畑を荒らす害獣の対処にすら苦心していた村にとって、この素性知らずの騎士は、胡散臭さ以上にありがたさの感情が前に来る存在となった。やがてグスタフは村一番の器量良しを妻に迎え、そしてユルクが生まれた。