マガジンのカバー画像

30秒で読める小説 / 古今東西の「愛してる」

77
古今東西の「愛してる」シリーズをまとめています。
運営しているクリエイター

#日記

古今東西の「愛してる」:光景

古今東西の「愛してる」:光景

息を飲むような夕焼けの下。

石のように固まった表情から、とろけるような視線を送りつつ、男が口を開く。

「愛してる」

緊張のせいか、砂漠のように乾ききった喉から出たその音は、潤いを求めて彷徨ったまま、日没とともに暗闇に溶けていった。

===後記===

レトリックは、人間の想像力を試す。

☆このシリーズの詳細はこちら

古今東西の「愛してる」:銀行強盗

古今東西の「愛してる」:銀行強盗

銀行強盗の現場に遭遇するとは思ってもみなかった。

覆面を被った男たちに指示されるがまま、妻と私は他の客と人質になった。

銃を向けられた行員が袋にお金を詰めている最中、

「最後になるかもしれないから」

と妻が小さな声で語りかける。

「愛してる」

この出来事を笑って話せる今が愛おしい。

古今東西の「愛してる」:5がつ26にち くもり

古今東西の「愛してる」:5がつ26にち くもり

きょうはパパといちにちあそんだ。

ひさしぶりにあったから、いろんなところへつれてってもらった。

ソフトクリームおいしかった。

ウサギさんはかわいかった。

ばいばいするとき、きょうもパパは

「あいしてる」

といってくれた。

ママは、パパにあうとなんだかこわくなる。

つぎはいつパパにあえるのかなあ。