ガラクタ山のピロンと村の真実【短編小説】サクッとショートショート!
オイラの名前はピロン。
仕事は山積みのガラクタを、大きな石で潰して粉々にすることだ。
なんでガラクタを粉々にするのかは、バカなオイラにはわからないが、この村では昔からの
大切な仕事なんだ。
オイラはそんな大切な仕事を任されている。
オイラはバカだけど、そういう意味では頼られてるのが自慢だ。
ガラクタと言っても色々とあるんだ。
とくに優先して粉々にするのは、硬い緑色の板みたいなモノや、ヘンチクリンな凸凹があるモノなんだ。
村長が言うには、このガラクタは昔の人間が使っていた道具らしい。
それは人間をダメにする道具らしいから、前の前の前の村長の、ずーっと前の村長の掟みたいだ。
こんなガラクタがどうして人間をダメにするかは、バカなオイラにはわからないが、村長の言ったことをオイラは守って、こうして毎日ガラクタを粉々にしている。
あと村長は変なことも言っていたな。
昔の人間は、光る玉でほとんどの人間が死んだらしいんだ。
その玉はとんでもなく大きいって言っていた。
友達のポトリは頭が良くて、村に立ち寄った頭の良い旅人から、いろいろな事を聞いたらしい。
旅人の話だと、太陽はとんでもなく大きいって言ってたみたいだ。
太陽は光ってるから、もしかして太陽が落ちて、昔の人間は死んじゃったのかな?
でも太陽はこんなに小さくしか見えないのに、本当は大きいとか何かバカげてるとオイラは思った。
※
ポトリにそれを教えてもらった次の日に、ポトリは死んでしまった。
ポトリに色々と教えた旅人もポトリの横で死んでいた。
村長は天罰が起きたと言っていた。
オイラはポトリから太陽の事を聞いたからビクビクしていると、村長がオイラの所に来て「ピロンはバカだから大丈夫だぞ」と言ってくれて、自分がバカで良かったと思った。
※
オイラには二人の兄ちゃんがいた。
二人ともオイラと違って頭が良かった。
兄ちゃん達は、生活が楽になるための道具とかを考えて作ることができたんだ。
するとある日、その便利な道具が壊されて、兄ちゃん二人も死んでいた。
その時も村長は天罰が起きたと言っていた。
村長が言うには、昔の人間は頭が良すぎたから、光る玉で死んだらしい。
もしかしたら二人の兄ちゃんは頭が良すぎたから、天罰が起きて死んじゃったんだろう。
オイラは兄ちゃん達が作った、壊れた道具を直そうとしたけど、バカなオイラが直せるはずもなくて、そのときは兄ちゃん達が死んだ悲しみと、自分のバカさを悲しく思った。
するとそのに村長が来て「ピロンはそのままで良いじゃよ」と微笑んでくれた。
この村はバカなオイラでも褒めてくれて、突然家族や友達が死んじゃうけど、オイラはこの村が好きだ。
オイラ以外の他の村人は、家で料理をしたり、森で木の実や果物、野草などを集める仕事をしている。
村人の中には、ガラクタを粉々にするオイラの仕事をバカにするヤツもいるけど、オイラはこの仕事を誇りに思ってるから、そんな悪口は気にしないようにしている。
実際、オイラの村以外でも多くの村は、ガラクタの山の周りに村を作っている。
ガラクタを粉々にするのはどんな意味があるかは、やっぱりわからないけど、オイラの仕事は重要だとオイラは思っている。
※
何年か前に、ガラクタの一部が動いたことがあった。
それは少し人間のような形をしていたが、ガラクタと同じ体でできていて、とても不気味な感じがした。
そのガラクタ人間は変な声を出して、何を言っているのかはわからなかった。
なんか助けを求めているような感じもしたが、オイラはガラクタを粉々にする大きな岩で、そのガラクタ人間を叩いて殺した。
その後は、他のガラクタと同じように粉々にした。
どうして殺したかと言うと「もし動くガラクタが現れたら、岩で叩いて殺せ」と村長に言われたからだ。
オイラは村長の言うとおりにすれば幸せになると思っている。
そして今日もオイラはガラクタを叩き続ける。
※
月日はかなり流れた。
村長が老人になり、次の村長はオイラに決まった。
オイラが村長なんて無理だと思ったが、村長はオイラには村長になる素質があると言ってくれた。
そしてオイラは村長になる儀式をすることになり、オイラは村長と二人っきりになり、村長から村の掟を聞かされた。
村長が言うには、その掟は必ず守らなくてはならないらしい。
守らないと、昔の人間のようにみんな死んでしまうからのようだ。
掟を守らないと、どうして昔の人間のように死んでしまうのかはわからなかったが、バカなオイラはそういうモノだと思った。
実際、村長も前の村長から、そう言われて意味がわからなかったが、掟を守っているようだ。
そして村長は掟をオイラに教えてくれた。
まず一つ目は、ガラクタを粉々にすること。
あのガラクタには、昔のことが記録されているモノがあるかららしい。
どうしてガラクタに昔のことが記録されているのか、バカなオイラには全然理解できなかった。
オイラが不思議そうな顔をしていると、村長がボソッと呟いた。
「ワシも何であんなガラクタが昔の事を記録してるかは、ワシもわからん」と言った。
どうしてガラクタを粉々にするかはわからないが、昔からの掟だからそうするのだろう。
二つ目は頭の良い人間を殺すこと。
そのとき僕は二人の兄ちゃんの事を思い出した。
そして、その兄ちゃん達を殺したのは村長だったんだ。
でも兄ちゃん達が死んでしまって、かなりの時間が経っているからか、何故か村長に対しての怒りはなかった。
それよりも、どうして頭の良い人間が殺されるのかが不思議だった。
その事についても村長は、前の村長からそう言われているから、そうしてるらしい。
村長も理由はわからないみたいだ。
最後にバカで素直な人間を村長にすること。
その言葉を聞いてどうしてオイラが村長に選ばれたかがわかった。
オイラがバカだからだ。
そしてみんなが疑問に思う、ガラクタを粉々にする仕事を文句も言わず、続けていたかららしい。
つまり、今の村長も、前の村長も、その前の前の、ずーっと前の村長も、みんなバカだったってことか。
バカな村長が村を平和にするんだ。
実際、オイラの村では兄ちゃん達や、ポトリと旅人や他にも大勢の村人が天罰で殺された。
それは誰にも気づかれず、村長が殺していたんだ。
そんな悲惨なことは沢山あったけど、村はとても平和だとオイラは思っている。
昔の人間は、頭が良いからほとんど死んだらしいし、頭の人間は邪魔なのかもしれない。
人間はバカの方が幸せなんだ。
オイラはバカで良かったと思った。
そうだ、オイラは決めたぞ!
村長になったら、頭の良い人間を沢山殺して、世界を平和にしたいな。
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