「マスク利権」 ショートショート
「マスクをしていないと感染の恐れがある!」
「客相手には強く出れないから、国から言ってくれ!!」
「わかりました! みなさんのお声に応えましょう!」
「おお! 我々の意見が通ったぞ!」
「国もようやく危機感を持ってくれたんだ!」
「国は、政府は、政治家はいつでも国民の味方です!」
「ありがとう!!」
「では、法律でマスクを義務化しますね!」
「ありがとう!」
「ではどんなマスクがいいとかありますか?」
「マスクだったらなんでもいいよ! めんどくさいこと聞くなよ」
「じゃあ、あとはもろもろやっときます!!」
「ありがとう!!!!」
「ではまずはマスクの定義を決める委員会も設置しましょう」
「先生方をお呼びして、、、先生方の意見をもとにマスク庁を設置します! 整備や取り締まりのための予算も決めないと」
「あとはマスク着用奨励を国民に訴えないとなんせ義務になりますからね。ちゃんといわないといけません。とりあえず、広告費をこれだけ使いましょう。では、いつもどおり、広告屋さんにお願いしますね!」
ーーーーーーーーーーー10年後
「めんどくさいな−。なんで店とかに入るときにわざわざマスクしないといけないんだ?」
「昔、感染症が流行った時に決まったんだよ」
「なんだよそれ。そんなのもうとっくの昔に解決してるじゃないか!」
「そういうなよ。お前はその制度に養ってもらってんだから」
「え?」
「お前のオヤジの勤めている会社は、感染症予防庁の孫請けだろ? 日々、マスク着用とアクリル板設置の許認可手数料が利益の大半なんだぞ。なくなったら仕事がなくなるぞ」
「そうなのか? しらなかった」
「そういってても、ウチの親父の会社もマスクを作っているからな」
「なるほど、じゃあなくなると困るわけか」
「ああ。とりあえず、俺らにとっては」
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