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恋多き?フランス人~視点を変えると面白い

こんにちは&はじめまして ななるです。

Premiereでは大炎上していても、NETFLIX配信している『エミリー、パリへ行く』。ナイナイ!あるある!を繰り返しながら見ていると、だんだん馬鹿馬鹿しさが極まってきます。一緒に見ている相方が、大爆笑していた背景には、「パリ」と「それ以外」の区分けが、フランス人の多くの心理に、特にパリ以外に住むフランス人の心理にはっきりあるからだと思います。

曰く、パリは別。

実際、もっと辛辣な表現をしますが、とにかくパリは別。パリはあくまでもパリで、フランスではない。特に国外に出て、フランス人と一括りにされると、「パリはフランスじゃない」と言語化したりします。

何かにつけ「パリジャンは・・・」が、パリ以外に住まうひとたちの根底にあるようです。ドラマの中で、主人公が既婚男性からお誘いを受けるあたりで、相方が大爆笑。フランスは恋愛大国、性交渉に開放的とみられているのだけれど、これこそ『パリ』は!の代表格。『フランス人』がとは云わないで欲しいな、と注釈がつくところです。

ここで見落とせないのは、宗教観。

フランスは、カソリック大国です。

これだけ愛の国、恋愛の国、性に開放的な国、と世界的に認知されているような国でも、軸はカソリック。パリからたった100キロしか離れていない場所であっても、日曜は教会・一族揃ってお昼ごはんが当たり前の、敬虔なカソリック教徒が暮らしています。教会に行かなくても、多くのカソリック・フランス人は、生まれた時から暮らしに教義が定着しています。少なくとも徴兵制度がまだ有効だった頃に、10代後半を迎えたカソリック・フランス人は。彼らはちょうど今、40代です。

例えば、男性3人に混ざって女性ひとりで旅をしたフランス人女性。

旅行後に「で、何かなかったの?」と尋ねた友人に返したセリフが、「一緒に旅をしたのは、彼女持ちと、カソリックの既婚者と、クィアよ?何がおきるっていうのよ。起きようがないでしょう!!」(笑)部屋代を節約するために、男性・女性混合で宿泊すると決めた瞬間、無条件でカソリック教徒の男性を選んだ彼女に、他の男性も「彼なら問題ないさ」と太鼓判でした。問題ない=『絶対に』間違いが起きないと保証する同行者もさることながら、彼から聞いて動揺すらしない配偶者。彼らの強固な宗教観に裏付けられた信頼関係には、溜息すら漏れます。まさに恋多きフランス人のイメージはどこへやら、です。

「フランス人の恋愛やセックス事情」と云われると、失笑もののこのドラマ。実生活は想像するに、イメージとはかけ離れているようにも思います。確かに結婚前に必ずといってもいいほど「同棲」したがりますし、パックスという制度があっても数十年にわたって「同棲」し続けるひとも少なくないフランス人ですが、どちらかというと一点主義。好きな相手に「一途な愛情」を注ぎます。離婚しようとしたら、フランス人配偶者が、夜な夜な別居した引越し先の外に立っていた・・・、毎日何度も何度も電話がかかってくる・・・。自分の気持ちが向いている間は、事件じゃない?と思いたくなるほど積極的です。浮気はこの対象が、どんどん変わるイメージでしょうか。むしろ男性・女性関係なく、子どもの有無にかかわりなく、次の恋と対象を見つけてしまうのは、日本人も、アメリカ人も、フランス人も、一緒じゃないの?と感じます。気持ちが残らない分、わかりやすいです。

とはいっても、さすがに、ミッテラン第21代大統領のように、愛人に関するレポータからの突っ込みに、「だから?」と答えられるほど、皆、開放的ではありません。一部では拍手喝采された彼の態度は、結局、心の声の代弁だったわけですから・・・。

ただし、セックスは別。

普段のおとなの会話には、ふんだんに出てきます。そういう意味では、フリーです。とにかく、話題に下ネタはおおいです。親しくなると(男性陣は特に!)、お天気の話題と性の話は、話題のスターターなんだそうで・・・(笑)大手スーパーの売り場にも、コンドームやらゼリーやら大人のおもちゃやらが、おいてあったりします。ここ、子どもが通るよね?というような売り場です。下手に隠されるよりすっきりしてるわ、と思います。

ちなみに、日本で雨を表す語彙が豊富なように、フランス語には、『性』を表現する語彙が豊富です。噂によると、性生活だけの表現を集めた辞書すらある(笑)どれだけ隠語・比喩・暗喩があるんだと驚きます。身近なものは、表現が豊かになるって本当です。


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