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【前編】麒麟山米づくり大学で酒造り体験!〜出麹をやってみた〜

先月、麒麟山酒造が主催する「麒麟山米づくり大学」のカリキュラムの一環で、麒麟山酒造の酒造り体験と酒蔵見学に参加いたしました。写真多めでお届けしたいと思います!

麒麟山米づくり大学についてはこちら↓ 第2期生の募集が始まっています。気になる方はぜひご覧ください!


酒造り体験〜出麹(でこうじ)体験

今回の酒造り体験では、出麹という作業を体験させていただきました。

出麹を知る前に、酒造りの重要なプロセスである麹造り(製麹)について知る必要があります。

製麹の流れ

製麹とは、麹室(こうじむろ)という専用の部屋で、米に麹菌を繁殖させることをいいます。
引き込み種切り(たねきり)、床もみ、切り返し、盛り仲仕事仕舞仕事(しまいしごと)出麹(でこうじ)など、さらに細かい工程に分かれています。

saketimesより引用

麹の繁殖に適した環境(室温35度、湿度70%程度)に保たれた麹室に、蒸し米を引き込み、種麹(「もやし」とも言われます)の種付けをし、揉み込みます。
蒸米に麹菌が繁殖して菌糸が白く見える部分を破精(ハゼ)といい、米の表面全体に麹の菌糸が回った麹を「総ハゼ」、米の内部に突くように菌糸が生えている麹を「突きハゼ」というのですが、麒麟山酒造では、造る日本酒の酒室に合わせ、どちらの方針にするかを決めているそうです。

充分に菌糸が繁殖し麹が出来上がったら、麹室から麹を運び出し、麹菌の繁殖を止めます。この麹づくりの最後の作業を 「出麹(でこうじ)」 と呼ぶのです。

「灘酒研究会」用語集より引用

どの酒質の麹の作業をいつするか、細かくスケジュールが組まれており、それに沿って進めていきます。
今回の体験では、麒麟山酒造の定番酒「やわらか」の出麹体験をさせていただきました!!

出麹体験の流れ

①固まった麹をパラパラにします

製麹室のなかは、先ほど説明した通り、麹の繁殖に適した室温35度程度に保たれており、充分に消毒をした上で入室すると、低温のサウナに入っているようで、作業をしているとじんわり汗ばみそうでした。

菌の繁殖で固まった麹の塊を、パラパラのチャーハンを作るようにほぐしていきます。

ここで驚いたのが、麹の暖かさと、とても良い香り

出来上がりの(まだ菌が生きている!)麹を触ったのは初めてだったのですが、砂風呂に入っているように暖かく、また不思議なことに、蒸した栗のような香りがするんです。
少し味見をさせていただきましたが、本当に栗ごはんのように甘くホクホクとしていました!
これは体験した人のみ味わえる、生きた麹の味です^^

塊の麹をほぐしています

ほぐし終わったら、運び出しやすいよう3分割し、白い布でまとめます。

麹をまとめました

②麹を、涼しい麹貯蔵室に移動させます

白い布で包んだ麹を運んでいきます。意外と重いんですよこれ…!

脱・製麹室!

麹室は35度程度でヌクヌクとしていましたが、外気温は約10度程度。
麹は15度以下では繁殖しなくなるので、ゆっくりと繁殖が止まっていくわけです。

麹さん、お疲れさまでした。

③大きなスノコに広げて放冷・乾燥させます

麹貯蔵室の空間で、効率良く麹を乾燥させるため、スノコのようなものに麹を薄く伸ばしていきます。

伊藤さんの指導のもと、やっていきます

決して、砂遊びをしているわけではありません。↓


麹を薄く伸ばしたあとは、ぐるぐると円を描くように溝をつけ、表面積ができるだけ大きくなるようにします 。溝のつけ方ひとつとっても蔵によってやり方が違うそう。

溝をつけています

この状態で「放冷」し、ここからは、麹菌の繁殖を抑えて余分な水分を飛ばす「枯らし」の工程に入っていきます

出麹体験はここまで。

麹造りの奥深さ

麹造りを担当する、麒麟山酒造の製造部長であり杜氏(とうじ)の長谷川さんからは、以下のコメントがありました。

・「一麹二酛(もと)三造り」といわれるように、麹づくりはお酒を造る上で最も大切な工程の一つ。麹の味がその蔵の日本酒の味を決めると言っても過言ではない
・特に麹室は菌を増殖させる場であるため、日々の”清掃”が非常に重要。別の菌が入ってしまったり、菌の増殖を妨げることがないよう日々入念に清掃している。

感じたこと

・酒米の一粒一粒に麹菌をいい具合に張り巡らせる。その年の米の出来具合や温度湿度、蔵についている菌のバランスなど様々なパラメータがある中で、最高の麹に仕上げるのは至難の技。職人の熟練の賜物である所以が分かりました。
・麒麟山酒造は大きめの蔵であり、機械を使う工程も多くある一方で、麹造りや、(後編の酒蔵見学でもご紹介予定の)酒母造り等、手造りにこだわる部分は頑なにこだわっていたのが印象的でした。そのこだわりは低価格帯の普通酒であっても変わらないのが印象的。


麒麟山酒造のみなさま、麒麟山米づくり大学の皆さま、貴重な機会をいただき、ありがとうございました。


後編では酒蔵見学の様子をお届けします。お楽しみに!!




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