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「頑張る」という言葉

頑張るという言葉が苦手だった。

音からして無理してる。文字をみても無理してる。そうしてやっぱり言ってるあなたの顔も無理してるよ。

本当に無理しないと越えられない壁もあるのかもしれない。でもそんなの、人生ではきっと数える程。毎日使っている言葉にその無理が滲み出ていることに気づかないくらい、無理することが当たり前になっているの?

あぁでも。
意味のない会話って多いと思う。これももしかしたらその、意味のない会話の一部で、すれ違った時に「おつかれさま」と挨拶するのとか、話すことがなくて「今日も良い天気だね」と言った後に空を見上げるとか、そういうジャンルのただの便利語だったりするのかもしれない。

あぁでも。
そしたら本当にここ1番の頑張りどきはなんて言おう。無理してでも何がなんでも決めたことを達成したくて、「頑張り」たいとき。「頑張って頑張って頑張ります」と3回くらい言ったらその重みは伝わるだろうか。

あぁでも。
「軽めに無理せずできる範囲で頑張る」という意味の頑張るに代わる言葉がみつかったなら、良いのか。「なんとなくやる」「こなす」「終わらせる」どれもしっくりこない。考えてもみつからないなら、「頑張る」を頑張らないでとりあえずやってみるくらいの意味に変換して使ってみるのはどう?と友人からの提案を、頭では引き受けてしまいたい気持ち。

あぁでも。
友だちから「お互い、頑張ろうね!」なんてきた日には、「頑張ろうね!」と返す以外他にないから。小さな反抗として、「そうだね!」にしたくらいじゃ、私のこの葛藤は伝わらないだろう。

そうして結果、私は、

「がんばろ」

ひらがなの柔らかさと、うを抜くことで生まれるあどけなさ、一言で済ませることによって生まれる余白に、「無理しない」意味を託すことにした。

「がんばろね」

そう口にするたび、これまでの「頑張る」に対する葛藤を思い返し、この完成体にたどり着いた喜びと心の落ち着きに酔いしれる。ただの自己満足だけれど。


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最後まで読んでいただきありがとうございます。こうして言葉を介して繋がれることがとても嬉しいです。