伸ばした手の先。

いつかの自分がそこにいるようでモヤモヤする。

いまだって、見つかってなんか無い。
それでもそれが在ることは知ってる。
見つけたと思った途端に、亡くしてしまったけど、かつてはこの手にもあった。

私を見つけてくれたのは、大好きな人の守護をしていた精霊だった。
死にかけてるくせに、いつも笑って平気なふりして、誰も気づかない私を、その人は見つけた。

「悩みなんか無さそう」

人生うまく行ってない人間にたいしての適切な言葉じゃない。
だけど、そう見えたくらい私は私を隠すのがうまかった。
おそらくその時点ですでに人格の解離を起こしていたのだと思う。

「バイバイ、またね」

別れた後に来るどうにもならない焦燥感と、それでも頭の中だけはハイで、どうにも眠れない日々。

こんな気持ちを味わうなら、出逢わなければよかったのだろうか。

それでもハイな頭は毎日が楽しくて、彼女の愚痴も泣き言も死にたいと言う欲求もすべて、それでもいいからこんな日々が続けばいいと思ってた。

ある日、彼女が電話越しに言った。
「(精霊)に代わるね。」

少しの間。
すぐに電話の向こうの気配が代わったのがわかった。

「そんなに緊張しなくていいよ」

彼は言った。

「いつかみんなで笑える日が来る。
 そうでないなら何故、僕たちは、、、」

彼は一度、彼女の死に目に会ってる。

彼女がカタキリをして、もうひとりの自分を彼と共に過ごさせていた時期があった。
けれどそれは悲しい形で終わりを告げることになった。

彼女は首を水晶でかっ切って崖から飛び降りた。
そうするしかない事情があった。

彼女が最期に見たのは、彼が泣きながら彼女の身体を抱く姿。

彼はどう思ってただろう。
彼女は現世でも死にたがっていた。
きっととても歯痒かったと思う。

なにを話したか、緊張していた私は覚えていない。
ただ、泣いてたように思う。

私がみんなを見つけるよ。

そう言った記憶がある。

彼女に戻ってから言われた。
ごめんね、と。

彼に、あの子はお前が見てやらないと危うい、そう言われたそうだ。

気づいてあげれなくてごめんねと、何度も言われた。

違うよ。
違うんだよ。

こちらこそ、気づいてくれて、ありがとう。

酷く泣いた。

私は幸運だったのだと思う。
出逢えたのだから。

亡くした今、どうしたらいいのか、まだわからないまま。

それは確かに存在すると言うことに、気づけずに無視したまま。

素通りしてはいないのか、
目を伏せてはいないのか、
自分だけしか見てないのではないか、

可哀想な自分に酔ってはいないか。

大切なこと、とてもとても大切なこと。

忘れてしまってはいないのか。

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