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鴨鍋ハロウィンたそ〜

ついさっき拾ったカードはキラキラしている。
なんのカードかは知らないがスキルに「独特の口調で通信術」と書いてある。
キラキラしているカードは高いものだ。
普段なら売り飛ばしてしまうが、これは記念にとっておこう。

だって、目の前をぷりぷりと鴨が歩いている。
しかも、見間違えでなければ眼鏡をかけた鴨なのだ。追いかけるに限る。

だいたい、面白いことはこうやってやってくる。


街の中は騒がしく、色とりどりで、あっちもこっちも気になる。
最近は乾燥してるなぁ。 
と、カサつく手を見て溜息をつく。
そうだ「乳液」を買わないとなと、頭の中にメモをする。

お化けの格好の人が楽しそうに横をすぎる。

スピーカーからかすかに聴こえる「タイヤ魚礁でフォーリンラブ❤️」は、最近になってエモいと再沸騰した曲だ。思わず口ずさんでしまう。アイディアや心意気は素晴らしいし、絶対にタイヤ漁礁で愛は育まれたんだ。私はそう思う。 

ぷりぷりと先を進む鴨。
私はきょろきょろ辺りを見回し進む。

映画館の横の大きなポスターに
この件を扱わないと、いたずらするぞ
の文字。
予告編だけでハラハラした刑事物だ。
誰かを誘って見に行かなきゃ。
特典はあのカードを模した栞らしい。
なんて、少しよそ見をしていたら、小さな子供とぶつかってしまった。
よく見ると狸の仮装をしていた。

「ごめんね!怪我しなかった?」
「ううん。大丈夫!」

お互いニッコリして手を振り合う。
小脇に小さな本が抱えられている。
作者名をチラリとみると、私の好きなあの人の作品だ!
本屋さんで、見つけたら私も買って読もう。
そんなことを思った。

前方の鴨は、やはりぷりぷりと進んでいく。
人混みを掻き分け、鴨を追う。
ちょっと、くちばしを掴みたい。
さぁ、走って追いつくぞ。
そう思った時、

「あの、すみません。この辺でタグみませんでしたか」

タグまみれの男性、いや…ゾンビ?に話しかけられる。
私は急ブレーキをかけるように止まる。

「タグ…えっと、ごめんなさい。タグは見てない…あっ」

足元に落ちている物を拾う。タグかもしれない。
しかし、それは

「これはッ…ボタン…」
「ボタンですね」
「とりあえず、これで」

そっと、渡す。

「いや、僕はボタンは」
「とりあえず、これで」

ボタンを渡して達成感を得た気がする。
私は急いで鴨を追う。

#鴨鍋ハロウィン

鴨鍋鴨鍋。

#鴨鍋ハロウィン

鮎…鮎もいいなぁ

#鴨鍋ハロウィン 

やっぱり鴨肉

#鴨鍋ハロウィン

…ぜったい眼鏡が本体

#鴨鍋ハロウィン

さっきから広告がこればっかり!
だから、鴨鍋気分なのか!

そして、視界の先にはぷりぷりと歩く鴨がいる。
私はいつの間にか手にしたネギを振り回して追っていく。
 
道中、様々な人?に会う。
面白可笑しく、時に切なく。
街の中は染まっている。

鴨がずっとぷりぷり先を歩いていく。  
たまに振り返る。
鴨鍋にするから大人しく捕まりやがれ!!と意気込んだところで

突然の眩しさにビックリする。 

「どうです?仮想の街は面白かったでしょう?」

私は重た目のゴーグルを不満げに膝に置く。 
もうすぐ鴨鍋にできたのに!
白衣を着て、仮装と呼べるかどうか怪しい主催者は楽しそうだ。
鴨鍋にしそこねたのは何か悔しいが、楽しそうだから、まぁいっか。

「面白かった。けど、こっちも変わらないですね。」

目の前には大きなカボチャ型の鍋で盛大に鴨肉が煮込まれている。鴨鍋だ。いい匂いが会場に立ち込めている。私が捌かなくても、すでに美味しくなっていた。
たくさんの人がワイワイと楽しそうだ。きっとこっちの方が、仮想の街より面白い。

馬の被り物をしたまま器用に鴨鍋を頬張る彼女を、火傷しないのかなと眺めていると

「koedaちゃんは魔女の仮装で可愛いね!」

と言われた。
えへへ、と笑いつつ一番の仮装は人間になってることだけどね。
と電子くらげはこっそり思った。
あなたもおいでよ 
鴨鍋ハロウィン!!

🎃トリック・オア・トリートいたずらもしてお菓子もほしいなっ🍬

《1603もじ》

リンクがお嫌な人はいってくださーい!!事後報告ですみませぬ( ˘ω˘)眠い眠い。

楽しそうにしてる人達っていいものよ。
それがどんな形をしていても。

ヘッダーはおじいちゃんさんのを借りたよ。
描いてたの覚えていたのよ( ˘ω˘)かわいいイラストありがとう!

もう寝るー!!寝るんだからーっ!

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