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一杯の珈琲とおもひでを

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大切な人を思い出しながら、ほっと一息をつく時間。 この珈琲が飲み終えるまでは、そんな思い出に浸ろう。 日常にある小さなできごとを小包のように、真心を込めて綴ったエッセイをまとめ…
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親愛なる君へ。年に一度その手紙はこころのポストにやってくる。

親愛なる君へ。年に一度その手紙はこころのポストにやってくる。

誕生日の日付に変わる23時59分。わたしには楽しみなことが増えた。

誕生日なんだから、楽しみな気持ちは当たり前なんじゃい?なんて思うかもしれないが、それ以外にもわくわくする理由があるのだ。

55・56・57・58・59...

「誕生日おめでとう」ちょっと恥ずかしそうに、そしてぶっきらぼうに手紙が渡される。

その人から誕生日に手紙をもらうのは、今年で3回目。「誕生日の日だけね、他の日にはしな

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陽気な母は、この火曜日に人生最高の背番号を受け取った。

陽気な母は、この火曜日に人生最高の背番号を受け取った。

わたしには、ご陽気な母がいる。

どれくらい陽気かというと、小さい頃からビビりなわたしがみんなの前で何かを発表するとき、「うまくいくかな…。」と不安がっていると、「いける!いける!もう母さんのなかでは、うまくできてるの見えてるから」と予知能力のような独特な励ましをしてきたり。

お家に友達が遊びに来た日には、気づいたら椅子を並べて一緒に女子会に参加してたり。最後にはみんなの恋愛や人生相談に乗ってた

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カップ麺ができあがる頃、祖母はまた湯を沸かし始める

カップ麺ができあがる頃、祖母はまた湯を沸かし始める

わたしは、小さい頃から生粋のおばあちゃん子だった。

と言っても、わたしは大阪に住んでいて、おばあちゃんは広島に住んでいるため、会うのは年末年始などの長期休みがほとんどであった。

小学校3年生の夏休みには、大人たちのお盆休みに合わせて帰るのが待てなくて、ひとり、広島行きの新幹線に乗って先に会いに行ったこともあった。
まさしく夏の大冒険。
心配する母に「大丈夫!できるよ!」大口を叩いて、大きすぎる

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