【まとめ】2019年の美術館日記

ソフィ・カル 『Voir la mer(海を見る)』 – Shibuya Crossing by Sophie Calle

深夜の渋谷スクランブル交差点が美術館になった。昼間は動画広告で彩られる街頭ビジョンに静かな海と後ろ姿の人が一人映し出される光景は異様で美しかった。こんな渋谷をもう一度過ごしたいから、アート作品を見る企画してみたいな。

ソフィ ・カル ─ 限局性激痛

大学生の頃からソフィ・カルに憧れていた。ノートやレシートから個人の生活を探ったり、男をつけていったり。日常で見るものをアートにする、その手法が好き。

今回の展示はソフィ・カルの失恋を作品にしたもの。ハガキ、レシート、チケット、ホテルの鍵。本当にそこにあったものを使って体験を語り直し、鑑賞者に伝える。体験を作品にしてやる"執念"を感じた。

塩田千春展:魂がふるえる

森美術館は年間6,000円の年パスを買って、半ば強制的に行くことにしている。今年『シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略』も出版されたように、SNSと相性のいい作品が多いと思う。Instagramにアップする写真を撮りに行くことが目的の人も、美術館の中で普段考えないことに思いを巡らせたり、大きな作品に囲まれて非現実を味わったりできる。アートとの出会いを広められるキュレーションとマーケティングが素敵だ。

クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime

はじめてボルタンスキーの作品を見たのは、パリ郊外のアートセンターだった。祭壇のように写真が並べられている《モニュメント》を見て、写真と記憶について考えてたと思う。

今回の国立新美術館では《アニミタス(チリ)》のビデオプロジェクションを長い間見ていられたのがよかった。こんなやさしい世界も見ることができるアーティストなんだな。

ボルタンスキーに出会ってから、実家で大量のアルバムとネガフィルムを見ると、「これも作品にすればいいのか」と思っちゃう。みなさん思い出どう保管して、どう昇華させていますか。

バスキア展 メイド・イン・ジャパン 

ウォーホルとの共同作品だけ奥行きがあって驚いた。詩的なことばを読めたこともよかった。"Thin bleu smoke became a whippet dog in a corner"「青い煙が片隅でウィペット犬になった」が当時のNYライフを彷彿とさせていいな。バアスキアはすごく理知的だ。

広告の世界では、コピーライター、デザイナー、CMプランナーなど分業したり、何かとスタイルをわかりやすく分けてしまうけれど、バスキアのように絵も描いて、詩も書いて、もっと自由でいいじゃんと思った。

まとめ

ソフィ・カルとボルタンスキーの展覧会があっただけで奇跡な2019年!社会人になってからアートを見ると、「自分の人生にどう活かせるだろう?」の視点が多くなったな。自分の生活により近い作品を見たくなるというか。2020年は全く異なる価値観のアーティストに出会いたいな。

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