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歴史小説「Two of Us」第3章J-4
割引あり
~細川忠興父子&ガラシャ珠子夫妻の生涯~
第3章 本能寺の変以後~関ヶ原合戦の果て
(改訂版は日本語文のみ)
The Fatal Share for "Las abandonadas"
J-4
あなた珠子一行は、7名一列横に並んで座り、同じ方向を向いて抹茶入りの丹波の緑茶を味わう。おのおのの心に去来する想いは同じではないだろうが、ただ黙して語らず同じ遠景を見つめる。
しばらくして、出立から現在まで無口でいた窪田次郎左衛門が、おもむろに口火を切る。朴訥に独り言のように。
「わたくし共のような下々の与力は、お館様が替われば、殿に付いてどこにでもいつであろうとも、赴任せざるを得ません。
思うがままに落ち着く場所も、暇もございませんが、、、明智十兵衛様は仮にも丹波や坂本の領主。畿内を治める重臣でござります」
振り向き、窪田次郎左衛門の面持ちを見つめる者や、下を向く者。一様に聞き耳をたてる。普段口数の少ない窪田が語る時、彼らは希望の種を見つけ出すのだ。いつも。
「細川家に仕えるわたくし共には、『寝耳に水』のごとく愕然としましたが、忠興様と藤孝様が、よくぞ、珠子様をお見捨てになられずにいてくださった、、、と。
安堵致しております。本来なら、羽柴様の人質もしくは細川家を離縁か、明智家共々亡き者にされてしまうところでございます。
忠興様は、よほど珠子様をお慕いなされておるのでしょう。『移住の折は逐一、知らせの文を送れ』と、仰せつかっておりますよ」
「大変、感謝いたしております。有り難き幸せに存じます。
生きていれば。生きて、日々を前を向いて送っておれば、いつかまた、忠興様と、忠隆と共に暮らせると信じております。
お許しが出るまで、日々毎日を、活き生きて参りましょうぞ?」
「かしこまりまして、ござります」
「御意!」
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