歴史小説「Two of Us」第3章J-12
~細川忠興父子とガラシャ珠子夫人の生涯~
第3章 本能寺の変以後から関ヶ原合戦の果てまで
(改訂版は日本語文のみ)
The Fatal Share for "Las abandonadas"
J‐12 ~Coming Back @MITONO~
忠興が白米をお替わりして、自身が食し終えると、あなた珠子はマリアから興之丸を受け取り抱えて、あやし始めた。
興之丸は、今夜も穏やかにほやほやぁっと笑って、会話の声のする方を向いては何やら両手で伝えている。とても場の空気に敏感な乳児だ。白粥をかなり食べていたので、そろそろ眠くなるころなのだが。
興之丸を膝に乗せ抱きかかえたまま、あなたは先日の伊達政宗からの書状と賜り物の件を、家内そろった場で、話題にする。
「伊達の殿様には、お礼をお伝えいただけましたでしょうか❔ 忠興様」「おお。先日のお香の件だな❔伝えたぞ。政宗殿は、あれでなかなか洒落モノでらしてな、香の調合も自身でなさるそうなのだ。珠子への賜り物は、白百合と洋蘭から抽出したものを、混ぜ込んだらしい。
何と呼んだかな❔、、、そう。〈アロマ〉と云うそうだ。珠子にはきっと似合う香りだと勧めてくれたのだ」
「とっても気品の漂う香りでございます」
「うむ。家康殿の奥方には、可憐なものや凛とした香りより、華やかな薔薇や椿のお香が似合うかもしれん、と仰ってたぞ」
「さようでございますか。そのようなお方様なのですか❔」
「いや。それがしも面識はない。政宗殿も直にお会いしたことはないそうだが、家康殿から伺った話から思いを巡らせて、こさえているそうだ」
「まあ!それはそれは。。。
政宗殿は、とても感受性の優れた方なのですね❔」
忠興は黙って頷いて、あなたの次に述べる言葉を待つ。このように感嘆した時のあなたの感想や解釈は独特で、忠興は二人の会話の中での楽しみの一つなのだ。
「珠は、枝垂桜の季節に生まれましたゆえ、珠自身はそのような印象があるのかと、受け止めておりましたが、政宗様はそのように桜🌸の儚さよりも生命力の強そうな香りの印象を持たれましたのですね❔」
「ほほう。それは、香りの強さゆえであるかな❔」
「はい。白百合は清らかそうでいてとてもキツイ花粉で香りも酔ってしまうほどです。忠隆が生け花の横でよくクシャミをして鼻風邪ひいたようになっておりました。
西洋の蘭の花もとても神秘的ですが、鉢植えでなくとも生花がたいそう長持ちいたします。両方がとても命の強そうな印象でございます」
「うむ。なるほど。それがしの話しっぷりで、そのような強い女に映ったのだな❔、、、なるほど」
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