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23分間の奇跡(読書感想文)

 もう10年以上前に古本屋でなぜかパッと手にして買ってた本。実は何度も読んでます。と言うのも、これ立派に一冊の本の形してますが、前からは青島幸男さんの日本語訳。後からはジェームズ・クラベルさんの英語原文。更にお二人のあとがきが真ん中に挟まっているので、実質お話自体は日本語訳80ページ。10分で読める。

 なぜ今これを急に思い出してまた読んだかというと、今強烈にこれを感じているから。

 私は仕事柄、黒子として小学校の教室に入る。英語の先生として英語の授業を受け持っているので、かなり目立つ黒子ではあるけれど。気持ちは黒子。2011年から今まで学校に関わってきた7年弱の中で、7校約150クラスを見てきた。それに我が子3人それぞれの学校生活を加えてもかなりのサンプル数にはなるのだけれど。
 そこで改めて先生の影響力ってすごいな、って怖くなる。(私も先生だからね)

 今は小学校でも一年一年担任が変わるから、子どもたちは毎年違う国で違う法律に従って生きてるみたいになっている。去年会った時は「これがいい」と思っていた子が、次のクラスで「やっぱこっち」って健気に立ち回っているのを見て、子どもの適応力に感心すると共に怖さも感じる。

 先生は好きに子どもたちをコントロール出来る。しかもその術を知っている先生、それの使い方を間違う先生、いろんな先生がいる。
 例えば先生が「この子は邪魔ばかりするね。」という雰囲気を作ると、その子はたちまちクラスで孤立する。極端な例だけど、そういうことだって出来るということ。

 実験をしてみた。私の英語教室で、よく遅刻をしてくる子がいた。最初クラスの子たちが「ズル」とか彼のいない場所で「ゲームの時間になったらくるね」などと言っていたので、私が平気な顔をして「誰でも同じことしていいんよ。ズルいって思うよりも自分もそう出来たら、そんなこと言わずに済むやん。」その子が来たら「会いたかったから、今日も嬉しい」と伝える。クラスから遅刻に対するネガティブな感覚は、あっという間に消えた。

 私はどこでもそれをすれば良い、とは思わない。私が作るこの場所がそうであって欲しいと思うだけ。遅刻で叱られる場があったり、遅刻をしてでも喜んでくれる人に間に会いに行こうと思える場があったり。いろんな場所があることが良いと思ってる。私が勝手に担っているのは後者。

 この本、たくさんの大人の方に読んで欲しい。そして読後の感想を語る会でも開いて、ざっくばらんに話してみたい。この本を買って十数年経った今、強烈にそんな気持ちになっている。

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