英語の先生による"英会話レッスン受けてみた"レポート

　英語学習は目的やレベル、求めているもの、性格やタイミングによって環境を変える必要がある。私が英語講師として出会う方々の多くが「英語を話せる様になりたい」と思っているが、そもそも「話す」が目的ではない人もいるし「話したい」とはいえ「話したことがない」「話し方がわからない」という人もいる。今回は私と同じモチベーションや状況の方には参考になるかな、という内容。英語学習を進める中で到達する「使う」へのハードルにも少し触れていきたいと思うので、是非最後までご覧いただきたい。

私の英語学習の目的と方法

　まずは英語を学ぶ時には自分の特徴、性質、英語に対するモチベーションがどのくらいでどんな方向なのかを知る必要がある。それを知らずに闇雲にレッスンの体験をしても、英語教室の切り口や考え方は皆さんが思う以上に幅広く、細かく分かれている。自分に合った方法やレベルを知って出来るだけ準備しておかないと、実際高い入会金を払ったり高額のテキストを買ったのに習い始めてすぐに止めてしまったり、もう英語なんてしなくても良いと心が折れてしまうことも大いに起こり得る。
　無料体験を実際受けてからの感覚でも大切だが、実際は自分の英語を客観的に見るのは難しい上、英語学校勤務の経験上英語学校は「今日限り」などと割引の期限を設けたりして、即決を迫りがち。ノリやお得だから...で決めたら、お金だけではなく自分のやる気も削がれてしまうので、要注意だ。
　遠回りに感じるかも知れないが、既に英語学習を始めている仲間にその教室のメリットやデメリットを尋ねたり、英語教育のカウンセリングを受けてみるのも良いだろう。

　一例として、私のモチベーションと目的を書き留めておく。
英検準一級、TOEIC800前後をウロウロ。シンプルな語彙やフレーズで友達との会話や日常生活を送る英会話は可能。海外生活が一年あるので英語の会話で間違えることへの免疫はついている。英語を習う目的は、自分が未だ知らない表現やフレーズを増やして、よりクリアに自分が思っていることを伝えること。とにかく「使う」機会を増やして英語で考える回路を維持すること。以上。

　まとめると、英語はある程度話せる。でも知らない表現もたくさんある。そして現在完全に日本語環境で暮らしているため、英語での会話の機会が減ると何か言おうとした時に頭に英語が浮かぶまでに時間がかかるようになる。そのための日々のブラッシュアップ。

　筋肉はまだ貧弱だけど、今ついている筋肉を衰えさせず、尚且つ少しずつカッコいい筋肉にしていこう、そんなイメージ。

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安価なマンツーマン英会話（アジア系の先生）

メリット
①先生がたくさんいるので、予約出来ないことがない。
②良い講師を見つけられたら、ラッキー。
③とにかく安価。

デメリット
①先生が多すぎて何を基準に決めて良いのかがわからない。
先生によっては「お金を返してほしい」と思う。英語がある程度話せる人は、先生が自分と同じくらいのレベルだということに気付くだろう。ただ英語レベルが同じ人とおしゃべりしている感じになる。
②きちんとした教材やレッスンプランがないフリートークだと、ただのおしゃべりになりがち。
③やっと出会えた素敵な先生は超人気講師で全然予約が取れない…ということが多々ある。

　私の経験だけで言えば、旅先でアジア圏の英語話者と話しているイメージだった。「日本に働きに行きたいんだけど、仕事あるかなぁ」みたいな相談に私が乗ったりして、英語のレッスンとしては違った。楽しかったけどお金を払って学ぶ、というのとはかけ離れていた。
　初心者や英語をとにかく使ってみたい人には、英語を使う機会としては勧められる。マンツーマンで他の人を気にせず話せるのも良い。

カフェトーク

メリット
①好きな時間帯でレッスンを受けられる。
②良い講師を見つけられたら、ラッキー。
③結構安価。チケット制なので、今月はお金がないから休もう、みたいな強弱もつけられる。
④先生の特徴がわかりやすい。プロフィールや動画、写真、エッセイなどでそれぞれの先生がよくアピールしている。無料または安価での体験もあるので、相性で選びやすい。

デメリット
①相性の良い講師に出会えるまでが大変。
②人気講師だと、レッスン予約で一苦労。
③レギュラー化していなかったら、予約が億劫になってきて休みがちになっていく。

　私はとても素敵なイギリスの先生と出会い、会話を楽しんでいたけれど、デメリット③の理由により遠のいてしまった。でも未だにその先生のyoutubeなどは時々見ている。

EFイングリッシュライブ

　無料体験一週間の内、グループレッスンは3回全部消化した。プライベートレッスンが予約はしたものの、急用でキャンセル。体験出来なかったのが残念。
　教材はかなり良かった。語彙・フレーズ・表現・リスニング・リーディング、それにスピーキングも軽くカバーしているのがすごい仕組みだと思った。これ中学英語とかの自宅学習で予習にして、学校で確認とか解説、質疑応答みたいにしたらめちゃくちゃ良いやろうな。
　ここでは私が受けた3回のグループレッスンの感想をば。

メリット
①好きな時間帯でレッスンを受けられる。「今しよう」と思い立ってもすぐに参加出来る。（予約不要）
②レベルはあらかじめ決めて参加しているので、自分のレベルに合った授業を受けやすい。
③英語環境に身を置くにはとても良い。しかもクラスルーム内は他の日本人が一人いるかいないか。世界中から英語を学ぶ人が集まっているので、いろいろな訛りや表現が聞けて良い刺激になる。
④「聴きたいだけ」の日は「聴くだけ」マークを出しておけば、先生に当てられることもなく、気楽に外でも英語環境に身を置くことが出来る。

デメリット
①くじ引きみたいなものなので、先生や一緒にレッスンを受ける生徒によってレッスンのペースが変わる。

　私が感じたデメリットは一つだけだったけれど、それ自体がレッスンの核の部分なので、これがどのくらい気になるかはその人、その時次第。私は3回受けたレッスンの内一人とても良い先生。一人は一般的な先生、一人は同じ英語講師として「？」がいっぱいになる様な人だった。（自分で話題を振っておいて、答えても聞いていないとか。初心者の先生なのか結構稀なタイプの方なのか）概ね良い先生ばかりだと思う。受け放題のシステムなので、先生が違うと思えばまた他の部屋に入ることも出来そう。

　イメージとしては、クラブハウスの英語部屋みたい。私が入ったクラスは全部全員が顔を出さずに音声のみだった。顔が出せたら面白かっただろうと思うけれど、顔を出さないことが主流なのかも。

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私のお気に入り

　で、結局英語のレッスンを受けることにしたのか、と言われたら答えはYes. 先日のイングリッシュライブで先生から「英語の先生なのに英語のレッスン受けるとかウケる（なみお超訳）」って言われたけれど、もちろん私は英語指導をするけれど英語学習者でもあるので、丁度一年前から英語教室に通っている。忙しいからオンライン…などと思いながらも、結局対面のグループレッスン。いろいろやってみた結果、自分が受ける側ならば私は対面レッスンで空気を感じながら会話したいと思ったから。
　価格・場所共希望に合った場所で軽い気持ちで体験レッスンを受けてみて、その先生が素晴らしかったからその先生に引っ張られる様にして通い始めたのが本音。出会いって大事。

　私が欲していたレッスンスタイルは、とにかく「話す機会が多い」こと。プラス「自分が知らない表現への言い換えを的確に教えてほしい」ということ。私自身レッスン中にたくさん話す用意は出来ているけれど、それだけで終わらせたくない。「君の言っていることの意味はわかったよ」で終わらせたくないのだ。「今の言葉は、他にもこういう表現があるよ。」みたいなのをタイムリーに教えてほしい。そこで細かいところだが、生徒が話す気を失くすほど途中で割り込んでくる先生や、即訂正する先生を、私は望まない。
　私が今習っているイギリス人講師のJames先生は、その日のテーマを見失わず、それに合った質問を投げかけて生徒に話させてじっくり聴いた後で的確な表現やより実践的な言葉やフレーズを教えてくれる。そして更にその言葉を使う環境を作ってくれるのだ。また、英語を英語で説明するのが上手。例も的確で、日本語を介さずにいつも「なるほど」と思える。
　私自身も英語の先生だから、ついついいつものクセで先生にも質問を返してしまうけれど、James先生は乗ってきて多くを語ることはない。一言でサッといい感じに返して、あくまでも自分が話すよりも多くの時間を私たちが話す時間に充てる。本当にその説明し難い絶妙な匙加減、空気の扱い方が素晴らしく上手いのだ。

　そしてこれはどのレベル、どのモチベーションの方にも共通してアドバイス出来ることだけれど、英語を話している間自分の心がリラックスしているか、自由を感じているか、そしてレッスン後にちょっとした気持ち良い疲れを感じているかを確認して欲しい。ストイックで厳しい先生、優しくてソフトな先生、フレンドリーな先生、いろいろな先生がいるけれど、大事なのは学習者が自分が求めているものを得た手応えがあるかどうか、だ。

　「英語が苦手」な人も「英語の素質がない」人も存在し得ない。みんなにとって生きる手段である言語は、素質や能力を超えたものである必要があるからだ。言語が難しすぎて生きていけない民族がいるとしたら、そこに言語の意味はない。英語学習者の皆さんがネガティブな感情になる時には、是非思い出して欲しい。「方法が違うだけ。合っていないだけ。」なのだと。

　皆さんが自分に合った学習環境を見つけられます様に、と祈りつつ。