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サード・キッチン (読了)

 娘に紹介されて(借りた)のが2年くらい前だったか...最初だけ読んでなんとなく本棚に置きっぱなしになっていたけれど、ずーっと気になっていた。
この度、手にとって一気読み。

 はぁ。なぜ私はもっと早くこれを読まなかったんだろう。GWの贅沢、これを読み終えるまでベッドを出ないぞ、と読み進める中で私は朝からポロポロ涙をこぼしていた。人の想いが交錯しながら痛い程心に届くこの物語は、一冊の本であることが信じられないくらい、私が若い頃から感じてきた様々な違和感の時間を飛び越え、韓国、ニュージーランド、アメリカ...いろいろな場所をも飛び越える記録映像みたいだ。あの時の私、この時の私、子どもの頃の私。今はもういない人との会話...その中で私が十分に向き合って来なかったものと苦しいくらいに向き合わせられた。

 そして残ったことは。「いつだって遅くはない」ということ。人と完全にわかりあうことは出来なくても、互いの想いを知ることは出来る。気持ちに寄り添うこと、少なくとも気持ちに寄り添いたいという気持ちを伝えることは出来る。傷つくのが怖くてもっと傷つく道を選ぶことよりも、向き合ってそこから先を見てみたい。改めてそう思った。

 是非読んで欲しい。今少しでも違和感がある人。今自分の周りの環境に絶望しかけている人。自分自身に絶望している人。みんなに読んで欲しい。GWの推薦図書。

 あなたが悩み苦しんでいるのは、あなたの見えている世界があまりにも狭いからかも知れない。世界が広くなると新たな苦しみが加わるかも知れないけれど、それは必ずしも悪いことではないかも知れない。

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心に残った言葉たち(順不同)

●「君たちも、何をしていようと、どこにいようと、批評的アプローチを忘れないでほしい。政府もニュースメディアも、我々の言葉すらも、鵜呑みにしてはならない。まず疑え、盲目的な羊になるな。教養教育の目的は、自立して批評し思考し続ける知性を育てることだ。それこそが"自由"のエンジンだ。」

●...どちらに投票するのも、もちろん君たちの自由だよ。有権者として"政治屋”に『タダじゃ投票しない、仕事をしくじれば遠慮なく弾劾する』という態度を示す、ということだ。

●…その強い気持ちは、まだ確かに私の中にくすぶっている。でも今は、そうじゃない、とはね返すことも、うずくまる自分ごと、抱きしめるような気持ちにもなれる。 

●「あんな奴らに、ぜったいあたしは傷つけられない」

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