河波浩平/musician

浅草在住。 歌い、音楽を製作し、人に教え、また色んな曲を歌い、暮らしています。 HP→https://kouhei-kawanami.com Youtube→https://www.youtube.com/channel/UC0DpoWvfHeAZSospwrG3YMw

河波浩平/musician

浅草在住。 歌い、音楽を製作し、人に教え、また色んな曲を歌い、暮らしています。 HP→https://kouhei-kawanami.com Youtube→https://www.youtube.com/channel/UC0DpoWvfHeAZSospwrG3YMw

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    腕枕の理論(フェスやります。)

     むかしむかし、10代の終わり頃、当時の彼女の家でシャワーを浴びて出てきたら着替えが畳んで置いてありました。  なんかね、そういう事があると嬉しい。これ別に、女なんだからそういう事やれよ的な感覚ではなくて、シンプルに気配りが嬉しかったわけです。  当時やっていたアルバイトの関係で、しばらく彼女の家に泊まる事になっていた俺は、次の日もその次の日も、丁寧に畳んで置いてある着替えにポッと温かい気持ちになりながら過ごしていました。その次の日も、そのまた次の日も。  しかし、しばらく経

      • 才能とか天才とかない

         才能という言葉が"生まれ持ったモノ"という意味を含むのであれば、音楽の才能というものはほぼ存在しないと実感しています。むしろ、才能論や天才論が音楽と人を遠ざけているし、音楽力の向上を阻んでいると強く感じています。  俺が音楽の勉強に本格的に取り組んだのは、20歳の頃でした。 (別に、この何の告知もせずひっそりとやっているnoteを使って"自分語り"をしようというわけではなくて、この身をもって体感した"音楽の姿"について少しだけ書きたいだけなので、読んでくれている方はお付き

        • 過ぎたるは猶及ばざるが如し

           なんとなく。  なんとなくなんだけど、今年の夏は蝉の声が聞こえないなあと思っていました。同じように思っていた人も多いらしいのだけれど。  おそらく、今年は梅雨が短くて、夏が早めに来てしまったから蝉が遅いような気になっているだけなのではないかと、なんとなくそんなような事を考えていたらば、やっと蝉の声が。  自宅作業は煮詰まるなあと思い、隅田川沿いのカフェにパソコンを持ち込むという東京感丸出しのスタイルで仕事をして、さあ帰ろうかというタイミングで蝉の声に気付きました。「お〜や

          • 燃え尽き症候群の話

            近ごろとても忙しいのです。 新しい事を同時にいくつも始めているので、身体のどこかがパンクして空気が抜けている音がする。 "燃え尽き症候群"とは昔から縁が深く、音楽のプロジェクトにせよ、企画にせよ、大掛かりな仕事をやった後には大抵、燃え尽き症候群的な状態になっていました。 しかし振り返って考えると、あんなもん大した事ないじゃろうがと思ったりもするわけです。 20代中頃の事ですが、色々と思い悩んでいた時期にある大先輩からこんな事を言われました。 「なみちゃんの悩んでることは、

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          • 河波浩平の日々
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          • 河波浩平の仕事
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          • 大人の歌唱教養講座
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            ライブスケジュール

            マイ氏神様

            明けましておめでとうございます。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。  浅草に引っ越して2年と少しが経ちました。こっちに移ってからのほぼ全ての時間が"コロナ禍"でしたから、観光客も少ない特殊な光景の浅草の街で過ごしていました。俺の中では人の少ない浅草がデフォルトになってしまっているので、人が増えるとまた違う感覚になるのかなあと思っています。  とはいえ、浅草界隈には浅草寺をはじめとして神社仏閣がいくつもあるわけで、この年末年始はやはり人が多い。日本人だけでも仲見世商店街

            トルティーヤという名の免罪符を片手に、たまにうっかり手の込んだ事をやってしまう自分を煙に巻いてやろうという魂胆

            「料理好きで、結構やるんですよね」 という、例のあの感じにモヤモヤするんです。なんだろうか。自慢してるとまでは言わないけれど、なんだかモヤモヤするんです。言語化が面倒くさいのでひと言で書くとすると、 「いや、普通やるやろ。」 というかんじ。皆んな普通やるもんだろと思うんです。やらない人が特別なだけで、人間は生肉や、洗いもしない野菜ばっかり食べては生きられないんだから、やんなさいよと。好きとか嫌いとか、やるやらない以前に、やる必要のある事なんだから黙ってやんなさいよと。特に「料

            ストイックのストイックな勘違いの話

             「喧嘩するほど仲が良い」と言われるけれど、あれは嘘だと思う。「仲が良いから喧嘩する」ならまだどうにか分かるのですけれども。どうにか。  「ガス抜き」だとかも言うけれども、それもどうなのかなあと思ってしまう。抜かなきゃなんないガスなんて、いったいどこに溜まってるんだろうと思ってしまう。  俺は、北風と太陽の話を信奉しています。  昔、スポ根メロドラマ的なドラマが結構ありました。記憶にあるのが「スワンの涙」。確か宮沢りえが主演の、プールで何かする話だったと思いますけれども

            大金星

            人が好きです。 色んな人の話を聞くのが好きです。 大抵誰にも自分と同じくらいかそれ以上に大きなサイズのストーリーがあって、その中にはいくつかの驚くようなエピソードがあったりするわけで、それを根掘り葉掘り聞くのが好きです。 たとえば。 元力士で、SPの経験もあって、歌が上手くて、信じられないほどの量を食べ、人が良くて、自分で居酒屋を始めた男がいました。 初めて会ったのは、彼がレッスンを受けに来た時。 元力士という話を聞いてなんだかワクワクしてきたので(悪い癖)、早速掴みかかっ

            街のにおい

             キャベツ畑の匂いは、小学生の頃を思い出す匂い。  友だちの家に行くためだったか、遠くまで歩いて歩いて、キャベツ畑を見つけた夕暮れ時の匂い。  冬が近付くと冬の匂いがするし、晴れた日も雨の日も匂いがする。  ここのところ、外出する時はマスクを着けているわけで、どこに行ってもマスクの匂いがする。公園を散歩してもマスクの匂いだし、雨の日もマスクの匂い。ケンタッキーの前とか豚骨ラーメン屋の前を通る時なんかはそれなりの匂いがしてくるんだけど、基本的にはマスクの匂い。  匂いが記憶を呼

            大人の歌唱教養講座「ブレスの機能」

             歌の仕事を始めてから20数年、演奏・製作などのお仕事と同時に、これまでにプロの方からアマチュアの方、そしてちびっ子まで、1000人近くの皆さんに歌のレッスンを行ってきました。  気が付けばこんなに沢山の方々と関わってきたのかと我ながら驚きですが、現場で自分が学んだ事や、沢山のミュージシャンとの意見交換、そして独自に研究・検証・実践をしてきた事の中から、自分の嗜好に偏らず、感覚的なものに終始しない”事実をベースにした信頼度の高い内容”を伝える事に重点を置いて、教える仕事と向

            有料
            3,000

            決して後ろ向きなわけではない話

            お父さんの仕事の関係で転校したり、大失恋をしたり、誰かの連帯保証人になってしまったばっかりに大借金を抱えてしまったり、父親が失踪したり、自転車盗まれたり、人生には様々な不幸なことが起きる。心が疲れるような経験は、ある程度の大人であれば大なり小なりほとんど全ての人が経験しているのだろうと思う。 東京の街。このところのコロナウィルスの影響で、シャッターが目立つようになってきた。そもそも東京から少し離れれば、シャッターが軒を連ねる街並みなんて、もうずいぶんと前から珍しくなくなって

            言葉と自分と誰かと桜と

            すごく何度も考えている事があります。 文体をどうするのか。 書くのが好きだった頃の自分は常体(である。だ。)だったし、書くのが億劫になってからは敬体(です。ます。)だったから、あえて常体にして当時の感覚を取り戻そうとはしたものの、今の自分が書くと偉そうに思えるのだ。 だからといって敬体にすると、お知らせでも書いてるような、なんだか妙に謙った文章になってしまう気がしてなんとも落ち着かないのです。 20代の頃は偉そうに書く事がむしろ滑稽に見えただろうから、それを意識して常体で文章

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            なみへいと鈴木直人と吉田豊の日

            プロとアマチュアを分けるのは、収益を得ているのかどうかという点でしょうかね??俺は全くそう思わないし、同意してくれる人も多いだろうと思う(文末の調子がコロコロ変わるのはわざとなので、真面目に読まないでください)。かといってプライドだなんだと、意味もなく精神論的な話で抽象化してボヤけた意見を書いたりして、これを読む人を煙に巻くつもりもない。キャリア、スタンス、認知、スキルといった具体的ないくつかの要素と、その先で「実状」を知り得る立場にいるかどうかだと思う。「お客様からお金をいただいているから」という理由でプロとアマチュアを分けるのは、そもそも無理があると思う。あ、もちろん「金なんていらねえ!音楽さえやれればどうだっていいんだ!」的な野趣溢れる考え方ではないけれど。そこまで行くとそれはそれで無理があるし。  とはいえ、自分の事についてはどう思うかというと、もはや本当にどうでも良い。極論ではあるけれど、結果的に価値を見つけてもらえるのかどうかという話であって、プロだからやるわけでも、「プロなりの仕事」みたいなものがあるとも思っていない。自分の最高得点を毎回叩き出せるように努力しているだけで、誰かのためにやっているわけではないと思う。とにかく自分の美意識を磨きつつ、美しいと思えるものを作り出す努力をしているだけで。  俺は、ムラのあるミュージシャンだと思う。こんな事を書くのも憚られるけれど、いつでも良いパフォーマンスはできない。場と人(共演者や関係者)に大いに左右されるし、例えば自分の美意識が嫌がると途端に声自体が出なくなる感覚に陥る。そういう事に左右されずに、いつ何時でも「ご機嫌な」演奏をすべきだと自分に課していたのは20代の頃だったように思う。修行しているような感覚で。しかし、ある時期から全部を自分のせいにして重たく考えるのをやめた。それが良い事なのか悪い事なのか、今でも葛藤はしているけれど、自分が良いと思っていないのにさも良いことをやっている様な顔をしているのには、とてもとても疲れてしまったから。頑張らないことを選びそうな自分をやめた。怖かったけど、戦っているようでいつの間にか本質的な問題から逃げている自分をやめた。自分の音楽を頑張って作っていくしかない。  なんでこんなことを書くのかというと、別に批判的な事を書きたかったり、愚痴りたかったりするわけではなくて、この配信に登場する俺以外の2人の素晴らしさについて、よりしっかりと理解して欲しいからなのです。  ここに登場する2人は、ムラの無いミュージシャン。きっとそれぞれは「そんな事ないよ〜。俺だってさあ〜。」とか言うのだろうけれど、俺にはそう見えてる。そして、直人さん(ギタリスト)は大きな金メダルを1つ、そして豊さん(ベーシスト)は大きな金メダルと、もう1つ大切な他の人の名前の彫られた金メダルを首から下げている。2人はそれぞれ日本屈指のミュージシャンで、つまり金メダリスト。コンスタントに、ブレずに、重たいメダルを首からぶら下げながらへっちゃらな顔をしてる。  残念ながら、今の日本のジャズシーンって呆れるほど世の中に認知されていない。それでも今だに「売れっ子」だとか「有名」だとか何だとか、そういう物差しを使って測ろうとする人もいるのだけど、実際は本当の意味での「売れっ子」も「有名人」も存在しない。これは、本当に残念な事だけど悲しい事実な訳で、関係者の中でこれに反論する人はもういないと思う。  その前提でここに宣言します。  直人さんのギターって、これ普通じゃないんだかんね!  豊さんのベースって、これ普通じゃないんだかんね!!  俺が勝手に言ってるわけでもないし、2人とはおべんちゃら使う様な関係じゃないし!事実!  2人はもちろん先に書いた要件を満たして余りあるプロだし、その中でも特に憧れられるようなミュージシャンなわけです。俺は本当に思う。こういうミュージシャンが、ガルウィングのスポーツカーを乗り回すような時代がまた来ないかなあと。自分の事なんて関係なく、本当にそう思う。金メダリストだぜ〜、だって〜。  この動画が2人の素晴らしさを説明するに足るものとは思わない。俺の自意識と、全然上手くいってない音響とがそう思わせているわけで、2人に問題があるわけではない。後半になるにつれバランスは徐々に良くなるものの、残念な音の感じで申し訳ない。是非とも吉田豊・鈴木直人両人の動画なり音源なりを探して聞いてみて下さいませ。 【お願い】 船橋「coquelicot」では、お店への支援として「投げ銭」をお願いしています。ご協力いただければありがたいです。よろしくお願いいたします。 投げ銭用PayPal→https://www.paypal.me/coquelicotlulu

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            廣瀬みちるちゃんと宅間善之くん生配信ライブ

            船橋coquelicotのライブ配信をはじめて、はや数ヶ月。自分の機材を持ち込んではいるものの、あくまでお店の配信なので俺の方から色々と書くこともせずにいました。  とはいえ、新しい出会いがあったり、久しぶりの顔も見れたりと、自分にとっても良いことが色々とあったりします。船橋の店とはいえ、関東一円の素晴らしいミュージシャンが毎晩ライブをやっているこの店は、オープンしてまだ間もないものの少しずつ愛されるお店になってきました。コロナのこの時期にあっても頑張って踏ん張っています。  まあそういう話は置いておいて、せっかくなのでここで内容の特に素晴らしかったライブ配信を紹介しようと思います。  忖度無しの「なみへい基準」でオススメしたいものを、解説込みでご紹介します。生配信をご自宅で楽しんでいただける時代になっちゃいましたので、せっかくですからジャズの楽しみ方なんかも添えておきます。ぜひご一読を。 【見どころ解説】  宅間善之君は、同い年です。そして、現在の日本の若手〜中堅どころのヴィブラフォン奏者として、一流の演奏家という評価を受けているナイスガイです。実際に彼の生演奏を聴いたのは、15年ぶりくらいなのですが、噂に違わぬ実力です。  そして、廣瀬みちるちゃん。もはやちゃん付けをするようなキャリアでもないのですが、性格の良さ、品の良さ、美しさ、演奏力の全てを高いレベルで持っている数少ないピアニストの1人です。  彼らについて褒めすぎのように見えるかもしれませんが、全く忖度無し。  演奏の見どころはというと、特に目についたのは宅間くんのペダルの素晴らしさ。残響とかサスティーンとか言いますけれども、ヴィブラフォンは残響の長い楽器です。音がよく伸びる。そしてパイプの上の方(鍵盤の裏側あたり)に回転するファンが付いていて、終始くるくると回ることで、残響にヴィブラートが付いてより美しい音色になっているわけですが、その残響の長さのコントロールが素晴らしいなあと思います。  アンサンブル的な観点でいうと特に、スペースってものすごく大切なんです。宅間くんはスペースを細かくコントロールすることで、みちるちゃんのピアノとのシンクロ感を巧みに表現しています。シンクロ感ってものすごく大事で、大きい音を出すとか、派手な演出的展開を作るとか、そういうことよりはるかに大事だと思います。そういう事をあの演奏の難しそうな楽器で涼しい顔をしてやっている感じが、彼の彼たる所以かなあと思われます。(アンサンブルとは関係ない部分ですけれども、後半冒頭の宅間くん1人の局面での演奏で、残響を意識的に『グッ』と止めているところがあります。ああいう判断が、後に続く演奏の可能性を広げるものだと思います。)  そして、みちるちゃんはバランス感覚が卓越してるなあと思います。エキサイティングになる局面でも、しっかり大人の顔で手綱を握っている感じで。そして、配信を前提とした演奏への配慮も素晴らしく、音量の強弱についても高い意識で演奏してくれています。まったりしすぎず、ストロングスタイルになりすぎず、それでいてしっかりと展開をつけた演奏なので、かなり楽しめます。  他にも色々と特に素晴らしい部分があるのだけど、演奏についてはこの辺にしておきますが、2人の会話や振る舞いもとても安心感のある空気を作っていて、比較的に客席との距離の近いこの環境では丁度良い感じだなあと思います。なんだか上品で、みんなが大好きなこの感じ。結果的に、ライブを観戦しているお客様方も良い感じなんだよな〜。そういうもんですね、やっぱり。  色々と小うるさく書きましたけれども、楽しんでご覧いただく一助にしていただければ。即興で様々な判断をしながら演奏する比率の高い「ジャズ」には、囲碁や将棋にも似た駆け引きのようなものがあります。そういう部分でも面白がって聴いてもらえると、より楽しんでいただけるはず!ぜひ! 【大切なお知らせ】  ライブ配信をご覧いただくにあたり、お店への支援の意味も含めて「投げ銭」をお願いしています。本来ならば一定の料金をいただくようなシステムにするべきでもあるのかもしれませんが、現状あるシステムや法整備ではなかなか判断の難しい事が大いにあります。今後、もっと良いシステムができてくると良いなあと思いつつ、ご協力をお願いいたします。 「コクリコット河村留理子PayPal」→https://www.paypal.me/coquelicotlulu

            緊張と緩和と羞恥心

             ええカッコしようとすると緊張し過ぎてダメだし、リラックスし過ぎるとそれはそれでダメ。練り過ぎるとつまらなくなるし、練らな過ぎるとやっぱりダメ。  俺の場合、呼ばれて嬉しい仕事は緊張するしつまらなくなる危険性のある仕事ということになるわけで、呼ばれて嬉しい仕事で緊張し過ぎた上につまらなくなるのは、一番恥をかきたくない場所で恥を晒すという事になる。結果的にしばらく凹んで暮らす事になる。そんな事は充分に分かっているわけだから、もちろんそうならないように慎重に準備をするわけだけれど