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苦い顔症候群

 他人に甘えるのが得意な人と苦手な人っていうのはやっぱりあって、自分は完全に後者の人なわけです。素直とは到底言い難い。
 良い機会に恵まれた時、それに気付くのが遅いのも苦手な人の特徴のような気がしていて、頭の中では常に「この状況にどう報いるか」という事を考えているので、素直に「やったー!ありがとう!!」と言うことができない。だから、奢って頂くのも苦手です。高価な物を頂くのも苦手。嬉しいくせに。

 他人に甘えるのが苦手な自分は、何かをしてもらったり、良い機会をいただいたりすると、苦い顔をしたり難しい顔をしているようです。最近それがよく分かってきた。他人の事は素直に喜べるのに、自分の事となると苦い顔になってしまう。嫌なのではなくて、嬉しい事を自分にしてくれた人や状況に対して「報わなければ申し訳ない」という気持ちの方が勝ってしまう。嬉しいくせに。

 褒められるのも苦手で、苦い顔をしそうになるので誤魔化して変な顔をしたりして茶化す癖が染み付いているんです。あとは変な返答をしたり。ライブに来ていただいた方から帰り際に
「素敵でした〜」
と言われると、
「なぜ過去形なんですか?今は?」
とか言って、分かりにくい小ボケで茶化したりする。ジェントルとは到底言い難い。

 「恋愛小説家」という映画がある。ジャックニコルソン主演の名作なのだけれど、主人公の小説家に対して若干のシンパシーを覚える。あそこまで酷くはないものの、似たような部分が自分にもあるなあという気がする。なんだかとっても奇跡的なハッピーエンドになるのだけれど(あ。ネタバレみたいになっちゃうかこれじゃあ…)、現実はもう少しシビアだよなあと思ったりもする。

 他人に甘えるのが苦手な人には、理解者が必要だという気がする。(しかしそれは全ての人に言える事なのかもしれないけれど)理解してくれる人がいるというのはとても心強い事で、自分は比較的そういった出会いに恵まれているような気がする。通訳のように
「こいつはこういう奴なんですよ〜、すいません」
などといったフォローをしてもらえたとしたら、なおさらありがたい(他力本願も甚だしいのだけれど、正直な気持ち)。しかしその恵まれた状況に対しても苦い顔、もしくは不必要な茶化しで対応する事になるので、我ながら手に負えない。大人であるとは到底言い難い。

 共感してくれる方も一定数いるのではないかと思いつつ、こうして自分のバカを晒しているのだけれど、「苦手」というのは「困る」とか「嫌い」という事では全くなくて、あくまでもおかしな反応をしてしまっている自分を恥じているというただそれだけの事で、やめて欲しいというわけではありません。だって、やっぱり嬉しい。気づくのが遅くなったりしてしまうし、素直な反応を返せない時もあるけれど、受け入れたり嬉しがるのが苦手という事なのだろうと思います。自分の変な部分。

 今日は嬉しい事がいくつかあって、良い1日でした。
 相変わらずおかしな反応しかできてはいないけれど、それでもやっぱり喜んでいるわけです。
 明日も頑張ろう。そんな1日。

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