行方

「行方」と書いて「なめかた」と読みます。 読んでくださった皆様に幸あれ!

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  • 酔えない猫背の君へ

    深い孤独のその中の水色

  • 奥の細道

    旅の記録です

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非常口

智子は駆け込んだ女子トイレ右側の個室に入り、勢いよく鍵を閉めた。 ここでなら、あらゆる感情をむき出しに出来るのだ。 最近は、情けなさからくる、怒りと虚しさと空洞のような行き場のない悲しみに支配されている。 それは、共有できるような喜びとはかけ離れた、他者を寄せ付けることのない孤高の感情だ。 智子は数ある自身の欠陥の中から言語障害の可能性について考える。 智子は可哀そうな智子の心に寄り添った。 そうやって涙を流してやることで彼女はカタルシスに陥り、平然と席へと戻れる

    • 前向きってなに

      最近、心弱っているなと自覚する。 自分がつかめない感覚。 土台フラフラ。 私は、中学時代に過酷な運動部で練習とは別に毎日日誌を書いていたのだけれど、前向きなことを書かなければ先生の顔が曇ったので、素直な気持ち(練習しんどい、つかれた、眠りたい休みたい)などを押し殺していた。 他の部員は、中学生らしく愚痴をこぼしていたのだけれど、私は優等生気質というか、一緒になって愚痴を言うことができない人だった。 前向きな言葉たちと自分の本心は一致しているのだと心の底から思い込んでいた。悪

      • 過ぎし2023年と来たる2024年に向けて

        2023年、なかなかヘビーだった。 よく動いた年だった。 総じて、前向きに生きるという目標は達成できたと思う。 家庭が大変だったので、せめて会社でのストレスをなくそうと考えた。 自分が源泉だと捉え、どんな人にもやさしくした。優しさは返ってきた。 それと、大きな効果があったのが、大きな声で端的にはっきり堂々と話すこと。周りからの見られ方が変わっただけでなく、内なる自信が出てきた。今まで、思いついたことをボソボソと話していたから舐められていたのだと思う。 女性らしさを出し

        • 色々あって今がある

          ご無沙汰しております。 1年近く慌ただしくしておりました。 去年の冬になんやかんやで彼氏ができました。 温厚でユーモラスな人です。 気づいたら側にいてくれたような人です。 だから正直、実感は今もありません。 仕事は相変わらず、居場所が見つかりませんが、 なんとか続けられています。 理不尽な目にあっても自意識過剰によって迷惑をかけたのだから、当然と思うことにしました。 人は変えられないのだとつくづく思いました。 そして、年明け早々父が不慮の事故によって意識不明に。1週間

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        非常口

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        • 酔えない猫背の君へ
          3本
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          3本

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          「共感覚」をご存じだろうか。 共感覚(きょうかんかく、シナスタジア、英: synesthesia, 羅: synæsthesia)は、ある1つの刺激に対して、通常の感覚だけでなく 異なる種類の感覚も自動的に生じる知覚現象をいう。 例えば、共感覚を持つ人には文字に色を感じたり、音に色を感じたり、味や匂いに、色や形を感じたりする。複数の共感覚を持つ人もいれば、1種類しか持たない人もいる。共感覚には多様なタイプがあり、これまでに150種類以上の共感覚が確認されている。(Wiki

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          くるりの旅 大阪編

          次なる目的地は大阪は道頓堀! 前回の三重編はこちら! 11月に突入してから、ポッキーの日(11月11日)に道頓堀のグリコの前でポッキーを片手に写真を撮るという計画が頭に浮かび離れませんでした。 そして、実行完了しました。 19時ごろだったので繁華街というのもあり、 テンションの高い若人たちが話しかけてきましたが、 苦笑いしてやり過ごしました。 大阪弁の圧に萎縮してしまいましたが、ちょっとコミュニケーションしても楽しかったかもしれません。 新大阪駅直結のちょっとお高

          くるりの旅 大阪編

          くるりの旅 伊勢編

          先週、周りには出張と言いふらし、ひとり、深夜バスで関西へ向かいました。 人生初の一人旅。移動中はくるりを聴きます。 本当は、のぞみに乗って快適に西へ東へ往復したかったのですが、 今月は趣味に10万円ほど使ってしまったので、 なるべく出費を抑えたく、このような運びとなりました。 結論から言うと、 新幹線にしときゃよかった ほとんど眠れず。化粧落として乗車して、翌朝化粧してコンタクトしてと、めんどくさかった。 隣の人の携帯の明かりがチラつくし、窓際だったので外を眺めよ

          くるりの旅 伊勢編

          あにまる

          今の自分の部屋が好きだ。 卒論の資料置き場になっていたサブテーブルを自在にカスタマイズできるようになった。ベット上でもいろいろと操ることができるようになって、またモノを置くスペースが増えて快適なのである。 無印で買った本棚も、その隣の壁に適当に貼ったポストカードも、全然弾いていないギターも素敵である。 そのような我が愛すべきマイルームを眺めていると、ふと気づいた。 アニマルが点在しているのである。 クオッカのB5ファイル、駒ヶ根の神社で引いたおみくじについてきた早太

          あにまる

          夏のような人

          夏になると必ず聴くアルバムがある。 サニーデイ・サービスの「sunny」だ。 http://www.roserecordsshop.com/ca2/252/ もう3年も前になるのか。 平成最後の夏、私はサニーデイ・サービスを好きな人に教えてあげた。 彼はとても気に入ってくれた。 当然だ。絶対気に入ると思ったから教えてあげたのだ。 当時、彼の一番の理解者は私だという自信があった。 趣味も笑いのツボも双子みたいにそっくりだった。 と同時に、彼がすべての答えを知っていると

          夏のような人

          マイホームへの句読点

          大学時代、自宅へまっすぐ帰ることはあまりなかった。 講義のあと、バイトのあと、飲み会のあと 人と会って話してものすごい量のインプットとアウトプットを繰り返した後は、ひとりで街をうろつき黄昏る。 いつの間にか自分の中でルーティン化していて、孤独を満喫できる自分に酔ってもいた。 東京にいる自分の時間が少しでも長いように。 埼玉の実家から通っていたので、なんてことないのだが、 人も街も洗練されたイメージのある東京に漠然とした憧れはあった。 東京は私の自由を叶えてくれた

          マイホームへの句読点

          青年たちの諸手に応えるOL

          今日、会社で弁当温めてる時のこと。 レンジは2分。 待ってる間は手持ち無沙汰だ。 ふと窓越しに、向かいの男子校の教室、授業中の様子が目に入ってきた。 いいなあ、悩み多くともなんだかんだで充実感していた高校時代に私も戻りたいわ~混ざりてええ~なんて眺めてたら、 男子生徒たち数人が私に気づいて手を盛大に振ってきた。 諸手の数が増えていく。 え!なになに!? 心読まれた?! 突然向けられたスポットライトは私にはまぶしかった。 恥ずかしさのあまり早く消え去りたくて、自ら緞帳を

          青年たちの諸手に応えるOL

          驚愕の名前

          弟が小さい頃よくリュックやら弁当箱やらで身につけていたこのキャラクター。 名前知ってます? 上部真ん中の奴とか、めちゃくちゃMike(マイク)って感じするよね? シンカンセン あの機関車だってトーマスって名前ついてんのに、しかも一つ一つの車体に名前ついてるのに。 シンカンセン、まとめてシンカンセンて! 集団でシンカンセン! …しょーもないことが気になるお年頃。

          驚愕の名前

          挨拶のうちに入らない挨拶

          春から社会人だ。 在宅研修でビジネスマナー等の教材に取り組んでいる。 「職場の人たちと円滑な人間関係を築くには、自分から明るい挨拶をしましょう」とあった。 フッ。挨拶なんて朝飯前さ。これで研修だって?!笑っちゃうねwww しかし、侮るなかれ。あなたももしかしたら私のように挨拶をできていそうで出来ていないかもしれない。 私は誰よりも挨拶に敏感だ。 学校やバイト先の敷地内では殊に、知らない人とすれ違う時でさえ、反射的に会釈をしてしまうことがある。というか、すれ違う相手

          挨拶のうちに入らない挨拶