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青年たちの諸手に応えるOL

今日、会社で弁当温めてる時のこと。

レンジは2分。
待ってる間は手持ち無沙汰だ。

ふと窓越しに、向かいの男子校の教室、授業中の様子が目に入ってきた。
いいなあ、悩み多くともなんだかんだで充実感していた高校時代に私も戻りたいわ~混ざりてええ~なんて眺めてたら、
男子生徒たち数人が私に気づいて手を盛大に振ってきた。
諸手の数が増えていく。

え!なになに!?
心読まれた?!

突然向けられたスポットライトは私にはまぶしかった。
恥ずかしさのあまり早く消え去りたくて、自ら緞帳を下ろすことに。

緞帳は比喩だ。その窓にカーテンなどない。
自分の顔を手のひらと言う名の布切れで隠すように、高速で手を振り返した。よし、モザイク退出…

と、手を振りすぎたからか、こちらが喜んでいると勘違いした青年たちのしなやかな諸手は増えに増え、伝染していき、とうとう、こちらを見上げた先生と目が合ってしまった。なんて息の合ったクラスなんだ。。

さすがにこれ以上声援には答えられない。彼らの笑顔が異常にまぶしい。
私は壁を伝うようにフェードアウトした。
アンコールの声が聞こえた気がしたけど、ごめん、お局が待ってるのよ。

とはいえ、実は嬉しかった。
冴えないOL生活だけども、あの教室では、私のことが話題になっているなんて嬉しいじゃないの。
OLは日の当たらない仕事だと思っていた。だから元気が出た。


…と思いつつ先生から誤解されて通報されやしないかと午後は気が気でなかった。
今の時代、どこに落とし穴があるか分からない。
手錠のにおいが微かにしてゾッとした。。
生きづらいですね。