【つらみ】辞書で引く、若者ことば【国語がすき】
最近、国語辞典を買いました。
『三省堂国語辞典 第八版』。
先月たまたまこの三省堂国語辞典の第四版(1992年出版)を手に入れたので、最新のものと見比べてみたくなったのです。
パラパラとめくって眺めていると、あることばが目にとまりました。
つら み【(辛み)】
①恨みつらみ。
②〔俗〕つらいこと。「失恋した。ー」
言うまでもなく、私が驚いたのは②のほうです。
普段何気なく「仕事終わらん、つらみ~」などと口に出すことはあるので、もちろん使い方は知っています。
しかし、この用法はほんのここ数年で広まったもののはず…
こんなところまで網羅しているなんて、すごいなあ。どうやって載せることばを集めているんだろう…というのが素直な感想でした。
辞書に興味のある方ならご存じかもしれませんが、
『広辞苑』などの編集を長い間務めてこられた、増井元さんという方がいます。
私はつい最近、増井さんの著書である『辞書の仕事』を読みました。
この本自体は図書館で借りてきたもので、返却期限が迫っていたため先日急いで返してしまいました。そのため正確に引用することができないのですが、
「言語にかかわる専門家は、ことばの変化に寛容だ。ことばは変化して当然のものだと思っているからだろう。いわゆる“最近のことば”が辞書に載っていることに対して苦情を寄せてくる読者が多いが、そういった人たちは決まって専門家ではない。」
といった趣旨の一節がありました。(もしニュアンスに違いがあれば申し訳ないです)
辞書とは、世間一般のイメージだと「ことばを正すもの」であり、辞書には何か “絶対的” な基準を求めている人が多いのだろう、というようなことも書いてあったと思います。
この本を読みながら、自分が「辞書」と聞いてどんなイメージが浮かぶのか、改めて考えてみました。
そこで、自分は時代を問わずさまざまなことばが載っていると嬉しくなる側ではあるけれど、
何となく、辞書に対して「正しい日本語の基準であるべき」というような思いを抱いている、そのことに気が付いたのです。
ですが、増井さんの文章を読んでいるうちに、考えが変わったといいますか、辞書への理解が少し深まったような気持ちがしました。
辞書とは「その時代の世界の様子を反映するもの」であり、そういった意味で “実用的” であるのが理想の形なのだ、今はそう思います。
ことばとは実に流動的で、常に変化していくものです。絶対的な基準など存在していません。
ことばは生きているのだ…。
辞書をめくりながら、強く実感したのでした。
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