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#感想
備忘:少女とシミュレーション
頭に植え付けられ今も逃れられずにいる死への恐怖を克明に描くことに関して、私は『少女終末旅行』を越える作品を知らない。『シメジシミュレーション』もまた、自我の境界を異様な迫力で描いている。
既知の記号
少女と少女の出会い。溶け落ちる世界。メディアの自己言及。馴染み深い記号が並ぶ。しかし懐かしいという表現は不正確かもしれない。それらをつくみず氏のようにまとめ上げることをできる人間が同時代に何人いる
ニューヨーク三部作/ポール・オースター
オースターのニューヨーク三部作を読んでいた。緩やかに繋がった連作というのは好物なもので、事前の期待程には奇妙な小説で無かったものの、満足の行くものだった。大雑把に表すなら、探偵仕事に就いた男が狂気に囚われ、変質していく様を描いた小説だ。自己の探究を主題としているらしい。
この小説は、基本的に探偵と作家しか登場しない。そして、物語が形成する枠内において、二つの職業は重なる部分が多い。『ガラスの街』