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【仕事】美容師にモラトリアムに浸る暇はないことを教わる
01.もっさり髪を切らなくては
梅雨をすっ飛ばして、夏になったかのような暑い日。
2か月前に休職したときから切っていない、暑苦しい、もっさり髪をどうにかしなくてはならない。
いつもの美容室をホットペッパービューティーで予約する。
いつも前日に予約しないと空いていないが、当日最後の枠が空いていたので今日はツイている。
夕方過ぎに足を運ぶと、ちょっとお疲れな様子で美容師の彼が待ってくれていた。
02.美容師の彼
美容師の彼とは6年くらいの付き合いになる。
彼が一人でやっているお店なので、人見知りには辛い謎の担当選びがないのが気に入って予約したのを今でも覚えている。
聞いたことはないが、たぶんちょっと年上で同年代。
同じく夫婦二人暮らしで年齢も境遇も似ているので、すぐに打ち解けて、髪を切る時間はほぼほぼ近況トークになっている。
(最後の枠を予約しているのは近況トークをするためでもある。)
「そういえば子供ができました。前来た時、言ってましたっけ?」
彼から近況トークが始まる。
「いや初耳です。おめでとうございますー。」
とカットクロスから飛び出た手で拍手しながら回答する。
そういえば前回来た時に私が建築士なので中古マンションを買うかどうかを相談されていたことを思い出す。
「だから中古マンション買うみたいな話をしてたのか。。」
陰キャらしく独り言っぽくぼそぼそつぶやく。
「そうです。でもNaKaTさんの話聞いて買うのはやめましたわー。」
全然内容を覚えていないが、仕事の愚痴を交えながら現実的な話をした気がするので笑ってごまかしておいた。
03.雑談中の美容師の言葉
そんな30代の何でもない会話を繰り返しながら、いつも通りに髪を洗われてカットは進む。
そして私の近況も伝えてみる。
「そういえば会社退職しましたー。」
彼の眉が動いて、”やっぱり”という顔になる。
「いやそんな感じしました。前回体調悪そうだったし、顔つきが解放された感じだった。」
私は前回来た時に体調が悪くなってしまったことや退職するかどうか悩んでいることを彼に話していた。
そのことを彼は覚えてくれていたようだ。
私が続ける。
「建築自体は好きなんで、建築士を続けようとは思ってます。というかそれしかできないし。」
少し彼は考えて、まじめに答えてくれた。
「僕もコロナの時も意外と何とかなったので思いつめない方がいいですよ。自分の向き不向きとかわかんないし、できることをやってれば何とかなるし。自分が好きなことを仕事にしてもそれが幸せにつながるわけでもないですしね。」
要約するとこんな感じの回答だった気がする。
本当に自分が得意なことが何かなんて、意外と自分では見えないものだ。
継続した仕事や創作の中で、お客様のリアクションを見てはじめて、本当に自分の仕事が社会にとって価値があるかを知ることができる側面は必ずある。
「めっちゃいいこと言いますね。」
とその場では茶化してしまったが、美容師として独立している彼を改めて見直すのだった。
04.モラトリアムに浸る暇はない
美容室を自営している彼の言葉には重みがあった。
30代の良いおっさんが「自分は何者か」なんてモラトリアムに浸る暇はない。
とにかく足掻いて足掻いて、継続した行動や評価の中で「本当に得意なこと」を見つけるしかない。
結局は何をしている時にワクワクして、心躍らせて自分が自然と行動を積み重ねられるどうかが一番大事な気がする。
美容室の鏡に映るだらしない自分を見ながら、顔が引き締まるのを感じた。
05.心躍らせることを続けよう
カットが終わり、席を立つ。
「またお願いします。」
とお互いに言い合って、彼と別れた。
彼の言葉に勇気をもらった。
2か月後くらいにまた会う美容師の彼に次はどんな話ができるだろうか。
「自分にとって心躍らせることを続けよう」
そう帰路についた。
06.おわりに
最後まで読んで頂きありがとうございます。
30代半ばでキャリアブレイクした建築士の記録を書いています。
読む人が前向きになってもらえるnoteを目指しています。
これからもゆるくお付き合い頂けますと幸いです。
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