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2019年 100冊目『学習する学校』

前回のTTPS勉強会「学習する学校」の講師のAさんに冒頭の2章までを読んで、残りはパラパラで良いと言われ900P超の本を手に取りました。

2章までで十分面白かったです。

学校について、知識も実態も把握できていないのに、なんとなく問題があるように思っている自分に気づけました。

興味深かったのは、現在の学校の仕組みが産業革命以降の第二次産業を振興するために出来上がっているという説明でした。

当時は、優秀な標準化された大量の工場労働者が必要でした。

時間割(1つの事を終えたら、次のことをする)

学年割(知識を習得できたら次のステップに上がれる)

標準テスト(標準的な知識を習得できたかどうかを判断する)

などは、その時代にできたそうです。

決まったことを決まった手順で正確にできることが重要だったのです。

これができると工場労働者として従事でき、高い賃金を得ることができました。

この画期的な方法は、ある学校で作られ、それが世界に広がったそうです。

標準化、生産性向上の世界では、「できる」「できない」を明確にします。

同じ、手順、速度で「できる」「できない」が容易に判断できます。

チームではなく、個人で競争を促進します。

その当時は、そのような労働者のおかげで産業が振興しました。

日本だけではなく欧米でも男性が工場で働き、女性は家族を育てるという家庭が標準でした。

しかし、産業も第二次産業が中心ではなくなり、家庭も共働きや片親が中心になっています。ところが、学校教育の根本が変わっていないという指摘でした。

また、衝撃的だったのは、この標準的な教育に合わない生徒は、「学習障碍者」とレッテルを貼られ、薬を投与されるケースも多いそうなのです。

つまり、今の学習方法に合わない生徒側に問題があるという判断です。

問題があるので、薬を投与し、是正するということです。

この本では、学ぶ側ではなく、教え方(これは先生単独の問題ではありません)側に問題がある可能性が無いという前提に疑問を投げかけているのです。

私は薬の事も知りませんでした。

冒頭の何も知らないというのは、このような事に基づきます。

で、どうすれば良いのか。

重要な主体者の1つである「生徒」が、どうすれば良いのかに関与できないことに疑問をなげかけています。

生徒中心、多様性、1つの答ではなく相互作用と変化というキーワードが出てきていました。

納得性が高いですね。

顧客の声を聞こう、あるいは従業員の声を聞こうという話です。

具体的な手法として5つのディシプリンについて触れられていました。

2章は、この5つのポイントを100P超で説明しています。

表面的には理解できますが、これだけで本になっている話です。

実践するには、さらに深い洞察が必要ですね。

ちなみに5つのディシプリンとは

自己マスタリー

共有ビジョン

メンタル・モデル

チーム学習

システム思考

です

ビジネスでも必要な考え方ですね

やりたいことをやる

組織全体の目指すものが分かる

自分のものの見方のメガネを意識する

学習し続ける組織になる

直線ではなくシステムで物事を捉える

惜しむらくは、訳が読みにくいのです。

それだけが残念です。

▼前回のブックレビューはこちら


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